有料老人ホームとは 種類の違いや入居条件等を解説
2023.11.092023年11月09日
種類・入居条件・費用 有料老人ホームとの違いは?
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは 徹底解説
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー構造の高齢者向け住宅で、有料老人ホームに比べて生活の自由度が高いところが多い。近年は介護サービスが充実したサ高住も増え人気を集めています。種類・入居条件・費用や選ぶポイントを解説!
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住:さこうじゅう)とは、バリアフリー構造の建物に、高齢者向けのサービス(見守り、食事、掃除、病院への送迎、買い物代行など)が付いた住宅です。サ高住の入居者は自立(要介護認定なし)から要介護度の重い方まで幅広く、ほとんど一般の賃貸マンションと同じところや、共有部の設備やサービスが充実したところ、介護や医療サービスが充実したところなど多様な特徴があります。
サ高住は厚生労働省・国土交通省が所管する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の基準によって登録され、「設備」「サービス」「契約」の3つにそれぞれ登録基準が設けられています。
サ高住のサービス内容
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、認定の要件である「安否確認」「生活相談」の他にも、多くのサービスが有料で提供されていることがほとんどです。
【サ高住で提供する義務があるサービス】
- 安否確認(定期的な各居室の訪問・トイレの使用確認など)
- 生活相談
【サ高住で任意提供となるサービス(提供の有無は住まいによって異なる)】
- 食事
- 生活支援
- 夜間のスタッフ常駐
- 買い物代行
- 病院への送迎
- レクリエーション
- 介護
- 医療
日中は介護福祉士、看護師、医師、介護支援専門員など資格を持つ職員を人員配置する必要がありますが、食事や生活支援、夜間のスタッフ常駐は任意提供です。サービス内容は事業者によって異なるため、入居前に情報を集めて比較しましょう。
サ高住の特徴
サ高住の主な特徴は、以下の通りです。
- バリアフリー構造が義務付けられており、高齢者が安心して暮らしやすい
- キッチンや浴室が付いた物件も多い
- 有料老人ホームよりも生活の自由度が高く、外出・外泊・来客などの制限がない住まいも多い
- 初期費用が比較的リーズナブルなため、住み替えがしやすい
- 介護が必要なら外部サービスを利用できる(特定では介護サービスの提供あり)
サ高住は建築時に補助金が出ることもあり、施設数が増加傾向にあります。
人気の物件や条件が良い物件は満室のところも多く、新築であっても日当たりや眺望の良いお部屋はすぐに埋まります。良い物件にこだわるなら、早めに行動するといいでしょう。人気があり満室のところには入居待ちもできます。
近年は受け入れの幅を広げているサ高住も多くなり、認知症や医療的ケア(感染症・胃ろう・人工透析・たん吸引など)が必要な人を受け入れ可能なところもあります。
サ高住と有料老人ホームの違い
国交省が認定基準を定めたサ高住と、厚労省が認定基準を定めた「有料老人ホーム」は、同一の部分が多数あります。
サ高住の方が生活の自由度が高い場合は多い、とか、有料老人ホームでは利用権方式のところが多い、などの傾向はありますが、それぞれの住まいによる差も大きく、一概には言えません。
特に、「サ高住」の中でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた住まいは、「介護付有料老人ホーム」と同様の運営となります。
自立の方が入居するサ高住を探したところ、特定のサ高住を見に行き、要介護の方向けの住まいであった、ということもあります。サービスが少なく安価なところ、共用部の設備が充実したところ、介護サービスが充実したところなど、希望に合わせてさまざまな条件を比較してみるといいでしょう。
サ高住の種類
サ高住は大きく分けて「特定(特定施設入居者生活介護)」「特定以外の施設」の区分があり、提供するサービスや契約形態、人員配置などが異なります。
ただし、特定(特定施設入居者生活介護)の指定を得ていなくても手厚い介護をする施設もあり、それぞれの施設ごとの特徴を確かめることが大切です。
特定(特定施設入居者生活介護)
特定(特定施設入居者生活介護)の指定を得たサ高住は、介護付有料老人ホームとして運営しています。
施設内で食事や家事、入浴、排泄などの介助、健康管理などの介護サービスを受けることができ、要介護度が高い人でも入居可能です。
特定以外の施設
特定(特定施設入居者生活介護)の指定を得ていない施設は、自立した生活を送れる高齢者が主な対象です。
- 施設による生活支援サービス
- 施設による食事サービス
- 提携の訪問介護事業所、併設の居宅介護事業所による介護サービス
上記のようなサービスを提供しているところがほとんどで、食事は有料で頼めるところも多く、自分で用意できるようにミニキッチンが付いているところも多くあります。
なお、要介護度が上がると住み続けられないこともあるため注意が必要です。
サ高住の入居条件
サ高住の入居条件は「高齢者住まい法」によって定められています。サ高住は、ほとんどの施設で身元保証人・連帯保証人が必要です。
ここからは、サ高住の入居条件についてご紹介します。
入居者本人の条件
入居者本人の条件は、以下のいずれかが対象者となります。
- 60歳以上
- 60歳未満で要介護認定あり
同居人の条件
サ高住では、夫婦での入居もできます。また、同居人の条件を満たせば夫婦以外でも2人入居が可能です。
- 入居者の配偶者(届出をしていない場合でも、事実上の夫婦と同様の関係であれば該当)
- 60歳以上の親族
- 要介護もしくは要支援認定を受けている親族
- 特別な理由により知事に認められたもの
施設独自の条件
施設によっては、独自の入居条件を設けているケースも少なくありません。例えば、以下のような条件です。
- 認知症ではない
- 感染症にかかっていない
- 自立して生活を送れる
- 要介護認定を受けていること など
住み替えが必要となるケースも
サ高住では、入居時に退去要件が定められており、その要件を満たす場合は、基本的に退去となります。
例えば、認知症の対応ができない住まいで認知症を発症する、入居者の長期入院、支払いの滞納、他の入居者への迷惑行為などです。
要介護度が高くなった場合や体調が悪化したことで住み続けることが困難になった場合、十分な対応が可能な施設に住み替えなければならなくなることもあるため、この点も考慮しておきましょう。
サ高住の費用
サ高住の費用には、入居時に支払う「初期費用(敷金)」と毎月支払う「月額利用料」があります。
- 初期費用……15〜50万円
- 月額利用料…… 10〜30万円
ここからは、初期費用(敷金)と月額利用料をそれぞれ解説します。
初期費用(敷金)
サ高住は一般的な賃貸住宅と同じように、退去時の掃除・修繕時に必要な費用として敷金がかかります。敷金は賃料の1〜3ヶ月ほどで設定されることが多く、余った費用は返金となります。
サ高住の場合、初期費用でかかるのは敷金のみであることがほとんどですが、中には入居時の費用が必要なケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
月額利用料
月額利用料は、賃料、管理費・共益費などが固定でかかります。また、食費や光熱費、その他の有料サービス利用費が利用した分だけ発生します。
家賃は部屋の広さや設備、地域や立地などによって大きな違いがあり、郊外に比べて首都圏や都心部の方が高くなります。管理費・共益費は、入居者が共同で使用するスペースの維持や管理のための費用です。
サービスの提供費用は、提供するサービス内容によっても変わり、手厚いサービスが提供される場合は費用が高くなります。
水道光熱費は、管理費・共益費に含まれるケースの他にも、部屋ごとに利用分を自己負担するケース、各戸で個別に契約して東電や東京ガスに直接支払うケースなどがあるため、前もって確認しておきましょう。
サ高住のメリット・デメリット
以下で、サ高住の主なメリット・デメリットをご紹介します。
【メリット】
- 自由度の高い生活が送れる
- さまざまな施設があり、希望に合った施設を見つけられる
- サービスを利用しなければ比較的費用を抑えられる
- バリアフリー構造で見守りがある
【デメリット】
- 要介護度が高い場合、入居できないことがある
- 入居中に要介護度が高くなったり、必要な医療行為が増えた場合に退去しなければならないことがある
サ高住は施設によって提供しているサービスが異なり、豊富な選択肢の中から、自分に必要なサービスを選択できます。そのため、自分の希望に合った施設を見つけやすく、本当に必要なサービスの利用のみに留めれば、費用を節約することも可能です。
「新しいコミュニティに参加したい」「落ち着いて静かに趣味に打ち込みたい」など、ニーズに合わせた暮らしを実現できるでしょう。
ただし、要介護度が高くなるなど、退去要件を満たす場合は住み替えが必要となるため、この点もしっかりと考慮した上で入居先を選ぶことが大切です。
サ高住の選び方のポイント
サ高住を選ぶ上でチェックしておきたいのは、以下の点です。
- 施設の立地や周辺環境、アクセス
- サービス内容や充実度
- 施設の設備、混雑度
- 食事提供の有無や内容、提供方法
- 費用
サ高住は自由度の高い生活が魅力!
サ高住はバリアフリー構造の高齢者向け住宅で、普通の住宅のように自由度の高い生活ができることがメリットです。
サ高住に義務付けられた基本的なサービスは「安否確認サービス」「生活相談サービス」の2つであり、その他のサービスについては施設によって違いがあるため、しっかり比較して希望に合うところを見つけましょう。
サ高住は近年増加傾向にあり人気の物件や条件のいい物件から埋まってしまうため、気になるところを見つけたら早めに入居申し込みを行うのがおすすめです。
老後の住まいを選ぶ際のチェック項目は多岐にわたるため、不安や疑問があれば、無料で相談に乗ってくれる「ハルメク 介護と住まいの相談室」に相談してみるのがおすすめです。対面相談やオンライン相談など、ニーズに合った方法で相談ができます。
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