お正月に残したい「我が家の味」終活世代から家族へ、未来につなぐ贈り物

お正月に残したい「我が家の味」終活世代から家族へ、未来につなぐ贈り物

公開日:2026年01月02日

お正月に残したい「我が家の味」終活世代から家族へ、未来につなぐ贈り物

終活コーディネーターの吉原友美さんが、「我が家の味」を記録することの大切さをお伝えします。お正月という特別な時間をきっかけに、家族の絆や食の伝統を未来へつなぐ方法や、今から始められる“味の終活”のヒントをご紹介します。

お正月のおせち料理を囲みながら、ふとこんなことを考えたことはありませんか。「この味、誰が受け継ぐのだろう」と。

終活世代は、親世代から受け継いだ味を、次の世代へ渡す大切な橋渡し役です。でも、多くの方が「そのうち教えよう」「まだ時間はある」と先延ばしにしているのが現実。今年のお正月こそ、家族の味を記録する終活を始めてみませんか。

吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

吉原友美

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

なぜお正月が「味の終活」に最適なのか

Nana / PIXTA

お正月は、一年で最も家族が集まる時期です。おせち料理、お雑煮、お餅。これらは単なる食べ物ではなく、家族の歴史そのもの。祖母から母へ、そして自分へと受け継がれてきた味には、言葉にできない想いが込められています。

しかし、レシピを文字にして残している家庭は驚くほど少ないのです。「見て覚える」「適当に」「目分量で」。これでは、いざ次の世代に伝えようとしても、正確には伝わりません。お正月という特別な時間を使って、我が家の味をきちんと記録しておくことが、最高の終活になるのです。

「我が家の味」記録ノートの作り方

polkadot / PIXTA

用意するものは、シンプルです。ノート1冊、スマートフォン、そして時間。以下の6つのステップで、我が家の味を確実に未来へつなぎましょう。

ステップ1:料理を一緒に作る

お正月料理を作る際、家族がいる方は娘さんやお孫さんを台所に誘ってみてください。「今年は一緒に作ってみない?」と。一緒に作ることで、文字では伝えられない「コツ」が自然に伝わります。

おひとり様の場合も、ぜひこの機会に記録を始めてください。姪や甥、親しい友人の子ども、あるいは地域のコミュニティに、あなたの味を伝える機会は必ずあります。記録を残すことで、思いがけない形で誰かの役に立つ日が来るのです。

ステップ2:動画で記録する

スマートフォンで調理の様子を撮影しましょう。特に重要なのは「手の動き」です。だしの取り方、煮物の火加減の見極め方、味見のタイミング。これらは文字では伝わりにくいもの。短い動画でも、後で見返すと貴重な記録になります。

ステップ3:分量を正確に測る

普段は目分量でも、この日だけはきちんと計量カップと計量スプーンを使いましょう。「だいたいこれくらい」を数値化することで、誰が作っても同じ味が再現できるレシピになります。調味料の銘柄も記録しておくと、より正確に味を伝えられます。

ステップ4:AIで記録を整理する

ChatGPTなどのAIツールを使えば、記録の整理が楽になります。走り書きでメモした手順を「このメモをわかりやすいレシピ形式に整理して」とAIに頼むと、見やすく整えてくれます。

手書きのメモをスマートフォンで撮影してAIに読み込ませ、「これをデータ化して整理して」と頼むこともできます。AIは、あなたが受け継いだ味を、次世代に伝えやすい形に整える心強いアシスタントになるのです。

ステップ5:「なぜ」を記録する

レシピだけでなく、その料理にまつわるエピソードも書き留めておきましょう。「このお雑煮は、おばあちゃんが嫁入りの時に持ってきた味」「黒豆には、家族がまめに暮らせるようにという願いが込められている」。こうした物語があることで、料理はただの料理ではなく、絆を感じる特別なものになります。

ステップ6:味見をしながら想いを綴る

完成した料理を味わいながら、ノートに一言添えてみてください。家族と囲む方は「この味、覚えてる?」「来年も一緒に作ろうね」という会話を記録。おひとり様の方は「今年もこの味が作れた」「この味を誰かに伝えたい」という想いを書き留めておきましょう。

おひとり様こそ、味の記録を

shige hattori / PIXTA

「受け継ぐ家族がいないから」と、記録を諦めていませんか。それは大きな間違いです。あなたの味は、あなたの人生そのものです。親から受け継いだ味、自分で工夫して完成させた味、友人から教わった味。それらはすべて、あなたという人の証なのです。

記録は思わぬ形で誰かの役に立ちます。地域のコミュニティで料理教室を開く機会があるかもしれません。姪や甥が突然「おばさんの料理、教えて」と訪ねてくるかもしれません。友人が「あなたの作る煮物、レシピを教えて」と言ってくるかもしれません。記録は、あなたが生きた証です。それが、最も意味のある終活なのです。

お正月料理だけでなく、日常の味も記録しよう

buritora / PIXTA

お正月をきっかけに記録を始めたら、ぜひ一年を通して我が家の味を残していきましょう。お正月料理だけでなく、日常の何気ない料理こそ、家族の記憶に深く刻まれているものです。

記録しておきたい我が家の定番は、例えばこんなものです。

・おばあちゃんの煮物の味付け
・お母さんの得意なカレーライス
・誕生日に必ず作る定番料理
・風邪の時に作る特別なおかゆ
・夏の定番、麦茶の煮出し方
・お弁当の定番おかず
・お盆やお彼岸の時に作る特別な料理

これらは、どこの料理本にも載っていない、あなたの家族だけの味です。季節ごとに、行事ごとに、少しずつ記録を増やしていきましょう。一年後には、立派な「我が家の味図鑑」が完成しているはずです。

特に、春の山菜料理、梅仕事、夏の保存食、秋の栗ごはん、冬の鍋料理。季節の移ろいとともに受け継がれてきた知恵も、ぜひ記録に残してください。こうした日本の食文化を次世代につなぐことも、終活世代の大切な役割なのです。

デジタルとアナログ、両方で残す

記録の方法は、ノートに手書きで残す「アナログ」と、スマートフォンやパソコンで残す「デジタル」の両方がおすすめです。

手書きのノートには、あなたの字や、ちょっとしたイラストまでもが思い出になります。一方、デジタルは共有しやすく、写真や動画も一緒に保存できる利点があります。

クラウドサービスを使えば、離れて暮らす親戚や友人ともすぐに共有できます。AIツールを活用すれば、手書きのメモをデジタル化したり、バラバラのレシピを一つのデータベースにまとめたりすることも簡単です。

伝統は「残す」もの

y.uemura / PIXTA

家族でお正月の台所に立つ方は、「お母さん、この味付けどうやるの?」「昔はおばあちゃんと一緒に作ったのよ」と語り合いながら。おひとり様の方は、静かに台所に立ちながら「この味を、誰かに伝えたい」と想いを込めて。どちらも同じように尊い行為です。

終活世代の私たちには、親世代から受け継いだ味があります。その味を、次の世代へ、あるいは未来の誰かへ。記録という形で残していくことが、最も温かく、最も意味のある終活なのです。

我が家の味は、我が家の宝物です。それを記録し、伝えることが、人生を豊かにする終活の第一歩。新しい年の始まりに、あなたも「味の終活」を始めてみませんか。お正月料理から始めて、一年を通じて我が家の味を受け継いでいきましょう。令和の時代、AIという新しい道具も味方につけて。


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吉原友美
吉原友美 東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。終活サポートサイト「今日から終活!」インスタグラムはこちら。