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- 山本ふみこさんエッセー通信講座第6期参加者の5作品
随筆家の山本ふみこさんが講師を務めるハルメクのエッセー通信講座。第6期2回目の動画では「三人称の表現と距離感」他いくつかの解説とエッセーをより楽しむための「雑談タイム」、参加者の作品から山本さんが選んだ5本のエッセーをお楽しみください。
山本ふみこさんが選んだ5つのエッセー
クリックすると、作品と山本ふみこさんの講評をお読みいただけます。第6期第2回で取り組んだエッセーのテーマは「お茶」です。
「お茶の時間」伊藤いづみさん
「お茶にしましょう」。そう言われるとほっとする。何を飲むかよりも……
「はずむ」いとうきこさん
叔母を亡くした。叔母は85歳。歳に不足はない。そう思っていたはずだった……
「『空気』という意味」玉木裕子さん
「お茶というと、日本では日本茶はもちろん、コーヒー、紅茶といろいろ……
「お茶の時間」綱則子さん
「お茶にしようか。」3時には決まって台所に立って湯を沸かす母だった。……
「新茶」宮脇洋子さん
「そろそろお茶にしない?」「これからお茶しに行っていい?」「お茶会……
随筆家の山本ふみこさんから半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座には、日本各地から応募した41名が参加しています。
毎月1本書きあげたエッセーに、山本さんのアドバイスや添削を受けて、実践的に学んでいます。
参加者一人ひとりが直面する悩みや疑問は、実は、エッセーを書く人にとって共通する学びの宝庫です。
ハルメクでは、月1回山本さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者が生き生きと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開しています。
今回は第6期の2回目。動画では「三人称(彼・彼女、彼ら等)の表現と距離感」他、表現の選び方や考え方について解説しています。また、書くことをより楽しむためにちょっと一息、山本さんの「雑談タイム」をお楽しみください。
彼や彼女、彼ら……。とても便利な表現だけれど、書くときは少し用心!
山本ふみこさん:皆さんの作品を読んでいて「彼」や「彼女」の表現がとても多いことに気が付きました。
日常会話の中で「彼」も「彼女」も使うことはありますよね。
けれど、言わないわけではないけど、あまり出てこない言葉ではないでしょうか?
作品の中で誰かのことを書くとき、毎回「○○さん」と書くのではなく「彼」や「彼女」を使った方が文章を短くまとめられます。
でも、この表現は日本語として、とても難しい表現です。
英語の授業で「He(彼)」「She(彼女)」なんて勉強しましたよね。
中学生で英語の授業を受けていた当時は「ふむふむ、そうか」と受け止めていましたが、実際にこの言葉をそのまま日本語に置き換えてしまうと少し距離ができます。
この言葉、表現を使わないでくださいという話ではありません。ただ、いつも自分が使わない言葉を使うときは用心してください。
親しい人との話を書いているのに「彼」または「彼女」を使うことで、「なんだか不思議な距離が生まれているぞ?」「関係性のニュアンスが変わってくるよ」と感じることが起こりえます。
少し遠くの人を「彼」「彼女」ではなく、「その人」と書いた方が気持ちになじむことだってあります。
どんなに使いやすく置き換えやすい、便利で間違っていない表現であっても、「こうしておけば無難に伝わるでしょう」から少し離れて、「本当に伝えたいことの表現ってなんだろう? 言葉の選びってなんだろう?」と考えてみましょう。
漢字は使いすぎると、全体が真っ黒で重たく見えがち。適度にひらがなを!
山本ふみこさん:皆さん、ちょっと漢字が多いです。
普段よく使う言葉でも漢字にすると画数が多くて、原稿が黒っぽくなって重たく見えます。
漢字をひらがなにすることを「漢字をひらく」と言います。
たとえば、○○をするための「為」とか、○○がつづくの「続」とか、画数が多くて黒いですよね。
ご自身の判断、センスに任せますが、ひらいてみることで全体が重くならず、作品が読みやすくなります。
かと言って…、なんでもかんでもひらいてしまうと呪文のようにもなってしまう。書きあがったとき、全体的に黒いぞと感じたら、見直してみるといいと思います。
また、ケースバイケースですが、漢字で書くか、ひらがなで書くかを決めておくとエッセーを書く際に楽ですし、作品全体に統一感も出るのでおすすめです。
ここでブレイク 山本さんの雑談タイム
山本ふみこさん:第6期2回目のテーマは「お茶」でした。おもしろく読みました。
……が、いろんな「お茶」のお話に私のお腹はタプタプです(笑)
私がお出ししている課題は道標と受け止めてください。
「どうぞ! 自由にお書きください!」と言われても、なかなか難しいですよね。
なんでも書けるけども、「さて……、」と迷いはじめたら平気で1ヶ月も2ヶ月も経ってしまいます。
そういう意味で私は「こういうことはいかがですか?」といった風にお出ししています。
ですから、今回のテーマのように「お茶といったら、日本茶、紅茶……!」といったことではなくて、イメージを膨らませてみてください。
そこもひとつの試練として考えていただけたら、と思います。
たとえば、お茶はお茶でも、ドリフターズの加藤茶さんの話を書いてみるとかね(笑)
律儀にテーマを捉えることも大切だけれど、もう少し自由にテーマを捉えてみてください。
直球を投げない方がおもしろい、ってこともあるんですよね。
私も職業として物を書いているので、依頼されて、相手の求めていることを捉えなくてはと考えることもありますが、それでも直球になり過ぎないようにしています。それは、とても大事かなぁと!
皆さんも「これで山本を困らせてやろう!」「笑わせてやろう!」と思って、書いてくださってもいいと思います。
今回の動画では他にも「主人と夫。エッセーで適切な表現はどっち?」
「敬語の使い過ぎで分かりにくい文章になってしまう」など参加者の皆さんのお悩み、コロナ禍が続き、見失いがちだった「雑談のすばらしさ」などお話いただいています。
動画の最後には、山本さん「おすすめの一冊」もご紹介。ぜひ、お楽しみください。
随筆家・山本ふみこさんのプロフィール
1958(昭和33)年生まれ。出版社勤務を経て随筆家に。ハルメクでは連載「だから、好きな先輩」やエッセー講座(会場開催と通信制)の講師でおなじみ。著書に『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(ともに毎日新聞社刊)『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫刊)『暮らしと台所の歳時記 旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(ともにオレンジページ刊)『家のしごと』(ミシマ社刊)ほか多数。公式ブログは http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
募集については、今後 雑誌「ハルメク」誌上とハルメク365イベント予約サイトのページでご案内予定です。
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