山本ふみこさんのエッセー講座 第9期#2
2024.11.302024年12月31日
エッセーの疑問・お悩みに答えます
山本ふみこさんエッセー講座 第9期#3「抽象ではなく、具体で書く」
随筆家の山本ふみこさんが講師を務めるハルメクのエッセー通信講座 第9期第3回。解説番組「コトコトラジオ」、今回のテーマは「抽象ではなく、具体で書く」。参加者の作品から山本さんが選んだ4本のエッセーとともに、お楽しみください。
解説番組・コトコトラジオ 「抽象ではなく、具体で書く」
<便利な再生方法>
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質問:どうしても字数が多くなってしまいがち。
山本さん:このエッセー講座の規定文字数は、800字~1000字。いくつもの話題を盛り込むのではなく、書くことを絞るのが大切ですね。
「あれもこれも書こう!」と欲張ると、文章が薄まります。「あれと、これを書こう」と、取り組むことがおすすめです。もし字数が余ったら、「ここに、あのことを入れられるかも」と調整するくらいがちょうど良いですね。
擬人化のすすめ「私がもし醤油さしだったら…」
山本さん:さて、今回のテーマは「想像(力)」でした。ここで「私にとって『想像力』とは…」という漠然としたテーマで始めると、得てして文字数が多くなりがち。そしてなにより、抽象的な文章というのは面白みに欠けることが多いものです。
そんなときにおすすめなのが、擬人法。私は過去「醤油さし」になりきって、エッセーを書いたことがあります。
「醤油さし」というテーマについて自分だけの視点で書くと、ついつい「醤油さしは、やはり食卓にとって大切なものですね」というようなつまらない話になりそうです。
そこで、「私は今日この家にやって来た、醤油さしです」というところから文章を始めてみる。すると、家族の醤油の使い方や塩分過多を気にする様子など、日常の何気ないことが新鮮に映り、面白い話に広がっていきます。
擬人法は一つの手法ですが、抽象的になりそうな文章でも、「具体的な話」を挟むことでぐっと書きやすくなります。抽象的になってきたなと思ったら「ここらでちょっと、具体的な話でもしましょうか」と、考えてみてください。
山本ふみこさんが選んだ4つのエッセー
クリックすると、作品と山本ふみこさんの講評をお読みいただけます。第9期第3回で取り組んだエッセーのテーマは「想像(力)」です。
「わらぐつと祖母」大井洋子さん
今から60年ほど前のこと。冬になると、わたしはランドセルの上から、重くて長いマントを着て登校していた……
「中華粥」田中眞理さん
寒気とのどの痛み。この違和感、もしかして? と思ったときには……、インフルエンザに感染していたのです……
「庭づくり」富山芳子さん
秋も深くなると、庭仕事が忙しくなる。来春の庭づくりの本格的な準備だ。それは自分で目指すガーデンの姿を……
「秘密の時間」めぐみさん
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、心地よく揺れる電車内で好きな読書を楽しんでいた。下りる駅が近づき……
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随筆家・山本ふみこさんのプロフィール
1958(昭和33)年生まれ。出版社勤務を経て随筆家に。ハルメクでは連載「だから、好きな先輩」やエッセー講座(会場開催と通信制)の講師でおなじみ。著書に『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(ともに毎日新聞社刊)『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫刊)『暮らしと台所の歳時記 旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(ともにオレンジページ刊)『家のしごと』(ミシマ社刊)ほか多数。公式ブログは http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
次期開催については、雑誌「ハルメク」誌上とハルメク365イベント予約サイトのページでご案内予定です。
エッセー作品一覧