年金で払える老人ホームの選び方 軽減制度/節約法
2023.05.312023年07月28日
入居理由・適切なタイミング・入居時の重要ポイント
老人ホームは何歳から入居できる?平均年齢・きっかけ
老人ホームに入居できる年齢は、住まいごとに異なります。60歳以上とするところもありますが、介護の手厚いところだと65歳以上が一般的。介護の手厚いところの中には介護保険の「第2号被保険者」に該当する方は40歳以上で受け入れるところもあります。
老人ホームには何歳から入居できる?
老人ホームの入居を考えている方の中には、「老人ホームは何歳から入居できるの?」「どの老人ホームも入居可能な年齢は同じなの?」といった疑問を抱えている方もいるでしょう。
老人ホームに入居できる年齢は、それぞれの住まいによって異なります。例えば、介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)の「ブランシエールリボンシティ川口」では、入居条件として「満60歳以上で、共同生活が円満にできる方」としています。
また、高齢者向け高級マンション・介護付有料老人ホームの「サンシティ」は、入居条件を満70歳以上としています。
老人ホームはシニアのための設備や制度を備えるため、入居時の年齢に制限があるのが一般的です。それぞれの老人ホームのコンセプト、受入の体制、想定する入居者層により、入居条件の年齢設定が異なるのです。
年齢以外の入居条件として、「要介護○以上」「自立のみ」などの条件を設けている住まいもあります。このように、老人ホームに応じて入居条件が異なる場合があるため、老人ホームの選定時にはそれらの条件を十分に確認しましょう。
介護保険の第2号被保険者は65歳未満でも入居可能な場合も
介護の手厚い老人ホームは、入居時に要介護認定があることを前提とし、入居時の年齢が65歳以上に制限されることがあります。そのようなところでも、介護保険の第2号被保険者(指定の特定疾病に罹患し、要介護となった方)であれば、65歳未満でも受け入れることがあります。
特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があるとされる疾病のことで、以下のように定められています。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※(パーキンソン病関連疾患)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
特定疾病に該当する場合は、65歳未満でも老人ホームに入居できる可能性があることを覚えておきましょう。ただし、やはり65歳以上でないと入居できないところもあるため、必ず見学前に確認しましょう。
介護保険の分類として、要介護認定を受けた65歳以上の方は「第1号被保険者」、特定疾病を持ち、要介護認定を受けた40〜64歳の方は「第2号被保険者」と呼ばれます。
老人ホームに入居する年齢|80歳前後が多い
老人ホームには80歳前後の方が多くいます。60代からお元気な方向けの住まいへ入居する方はいますが、多くの方は70代後半で家事が大変になってきて、生活支援のサービスを受けたり、介護を受けたりするために入居を考え始めます。
全国有料老人ホーム協会が2022年3月に公表した「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究」によると、老人ホーム居住者の現年齢は「85~89歳」と「90歳以上」が多く、合計が過半数を占めます。
特に、住宅型有料老人ホームと介護付有料老人ホームでは、居住者の現年齢は「90歳以上」が44.1%を占めており、次に「85~89歳」が29.0%、「80~84歳」が13.9%であり、80歳未満の居住者は11.9%のみでした。
数年前に入居したと考えると、80歳前後で入居した方が多いと考えられます。
老人ホームの入居を決めた代表的な3つの理由
老人ホームの入居を決める理由やタイミングは人それぞれです。その代表的な理由として、以下の3つを紹介します。
- 在宅介護を受けるのが難しくなった
- 周囲に迷惑をかけたくないと思い始めた
- 病院から退院する時に介護が必要になった
それぞれの理由を一つずつ解説します。
理由1.在宅介護を受けるのが難しくなった
1つ目の理由として、在宅介護を受けるのが難しくなったことがあります。在宅介護は家族による介護を受けている方が多く、その場合、家族の事情により途中で受けられなくなる可能性があるのです。
例えば、仕事を続けている方が介護を担う場合、仕事と介護との板挟みにより精神的・肉体的に疲弊してしまい、在宅介護を続けられなくなるケースがあります。在宅介護は家族にかかる負担が大きく、介護疲れや介護うつの原因にもなります。
なお、家族が在宅介護を続けられなくなる要因には、排泄介助が始まることや、認知症が進み、心理的な負担が増えることもあります。終わりが見えない介護により、疲労やストレスが溜まっていきます。
理由2.周囲に迷惑をかけたくないと思い始めた
被介護者本人が、自ら老人ホームに入ることを希望するケースもあります。高齢になると身体機能が徐々に低下するため、次第に自らの力だけで日常生活を送るのが難しくなります。
在宅での介護では、訪問介護サービスを利用したとしても、どうしても家族に負担がかかります。「家族に迷惑をかけたくない」「家族の負担を減らしたい」「家族に介護を任せるのはしのびない」という考えから、自ら老人ホームへの入居を希望するケースもあるのです。
理由3.病気やけがで入院し、退院時に介護が必要になった
理由の3つ目は、病院から退院するときに介護が必要になるケースです。脳出血で麻痺が残る、大腿骨骨折で歩行が困難になる、長期の入院で運動機能が落ちるなど、病気やけがのため入院し、退院後に介護が必要になることがあります。
自宅に戻れる方もいますが、自宅で介護体制を整えられない場合には、老人ホームへ入居することになります。必要な介護や医療行為、予算、地域などを踏まえて、短期間で入居先を選ぶことになります。
老人ホーム入居前に押さえておくべき重要ポイント
老人ホームへ入居する理由は、突然発生するもの。そうなったときに慌てないためには、早めに老人ホームへの入居を検討しましょう。
老人ホームの入居前に押さえておくべき重要ポイントがあります。老人ホームの入居を少しでも考えている方は、事前に以下のポイントを押さえておきましょう。
体が元気なうちに老人ホームを選ぶ
体が元気なうちに行動を始めれば、ご自身の暮らしに合う老人ホームを選びやすくなります。
ご自分の将来を考えた際、いつ頃、何があったときに老人ホームへ入居するのか。その判断基準を決めておきましょう。「元気なうちから住んで最期まで居られるところ」「住みたい地域・場所」「介護や医療の手厚さ」など、自分にとって大切なことを基準にしておくと安心です。
入居後の生活イメージを明確にする
もう一つのポイントは、入居後の生活イメージを明確にすることです。生活イメージを明確にしておけば、希望に合った老人ホームを選定しやすくなり、より快適な暮らしを送れます。
具体的な生活イメージとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 他の入居者とどのように接するのか
- 入居後に外出はどの頻度で行うのか
- 外出する際はどこへ出掛けるのか
- 入居後にどんな料理を食べたいのか
入居後の生活をイメージすると、入居時・入居後の費用の計算にも役立ちます。「食事を自分で作り、食費は減らす」「いま住んでいる家を売却する」など、イメージに合わせて考えていきます。
老人ホーム入居の検討は早い方がよい
老人ホームに入居できる年齢は、制限があるところがほとんどです。コンセプトや体制により、60歳以上、70歳以上など異なるため、入居を考えているところの年齢制限を事前に確認しておくことが大切です。
早い段階から老人ホームの選定や見学を進めておけば、ご自身に合ったホームをより見つけやすくなります。老後の生活を充実させるためにも、老人ホームの入居を早めに検討しましょう。
記事監修:坂本愛さんのプロフィール
さかもと・めぐみ 社会福祉士。急性期病院のメディカルソーシャルワーカーとして受診相談や退院支援業務を経験。退院後に必要なケアをもとに、ご自宅での療養生活のアドバイスや、介護施設の紹介を実施。雑誌『ハルメク』の記事執筆にも携わる。
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