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- 山本ふみこさんエッセー通信講座第6期参加者の2作品
随筆家の山本ふみこさんが講師を務めるハルメクのエッセー通信講座。エッセーの書き方を半年間で学んでいきます。第6期1回目の動画では「書くこととの向き合い方」と、参加者の作品から山本さんが選んだ2本のエッセーをお楽しみください。
山本ふみこさんが選んだ2つのエッセー
クリックすると、作品と山本ふみこさんの講評をお読みいただけます。第6期第1回で取り組んだエッセーのテーマは「昨日」です。
「まずは湯舟につかり」近藤陽子さん
令和5年 元旦 夫と2人だけのおだやかな新年を迎え、ゆっくりお雑煮を……
「走る少女」三澤モナさん
朝、ひとりの少女が学校に向かって、ではなく、家に向かってひた走る……
随筆家の山本ふみこさんから半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座には、日本各地から応募した41名が参加しています。
毎月1本書きあげたエッセーに、山本さんのアドバイスや添削を受けて、実践的に学んでいます。
参加者一人ひとりが直面する悩みや疑問は、実は、エッセーを書く人にとって共通する学びの宝庫です。
ハルメクでは、月1回山本さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者が生き生きと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開しています。
今回は第6期、半年間の講座の初回です。動画では、「エッセーを書くうえで大切なこと」について解説しています。
文章を書くときは結論は急がず、自分の感情とゆっくり向き合いましょう
山本ふみこさん:通信制第6期が始まりました。
6期は初めて受講される方も多く、読んでいてとても楽しかったです。
皆さんそれぞれが慎重に、そしてあたたかい気持ちで作品に向き合っているのが伝わってきて、これからが楽しみだなぁと思いました。
今回はある人のお力を借りて、「書くこと」と「自分の感情の向き合い方」についてお話をします。
『職業としての小説家』村上春樹 著(新潮社刊)
村上春樹さんのこの作品が本になったのは2015年ですが、元は雑誌に連載されていたものなので、書かれたのは2015年より少し前になります。
これは「小説」について書かれている作品ですが、「エッセー」あるいは「随筆」と置き換えても同じように考えられるので、皆さんにご紹介します。
自分が目にする事柄を、とにかく観察する
観察をしたことに対しての受け止め方や見方、それをどうやって作品として昇華していくか。これは私も折に触れて皆さんに伝えていきたい、皆さんと研究していきたいことです。
村上春樹はこの本で、書く際には「結論づけない」と言っています。
つまり、これは私が思うに、自分が目にした事柄や事象に対し「ああではないか、こうではないか」「こんな受け止め方があるんじゃないか」とか、「こんな見方もできる」、はたまた「本当にこんな決めつけ方をしていいのだろうか」など、考えることがとても大切だということです。
これは、人が作品に向き合うということだけではなくて、生き方全般にあてはまるように思います。
人付き合いもそうですよね。観察というと言葉が冷たいかもしれないけれど、「あなたはこういう人ね」なんて決めつけずに、ゆっくり理解していこうとすることと似ています。
今は何でも結論が早いでしょう?
コロナ禍もあって誰かと雑談することも減ってしまいましたよね。雑談する時間がなくなると、人は割とすぐに結論を出したくなります。
早く結論を出して次に行こう、そんなスピード感です。
でも、エッセーを書くにあたり、少なくとも私達は結論を急ぐのはやめましょう。
見方や考え方をやわらかい気持ちでしばらく留めて、自分の感情にゆっくりと向き合っていきましょう。文章を書くときは、皆さんとそんな約束をしたいと思っています。
名前はあなただけの短い物語。原稿には必ず記名を
作品に一生懸命考えてくださったタイトルを書いてあっても、ご自分の名前を書いていない方がいます。
私たちが一人一人もっている名前というのは、この世でいちばん短い、あなただけの物語です。
苗字だけではその人の物語が止まってしまうような感覚があり、フルネームだと、名前の中に隠されたその人の物語全体が見渡せるように感じます。
それに苗字だけより、名前を知った方が親しみが募るように思います。
お名前をもっと大切に考えて、ご自身が書いた作品にお名前を書いてください。
音読することで、句読点の打ちどころが見える
音読について私はしつこくお話してしまうのですが、作品は音にしましょう。
できるなら書くときも、声に出すのが難しかったら、脳内音読でもかまいません。必ず音を感じながら書いてください。
音にすることで「、」の打ち方や「。」の決め方、かぎかっこや改行する部分も分かってきます。音が道しるべとなって教えてくれます。
書き上げたら、声に出して読んでみましょう。そして、その日は寝る!(笑)
一度寝て、起きたらもう一度読んで、最終確認をして、その後は作品を旅立たせてください。
いつまでも持っていると直したいところが増えて、迷いが出てきます。推敲(すいこう)という言葉もありますが、あまりし過ぎるのも注意です。
大丈夫、作品はしっかりと歩いてくれます。書き上げたら「いってらっしゃい!」と送り出す気持ちが大切です。
随筆家・山本ふみこさんのプロフィール
1958(昭和33)年生まれ。出版社勤務を経て随筆家に。ハルメクでは連載「だから、好きな先輩」やエッセー講座(会場開催と通信制)の講師でおなじみ。著書に『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(ともに毎日新聞社刊)『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫刊)『暮らしと台所の歳時記 旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(ともにオレンジページ刊)『家のしごと』(ミシマ社刊)ほか多数。公式ブログは http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
募集については、今後 雑誌「ハルメク」誌上とハルメク365イベント予約サイトのページでご案内予定です。
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