家電のプロに学ぶ!冬の「電気代節約アイデア」まとめ
2023.01.292022年06月25日
電気代の値上げに電力不足…この夏の電気代が気になる
我慢は不要!冷房シーズンの電気代節約術の新常識3つ
「夏になるたびに、冷房の電気代が気になる」という方も多いのでは?さらに、2022年の夏は政府が7年ぶりに全国に節電要請を出しています。そこで少しの工夫でできる「我慢しない節電方法」を消費生活アドバイザーの和田由貴さん聞きました。
冷房の電気代に加え、電力不足も心配…
新型コロナウイルスの感染拡大による規制が緩和されつつあるとはいえ、在宅勤務などもある程度定着し、わが家の「冷房の電気代」が気になるところです。
世界的なエネルギー価格の高騰や円安などで電気代の値上げが続いている昨今。冷房に限らず家電を以前と同じように使っていると、家計の負担は増える一方です。
加えて、2022年の夏も電力不足が予想されています。理由は老朽化した火力発電所が休廃止されるなど、電力需要に対して供給が不足しそうなため。ですからこの夏は、家計の面でも社会的な面でも、「無理がない範囲での節電」を心掛ける必要があります。
家庭ではいろんな家電により電力を消費します。年間を通して最も電気使用量が多いのは冷蔵庫。2番目が照明器具、それからテレビ、エアコンと続きます(※1)。
使用時間が長いものほど電気代がかかっているわけです。エアコンの家庭内での電力消費量は4番目ですが、夏と冬に集中的に使うので、やはり気を付ける必要があります。ただし、電気代を気にするあまり熱中症になっては本末転倒。上手に節電するにはどうすればいいのか見ていきましょう。
(※1)「資源エネルギー庁平成21年度民生部門エネルギー消費実態調査及び機器の使用に関する調査より日本エネルギー経済研究所が試算」より。
設定温度は“涼しく快適に過ごせる温度”が目安
よく設定温度として28℃が推奨されますが、それはあくまで目安。一番の基本は「無理のない範囲で設定温度を控えめにすること」です。1℃変えただけでも消費電力量は10%程度違ってくるので、電気代に影響します。
ただし「設定温度を控えめに」というのは「少し暑くても我慢をする」ということではなく、「設定温度をあまり下げなくても涼しく快適に過ごせる工夫をする」という意味です。部屋を冷房が効きやすい環境に整えたり、風向・風量を調整して体感温度を下げたりといった工夫をしてみましょう。
冷房の節電ポイント
- 無理のない範囲で設定温度を控えめに
28℃はあくまで目安。
- 日射による窓ガラスの輻射熱を防ぐ
窓の外にすだれ、よしず、サンシェードを取り付けるか、難しい場合には窓ガラスに遮熱シートを貼る。
- 室外機を直射日光から防ぐ
吹き出し口を避けてカバーをかける。
- 風向を水平に
部屋の奥まで冷気が届くようにする。
- 扇風機やサーキュレーターを併用
空気を撹拌させ、室内にむらなく冷気が行き渡らせる。
- 暑いと思ったら設定温度を下げる前に風量を「強」に
風量の強弱による電気代の差はあまりない。
- 暑い時期は除湿モードは不要
冷房運転が最も除湿機能が高い。
- 使用年数が13年を超えていたら買い替えを検討
省エネ性能の進化で電気代が安くなる。
【冷房の節電方法1】大切なのは日差し対策
上記のポイントの中で、最初にやってほしいのは夏の日射の対策。窓ガラスが日射を受けるとガラスが熱源となり、輻射熱が部屋の温度を上げ、冷房効率が低下します。これを防ぐには窓の外にすだれやよしず、サンシェードなどを設置するのが効果的です。
リビングなどは既にこうした対策をしている人もいるかもしれませんが、見落としがちなのは寝室。同様の対策をすると夜の寝苦しさが軽減され、エアコンの効きもよくなります。
【冷房の節電方法2】風向きは水平に、風量は自動がおすすめ!
エアコンも、ちょっとした工夫次第で体感温度が違ってきます。まず風向。冷気は重く下にたまる性質があるので下向きにしないこと。水平にすると部屋の奥まで冷気が届きます。そこに扇風機やサーキュレーターを置くと、冷気が部屋全体にむらなく行き渡り一層涼しくなります。
風向は自分で調整しなくても、自動設定にすれば水平になるはずです。
そして、風量も自動がおすすめです。風量が弱い方が節電になるような気がしますが、部屋を設定温度まで下げるのに時間がかかり無駄な電力を使う結果になります。風量自体は弱でも強でも電気代はほとんど変わりません。
風が当たると体感温度が下がるので、暑いと思ったら、設定温度を1℃下げる前に風量を強にしてみることをおすすめします。
【冷房の節電方法3】室内温度がいったん下がればつけっぱなしがベター
冷房をつけっぱなしにするかどうかも悩みの種。電気代は室温と設定温度の差が大きいほどかかります。いったん設定温度まで下がると、維持にはそれほど電気代はかかりません。
夏の日中は冷房を切ると部屋がすぐに暑くなるので、つけっぱなしはもったいないからと切り、室温が上がったら入れるということを繰り返すと、かえって電気代がかかるので注意しましょう。30分〜1時間程度、近所に買い物に行くぐらいなら、冷房はつけっぱなしでOKです。
冷蔵庫や照明、テレビなどの節電ポイントもチェック
エアコンが古くなっているなら、今の省エネ性能が高いものに買い替えるだけでも節電になります。エアコンの平均使用年数は13.2年(※2)。超過している場合は、買い替えを検討するのもいいでしょう。
冷蔵庫など電気使用量の多い他の家電についても、下記の節電ポイントを参考に、無駄な電力消費を省く使い方を習慣付けると効果的です。各家電の買い替えで、電気代がどのぐらい安くなるかシミュレーションできるサイト、省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」(環境省)を利用してみるのもいいでしょう。
(※2)「消費動向調査(令和3年3月実施調査結果)」(内閣府経済社会総合研究所景気統計部)より。
冷蔵庫の節電ポイント
冷蔵庫は10年を超えているものだと買い替えにより電気代が半額程度に減る場合があります。
- 冷凍室以外には食品を詰め込み過ぎない
冷気の循環が悪くなる上、食品を取り出すのに時間がかかり電気代がかさむ。冷凍室は空間があいていない方が節電になるので、整理整頓を前提に詰め込んでもOK。
- 冷蔵室にカーテンは取り付けない
ドアポケットの食品に冷気が届きづらくなる。
- 使用年数が10年超なら買い替えを検討
省エネ性能の進化で電気代が半額ぐらいになる場合も。
照明器具の節電ポイント
照明器具はLEDへの買い替えを。製品にもよりますが、電気代は白熱電球と比べて6分の1に激減、蛍光灯と比べても70%ぐらいに下がります。
- つけっぱなしにしない。メインの照明は消費電力の低いLEDに買い替え
白熱電球は即刻交換、蛍光灯は次の電球の買い替えのタイミングで交換。
- 玄関、トイレの照明は人感センサー付きに
消し忘れを防げる。
テレビの節電ポイント
テレビはアナログ放送終了時(2011年7月)以前のタイミングで購入したものだと、買い替えによりかなりの節電効果が期待できます。
- つけっぱなしにしない。画面の明るさの設定を自動に
部屋の明るさに応じて画面の明るさが最適化されるので無駄がない。
- アナログ放送終了時かそれ以前にテレビを買い替えた人は買い替えを検討
液晶テレビの場合、省エネ性能の進化で電気代が安くなる。
50代以上の方は節電の知識をアップデートすることも重要だといいます。
現在の家電は待機電力をほとんど消費しないので、プラグを小まめに抜くワザは実は効果なし。使用している家電の取扱説明書を読むと効率のいい使い方が記載されているので、面倒かもしれませんが一度目を通してみることをおすすめします。
暑さを我慢せず、冷蔵庫や照明なども含め、無駄な電力消費を省く使い方を習慣付けて、この夏を乗り切りましょう。
教えてくれた人:和田由貴(わだ・ゆうき)さん
消費生活アドバイザー、家庭の省エネエキスパート、家電製品アドバイザーなど、暮らしや家事の専門家として多方面で活躍。環境省の委員等も歴任。「節約は、無理をしないで楽しく!」をモットーに、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱。
取材・文=萬真知子
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年8月号を再編集し、掲載しています。
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