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- エッセー作品「ずっと一緒」小笠原タミヨさん
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から青木さんが選んだエッセーをご紹介します。小笠原タミヨさんの作品「ずっと一緒」と青木さんの講評です。
ずっと一緒
じいじとばあば、それに3人の孫との生活が始まって早くも2年半になろうとしている。
令和元年が暮れようとする12月、突然の出来事で息子が倒れ、9日目には帰らぬ人となってしまった。
10年前の嫁と同じことが起きてしまったのだ。
神様のいたずらにしてはあまりにも酷過ぎると、悲しみを通り越して腹立たしい気持ちになった。
母親の時は幼かった孫達は、ただ母親の死を受け入れるだけだった。
母親の死から9年が経ち悲しみを乗り越え、やっと生活も落ち着いてきた矢先に今度は父親が急死し、両親とももはやこの世に存在しないという現実を重く受け止めたと思う。
私たち老夫婦も、これから先のことを考えると、胸が張り裂ける思いで、悲しみよりも不安でいっぱいの毎日だった。
両親がいなくなった穴をどう埋めてやったらいいのか……。
孫達は母親の葬儀ではお別れの言葉も言えなかったが、父親の柩の前では3人そろって立ち、長男がしっかりお別れの言葉を言ってくれた。
その成長した姿を見て救われた気がしたものだ。
時は止まることなく孫たちもそれなりに成長した。
一人は高校を卒業し、1年間バイトをしていたが、今はフリーの状態に。二番目は現在高校一年生。三番目は中学二年生。
三番目の孫は、母親の通夜の時「僕もあの箱に入る」と言って泣き叫び参列された皆さんの涙を誘った。今は陸上とバレーボールとそれぞれ頑張っている。
今年は後期高齢者になるじいじとばあばは、ただ一緒に寄り添うことしかできなかったけど、毎日元気に過ごせたからそれだけで幸せに思う。
神様は私たち老夫婦にこの先何年の命をくださるのか?
勿論誰にもわからない。ただその時が来るまでずっと一緒にいるだけ。
1分1秒でも長く生きていたいと願っている。
青木奈緖さんからひとこと
子どもたちを残して他界なさったご両親はどれほどこの世を離れ難い思いでいらっしゃったかと心痛む思いがしました。じいじとばあばのおふたりが、1日ではなく、1分1秒でも長く生きたいとおっしゃるお気持ちがよくわかります。
作品の構成としては、お母様が他界なさったときと、お父様のときと、時間が行ったり来たりしているので、もう一段階、整理することができるかもしれません。
が、そうしたことより、切実な気持ちが伝わる一作です。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。
現在、参加者を募集中です。申込締切は2022年7月26日(火)まで。詳しくは雑誌「ハルメク」7月号の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始します。
■エッセー作品一覧■
- 青木奈緖さんが選んだ4つのエッセー第3期#4
- 青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー第3期#5
- 青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー第3期#6
- エッセー作品「ずっと一緒」小笠原タミヨさん
- エッセー作品「義母(はは)の悟り」吉川洋子さん
- エッセー作品「『ありがとう』が言えなかった」徳武有紀さん
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