あなたの終活、間違ってます!10・入院準備と終活

【入院】もしものときのカギを握る家族の情報共有

公開日:2024.03.28

終活コーディネーター・吉原友美さんが、新しい視点で終活を見つめ直す連載。第10回は「入院への備え」がテーマ。吉原さん自身の体験から、親の入院準備を通して見えてきた終活のポイントをご紹介。その中で再認識したのは、家族の情報共有の大切さでした。

吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

吉原友美(よしはら・ともみ)

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計1万6000人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

親の入院を機に自分の終活も考える

みなさま、こんにちは。このコラムも10回目を迎えました。いろいろなコメントや感想をお寄せいただき、ありがとうございます。これからも、このコラムがみなさまのお役に立てればと思っております。

今回は「急な入院に備えておきたいこと」がテーマです。実は昨年、私の父が救急車で運ばれ緊急入院するというハプニングがありました。そのときの体験を例に、お話ししていこうと思います。

入院時に必要な手続きや、提供を求められる情報には、終活と密接につながるものも少なくありません。私の場合、救急隊の方からまず聞かれたのは「健康保険証、お薬手帳ありますか?」でした。これらがどこにしまってあるのか、実はよく把握していないという方も多いのではないでしょうか。

親の入院を機に自分の終活も考える

親に整理しておいてほしいものは、やがて自分も整理しておかなくてはならないものです。親のもしものときの準備は、自分の終活にとっても大事なプロセスといえるのです。

親が倒れて、会話ができない状態になるときに必要な情報

  • 過去の病歴・持病(基礎疾患)の情報
  • 平熱
  • 現在飲んでいる薬の情報
  • 現在飲んでいるサプリの情報
  • 血圧の情報

こうした情報を、親も、そして自分も、普段からまとめておくとよいでしょう。

普段から健康情報の共有を

厚生労働省の2022(令和4)年国民生活基礎調査によると、傷病で通院している人は人口1000人あたり417.3人(通院者率)となっています。通院者率を性別でみると、男401.9/女431.6で女性が高くなっています。

傷病別にみると、男女ともに高血圧症での通院率が最も高く、次いで男性は糖尿病、高コレステロール血症など、女性では高コレステロール血症と眼の病気などとなっています。

厚生労働省の2022(令和4)年国民生活基礎調査
出典:2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況

多くの人が何らかの健康上の問題を抱えている中で、過去の病歴や現在の体調のことなど、家族でしっかり情報を共有することが大切です。

私も父の入院を経験し、親に健康ノート※などをつけてもらい、共有しておければいいなと思いました。日頃、どんな薬を飲んでいて、どのような生活をしていて、どんな不安を抱えているのかを共有することが、とても重要です。

※健康ノート:日常生活や健康状態について必要な情報をまとめて書き込めるノート。事故・災害・入院などのもしものときにその人の健康状態を把握できる。

「かかりつけ医の情報」も重要

私の父のケースでは、かかりつけ医の情報も役立ちました。

かかりつけ医は健康のことを何でも相談でき、身近にいて頼りになる存在ですが、普段からその人の健康状態の記録があるので、いざというときには貴重な情報源にもなります。

複数のかかりつけ医に通っているケースもあるかと思いますので、連絡先などを家族も把握しておくとよいでしょう。

「かかりつけ医の情報」も重要

入院や手術には「保証人」も必要

父は救急搬送されてから3時間後に緊急入院が決まったのですが、その手続きで「保証人」が求められました。今回は私1人で大丈夫でしたが、病院によっては2人必要という場合もあるようです。

また、緊急手術の場合には「同意書」に家族のサインも必要となります。

おひとりさまの場合は要注意

おひとりさまの場合や家族が遠方に住んでいる方などは、入院・手術の際に保証人を立てられず、同意書にサインできる人もいない可能性が出てきます。

最近では、おひとりさま向けに身元保証を代行してくれるサービスもあるので、前もって活用を検討しておくのも一つの方法です。

また、入院先の病院に相談室があるなら利用してみるのも良いと思います。入院手続きのことだけでなく、入院中から退院後のことまで、いろいろと話を聞くことができます。私も何度も足を運び、父の入院とその先の介護について相談をしました。

日頃から家族のコミュニケーションを

今回の父の入院に関しては、「もしもの事態」を想定はしていたものの、まだどこかで大丈夫という思い込みがあったことから、準備にだいぶ戸惑ってしまいました。

普通の日常が続くと思っていたら大間違い。改めて情報の共有や必要なものの整理など、準備の大切さを思い知らされました。

日頃から家族のコミュニケーションを

自分の親と、そして自分の子どもや兄弟と、日頃からコミュニケーションをどれだけ取っておけるかが、いざというときの対応の差につながってきます。家族の関係性をしっかり築いておくことが、終活にとっていかに大切か、再確認した体験でした。


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吉原友美

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計1万5000人以上の人気を誇る。インスタグラムはこちら。

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