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- エッセー作品「立ち話、茶話」きたのふみさん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。 今月の作品のテーマは「憂鬱」です。きたのふみさんの作品「立ち話、茶話」と山本さんの講評です。
立ち話、茶話
「私の家は農家だったから、雨の日は親が家にいたの。
だから、雨がふるとうれしかったのよね。
その頃のなごりなのか、今でも雨の日って、なんか好きなの。」
社宅にいた頃、子どもともどもお世話になっていたハマナスさん(仮名)の言葉である。
私にとってはユウウツな雨の日も、他の人にはステキな日だったりするのだなあと、心したことである。
なにげない会話のなかで、このような言葉をキャッチできたりするから、立ち話や茶話はあなどれない。
末っ子であった私は幼い頃、母のお茶会に同行していた。
ひとりで楽しくるすばんができないのだから仕方ないのだけれど、大人ばかりのよその家で「おりこう」にしていなくてはならぬ時間は、苦痛だった。
用事があるふうでもないのに集まって、まいど何時間もしゃべり続けて「あら、もうこんな時間。ごはんのしたくをしなくちゃ」でしめくくられる。
当時の私は、このおばさん達をひややかにながめていたのだが、自分もおばさんになると同じことをしている。
「……人間関係でキズつくこともあるけれど、すくってくれるのも、やっぱり人なんだよね」
こう語ったスミレさん(仮名)は、20年以上のつきあいだ。
始終連絡をとりあっているのではないが、いいタイミングで声をかけてくれる。
山本ふみこさんからひとこと
「なにげない会話のなかで、このような言葉をキャッチできたりするから、立ち話や茶話は、あなどれない」
……本当に、そうですね。散歩の途中、電車内、買い物途上で、私も、どれほどおもしろい会話(あるときは独り言)を採集してきたことでしょう。
知らない言葉とも、こんな場面でいっぱい出合いました。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
2022年8月からは第5期の講座を開講します(募集は終了しました)。次回第6期の参加者の募集は、2022年12月を予定しています。詳しくは雑誌「ハルメク」2023年1月号の誌上とハルメク365WEBサイトのページをご覧ください。
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