あなたの終活、間違ってます!1・終活お片付け

自分の持ち物はすべて遺品に!その意識はありますか?

公開日:2023.06.01

更新日:2023.12.13

「通常のお片付け」と「終活お片付け」、どんな違いがあると思いますか? 終活コーディネーター・吉原友美さんは「いずれ自分の持ち物はすべて遺品に変わる」という意識が大切と言います。終活先生に、新しい視点による終活の見つめ直し方を教わりました!

セミナーでも関心が高い「終活お片付け」

みなさま、はじめまして。終活コーディネーターの吉原友美(よしはら・ともみ)です。

私は2011年から、各地で終活セミナーを開催しています。今までに累計1万5000人以上の方が私のセミナーに参加してくださいました。また、リピーターの方も多く、終活を継続的に学んでいきたいと思う方が増えているようです。

セミナー参加者のアンケートを見ますと、「終活に興味があるから参加した」「終活は何から手を付けていけば良いのかがわからないから参加した」「子どもたちに伝えていきたいから学びに来た」「片付けやエンディングノートに興味がある」といったお声が多いようです。

特に今回は、長年終活に携わってきた私の視点から、「終活お片付け」についてお伝えしていきたいと思います。

「これ全部、遺品!?」の意識が片付けの質を変える

みなさんに質問です。「通常のお片付け」と「終活お片付け」、どんな違いがあると思いますか?

終活お片付けというのは、「いずれ自分の持ち物はすべて遺品に変わる」ということを心に置きながらする片付けのことです。見回してみてください。その本も、マグカップも、スマホも、服も、すべて「遺品」になるのです。少し驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、このことを心に置きながら片付けをすると、「質」が違ってくるのです。

「これ全部、遺品!?」の意識が片付けの質を変える

通常の片付けよりも真剣になるというか、背筋が伸びるというか……。あれこれ悩んで片付けがなかなか進まなかったけれど、これからはしっかりやっていこうという気持ちに変わるようです。

早速、終活お片付けをやっていきましょう!

では、終活お片付けを実際にこのコラム上でやっていきたいと思います。

一般的なお片付けは、「物を減らすこと」に主眼が置かれがちで、終活世代は「捨てること=もったいない」と思う世代でもあることから、物を整理することに対する心の準備が必要です。

でも、私のおすすめする「終活お片付け」は、やり方が違います。

片付ける前に一度、思い出に浸りながら時間を過ごしてみる

私の考える終活お片付けでは、物を減らす前に「思い出に浸る」プロセスをまず挟みます。

例えば、昔のレコードを見つけては青春時代を思い返す、学生時代の写真や卒業アルバムから初恋を思い出すなど……。過去の体験や経験から情動的な記憶を呼び覚ましてみるプロセスです。

また、頭に浮かぶ景色がモノクロなのか、カラーなのか? どんな匂いがして、感触はどうだったのか? 周囲の音や人々はどんな感じだったのか? など、五感をフルに使って思い出に浸ることは、不思議と心の充足感につながります。

片付ける前に一度、思い出に浸りながら時間を過ごしてみる

そして、あなたが思い出に浸るその時間を、やがて残される家族もまた過ごすことになります。家族は、遺品となって残ったものを通して、あなたを思い出すのです。

私自身、20歳で家族が他界し、誰もいなくなってしまった経験をしています。そのときも、大切な家族を思い出すにはやはり過去を振り返り、思い出に浸るしかありませんでした。その時間は、思い出がどんなものであったとしても、私にとってはホッと安らげる時間であり、心の支えになることばかりだったのです。

残される家族が何を振り返るだろうか、どんな思いを抱くだろうか、そんなことをイメージしながら実際の物の整理に入っていける。そこがあえて時間をかけて「思い出に浸る」プロセスを挟むことの良さなのでしょう。

このやり方をセミナー参加者の方に12年以上伝えていますが、多くの方から共感の声をいただいています。きっと、私たちの人生は過去の思い出で成り立っているのだと、私は思います。

実際にお片付けを始めていきましょう!

思い出にじっくり浸った後は、実際に物を整理する段階に入っていきます。

まず、片付けたいところを1か所決めていただきます。そして、例えばタンスを片付けるなら、タンスの中の物を一度、全部出してみる。そして次の4つに仕分けします。

  1. 使うもの
  2. リサイクルに出すもの
  3. 保留
  4. ゴミ

4つの仕分け

3番の保留については、段ボール箱を用意してそこに1~3か月ほど保管してみて、そのあとに使うもの・リサイクルに出すもの・ゴミに仕分けていってみてください。

仕分けについては、最初にお伝えしたように「自分の持ち物がすべて遺品に変わる」ということを念頭において、取捨選択を進めるようにしましょう。

また集中してお片付けをするコツとして、30分タイマーをかけて取り組んでみるのもおすすめです。ただ長い時間をかけてもなかなか集中は続かないもの。30分程度で区切って行うと、メリハリがついて進めやすくなります。

この方法は誰でも簡単にできます。大切なことは習慣化することです。ぜひ、終活お片付けをやってみてくださいね。

【教えて、終活先生!】心の整理方法

【教えて、終活先生!】心の整理方法

さて、終活お片付けにあたって「思い出に浸る」ことが重要と書きましたが、最後に上手に思い出をたどる3つのポイントをご紹介しましょう。

  1. 物や写真を見て当時の状況や感じたことを思い出す
  2. 自身が過ごしてきた一日一日を愛おしく感じる
  3. 過去を思い出すことで新しい何かが見つかる

これまでのことをゆっくり振り返るうちに、過去にしていたけれど最近やっていないことや、やりたかったのにできていないことなども思い出すでしょう。あるいは新たに始めたいことが見つかるかもしれません。

これまで家族や周囲の人々を優先してきた方も、これを機に自分に目を向け、自分の心の声を優先して生きていきましょう。思い出に浸り充足感で満たされた心が、きっとこれからの人生に潤いをもたらしてくれます。     

終活は、実は、今を生きるための第一歩でもあるのです。

人生って誰もがいつか終わりが来るのです。そのことは、心の中で本当は理解している。だからこそ限りある人生を輝いて生き抜いてほしい。自分らしさを優先して生きてほしい。あなたにはそれができるはずです。一緒にがんばっていきましょう。

さて、連載コラム「あなたの終活、間違ってます!」の次回は、第2回目として「お片付けの心構え」や「アルバムの整理方法と生前遺影写真の見つけ方」などについてご紹介します。お楽しみに!

吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

吉原友美(よしはら・ともみ)

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計1万5000人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

※この記事は2023年6月の記事を再編集して掲載しています。


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吉原友美

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計1万5000人以上の人気を誇る。インスタグラムはこちら。

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