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- エッセー作品「七分の一の楽しみ」小田原薫さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。今月の作品のテーマは「日曜日」です。小田原薫さんの作品「七分の一の楽しみ」と山本さんの講評です。
七分の一の楽しみ
目が覚める。時計の針は午前6時を指している。平日なら眠くても、ベッドから降りる時間だ。
でも今日は起床時間が自由な日曜日。朝寝しても大丈夫な、週にたった一度の休日なのだ。
一日のんびりしていても、読書三昧でも、干物作りでも、ウィンドウショッピングでも、庭仕事でも、好きなことを選択する自由があるのが、日曜日だ。貴重な24時間を好きに過ごせるのはありがたい。
日曜日の気楽さは、夫が定年を迎えてから少し変わっていった。「毎日が日曜日」となったのである。
そんな暮らしを重ねていくうちに、1週間7日――七分の一の楽しみの日曜日が淡くて薄くなってしまったような気がする。
「非日常」の日曜日が、まるで日常の平日の仲間になってしまったかのようだ。
気がついた時には、少々戸惑ったけれど、今はもうすっかり慣れてしまう。
年齢によって日曜日の過ごし方が変化していくのは当たり前だろうし、大事なのは、どんな形の日曜日であっても、大切だと感謝して過ごす気持ちを持つことだ。
ふと40数年前の「素晴らしき日曜日」を思い出した。
息子たち(当時小学生と園児)を思い出した。息子たち(当時小学生と園児)と3人で、月1回発行していた「家族新聞」の編集会議を開いていた。
掲載する記事は、マラソン大会やサッカーの試合の結果、夢中になっていたキン肉マンの似顔絵や誕生日ごとに押した手形、読書(祖父母や叔父叔母、学校の先生)に解いてもらうクイズなど、盛りだくさんだった。
彼らの生活の記事を書くのが楽しくて、夢中だったなぁ。
息子たちといろんな話をしながらの、ワイワイと賑やかな日曜日が、待ち遠しかった。
99号まで発行し続けたが、残念なことに100号記念特集号の発表を残したまま、長い月日が流れてしまった。
心のどこかに、何かひっかかっているような気がしている。
若かったころに、中味の濃い日曜日を過ごしてきたからこそ、穏やかで落ち着いた休日のよさがわかってくるのかもしれない。
来週はどんな計画を立てて七分の一の楽しみを味わおうかな。
山本ふみこさんからひとこと
「家族新聞」素敵です!
小学生と園児だった時代、祖父母、叔父叔母、学校の先生に向けて発行されていたとのこと。それが99号まで続いたというから、驚きです。
99号まで発行し続けたが、残念なことに100号記念特集号を残したまま、長い月日が流れてしまった。
心のどこかに、何かふっかかっているような気がしている。
ぜひ、続きを発行する気持ちで、作品に取り組んでいただきたいと思います。新聞連載の始まりです。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
現在第4期の講座開講中です。次回第5期の参加者の募集は、2022年6月に雑誌「ハルメク」6月号の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。
募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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