青木奈緖さんのエッセー通信講座第3期 第4回

2022年03月04日

青木奈緖さんが選んだエッセー作品の紹介とQ&A動画

青木奈緖さんのエッセー通信講座第4回参加者の4作品

「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組んでいる参加者たちの作品から、青木さんが選んだ4つのエッセーを紹介します。

青木奈緖さんが選んだ4つのエッセー

「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。

「新しい家族」加藤博子さん
「わしゃ、行かんよ。かあさん1人で行きゃいいに。」義父は、頑なに……

「家族の定義」西山聖子さん
映画「ミッドナイトスワン」を観て、改めて家族の定義とは何だろうと……

「丸い卓袱台」野田佳子さん
粉を練るのは父の仕事だった。強力粉に少しずつ水と油を加え、しっか……

「姉の事は私の事」長谷島友子さん
三人姉妹。私はそのまん中として育った。姉と私は二卵性の双子、同い……

 

エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答

通信制エッセー講座の参加者から届いた質問やお便りに、青木奈緖さんが動画で回答します。今回は参加者から多く寄せられた質問にお答えします。

 

 

質問:「句読点の打ち方がよくわかりません」

青木さん: 本当に、毎回この質問をいただきます。もしかしたら、いま違和感なく句読点を打てている方は、あまり深く考えない方がいいのかもしれない、というテーマです。

句読点は、句点と読点に分かれます。句点は文章の終わりにつける「丸」です。この使い方に戸惑っている方はあまり見かけないようです。

もっぱら迷ってらっしゃるのは読点で、文章の途中でつける「点」です。傾向としては、わからないという方は多く打ち過ぎてしまい、文章がブツブツ切れてしまうという方が多いような気がします。

読点の打ち方で一番わかりやすいのは、わからなくなったら文章を声に出して読んでみることです。それで自然に自分が息継ぎをするところに打てば、大概いい塩梅の場所に打てることになるのではないかと思います。

例文で見てみましょう。

大正生まれの祖母から聞いた話によれば昔の冬はとても寒くて手や足にしょっちゅう霜焼けができていたらしい。

→大正生まれの祖母から聞いた話によれば、昔の冬はとても寒くて、手や足にしょっちゅう霜焼けができていたらしい。(自然な息継ぎの例)

→大正生まれの祖母から、聞いた話によれば、昔の冬は、とても寒くて、手や足に、しょっちゅう、霜焼けができていたらしい。(点が多過ぎる例)

他に、読点の打ちどころで2通りに解釈できてしまう文章が生じることが時としてあります。有名な例文ですが

ここではきものをぬいでください。

→ここでは、きものをぬいでください。

→ここで、はきものをぬいでください。

これは特殊な文章ですけれど、日常で使う文章でも同じようなことが生じることがあります。

彼女は楽しそうに遊ぶ子どもを見ていた。

→彼女は、楽しそうに遊ぶ子どもを見ていた。

→彼女は楽しそうに、遊ぶ子どもを見ていた。

楽しそうなのはいったい誰かという問題が、点の打ち方一つで決まってきます。 これ以外にも、よく読めばわかるんだけれど、パッと見るとうっかり誤解してしまうという文章もあります。

私の故郷の時として閉鎖的な習慣が……
私はその後家にもどって食事をした。

点なしで書いてしまうと、読者は「故郷の時」「その後家」と読んでつっかえてしまうかもしれません。
読者は読むことで想起されるインスピレーションの世界で遊びたいので、つっかえた瞬間に醒めてしまう。それはなるべく避けたいことなんですね。

私はよく「読者目線で」と申し上げますが、読点の場合はこのように誤解が生じたり、解釈が2通りにできてしまうことがあり得るので、注意してくださるといいなと思います。

動画では、より詳しいお話を青木さん本人の言葉で聞くことができます。また、参加者のエッセーを紹介するコーナーでは、両親との同居の始まりをユーモアを交えて描いた作品「新しい家族」(加藤博子さん作)を、青木さんの朗読で紹介しています。ぜひご覧ください。

 

エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール

1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。

ハルメクの通信制エッセー講座とは?

全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。

書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。

次回の参加者の募集は、2022年7月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。

■もっと知りたい■

 

ハルメク旅と講座
ハルメク旅と講座

ハルメクならではのオリジナルイベントを企画・運営している部署、文化事業課。スタッフが日々面白いイベント作りのために奔走しています。人気イベント「あなたと歌うコンサート」や「たてもの散歩」など、年に約200本のイベントを開催。皆さんと会ってお話できるのを楽しみにしています♪

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