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- エッセー作品「ばぁばの出番」原良子さん
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から青木さんが選んだエッセーをご紹介します。原良子さんの作品「ばぁばの出番」と青木奈緖さんの講評です。
ばぁばの出番
孫は可愛いものです。中学3年生の孫は赤ちゃんの時から足が大きく、ファーストシューズコーナーには、彼女にピッタリサイズはありませんでした。今は私が見上げるほど大きくなりました。彼女は我が家の近くに住んでいるので、小学生までは毎週のように遊びに来ていました。私はひとりっ子の彼女の遊び友だちでもありました。
8歳と5歳の兄妹の孫は、遠くオーストラリアに住んでいるので、なかなか会えません。おしゃべりはもちろん、絵本の読み聞かせもスカイプでします。スカイプは、遠く離れていても瞬時に互いの顔を見ながら会話できるので、地球が狭くなったような気がします。今は新型コロナウィルスの感染拡大に伴い航空便はストップしていますが、二人の孫たちへは日本語の教材や絵本などを定期的に送っていました。生活習慣や文化は国によって異なります。オーストラリア人の父と日本人の母を持つ二人の孫たちはオーストラリアのことも、日本のことも自然に受け入れながら、その違いを見つけては楽しんでいます。
スカイプでおしゃべりしていた時、娘が言いました。「私はおばあちゃんのことは知っているけど、おじいちゃんのことは覚えていない。ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんのことは全然わからない。自分の子どもたちへ日本の家族のことを話してやりたいので、教えてほしい」と。オーストラリアの家族のルーツを聞いて、自分も日本の家族のルーツを子どもたちに伝えたいと思ったそうです。
私自身が核家族で育ったので、祖父母のことは大正生まれの母から聞いたことしかわかりませんが、明治の人たちの生活、さらに江戸時代の人たちとわが家の歴史はつながっているのです。父は無口でしたが、父の代わりにおしゃべりになったという母が話してくれたことを思い出し、孫たちにファミリーヒストリーを伝えたいと思います。オーストラリアの孫たちは自分と日本のつながりを感じることができるでしょうか。中学生の孫にとっては、今の自分たちの生活と曽祖父母たちが生きてきた時代とのつながり、そして、これからの未来を考えるきっかけになるかもしれません。孫たちと曽祖父母たちをつなげるのは、「ばぁば」である私の役目と思っています。
青木奈緖さんからひとこと
楽しいタイトルです。この方の作品にはほとんど手を入れていません。
お孫様のお話ですが、日本で暮らすお孫様と、オーストラリアのお孫様たちと、住んでいる場所が二箇所に分かれているので、書き分けが難しいところをうまくまとめていらっしゃいます。遠いオーストラリアとスカイプなさるおばあさま、素敵ですね。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれます。第1期が2020年9月にスタート。講座の受講期間は半年間。
次回の参加者の募集は、2021年1月12日(火)に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
青木奈緖さんと山本ふみこさんの対談イベントの参加者募集中!
青木奈緖さんと、随筆家の山本ふみこさん。ハルメクのエッセー講座の講師を務めるお二人が書くことの魅力を語る対談を12月6日(日)にオンラインで開催します。 二人が書くことをおすすめする理由や、作家が自らの書き方について話し合う珍しいトークもあります。自分でも書きたいと思っているけれど、きっかけがなかった方も必見。詳しくはこちらをご覧ください。
■エッセー作品一覧■
- 青木奈緖さんが選んだ5つのエッセー#1
- エッセー作品「日にち薬の十年」國田千以子さん
- エッセー作品「ワイパー」澤井励子さん
- エッセー作品「ばぁばの出番」原良子さん
- エッセー作品「祖父、音吉の生涯(1)」浜三那子さん
- エッセー作品「丑じいちゃんとクルミの思い出」山本美喜子さん
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