人生終盤にこそできる「親子の絆を深める終活」
2024.09.202024年10月10日
あなたの終活、間違ってます!15・グリーフケア
死別や喪失感を抱いている人に寄り添う7つのメソッド
終活コーディネーター・吉原友美さんの連載コラム第15回。親しい人との死別などで悲嘆や喪失感を抱えている人へ寄りそうために、何が大切かをご紹介します。
吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール
東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。
心のケア(グリーフケア)に大切な「傾聴」とは?
こんにちは。吉原友美です。先日開催されたハルメク終活セミナーに多くの方にご参加いただき、感謝申し上げます。前向きに終活と向き合うみなさまに、これからもお役に立てるようなコラムを配信していきたいと思います。
さて今号は、心のケア(グリーフケア)について「傾聴」を中心に、7つのメソッドをお伝えしていきたいと思います。
年を重ねるごとに忘れてしまいがちですが、私たちが人生で最も後悔することは「成し遂げなかった夢」ではなく、「大事な人と語り合えなかった時間」です。
1. 話をしっかりと聞く~「ロジャースの傾聴3原則」
もしあなたの家族やお友達に悲嘆(グリーフ)を抱えている人がいる場合には、その方のお話をしっかりと聞くことが大切です。
そこで心理学者、カール・ロジャースの「傾聴3原則」をご紹介します。この原則を取り入れ傾聴をしてあげましょう。相手への深い理解と共感が生まれます。これらの原則を知ることで、相手が心を開きやすくなるかがわかります。
「ロジャースの傾聴3原則」
(1)無条件の肯定的配慮(Unconditional Positive Regard)
これは、相手が何を話しても、そのまま受け入れる姿勢を持つことです。死別や喪失感を抱えている人は、どんな感情を抱いてもよいのです。「そんなことを思うなんてダメだよ」と否定するのではなく、「そう感じるのは自然だよ」と相手をそのまま受け入れることが大切です。これにより、相手は安心して自分の気持ちを話すことができます。
(2)共感的理解(Empathy, Empathic Understanding)
相手の立場に立ち、その気持ちを理解しようとすることです。例えば、友達が「どうしてこんなことが起きたの?」と言ったとき、「本当につらいね。私も同じことを思うよ」と共感することが大切です。共感することで、相手は「自分の気持ちが理解されている」と感じ、心が軽くなります。
(3)自己一致(Congruence)
自分自身が素直で正直であることです。話を聞くときに無理に励ましたり、取り繕ったりするのではなく、自分の感じたままの気持ちで接することが重要です。例えば、「私も悲しい気持ちになるよ。でも一緒に考えていこうね」と、自分の感情を隠さずに伝えることで、相手も安心して心を開くことができます。
この「傾聴3原則」を使って、相手の話をしっかりと聞くことができれば、相手は自分の気持ちを表現しやすくなり、心の中の悲しみを少しずつ外に出すことができます。
2. 一緒に過ごす時間を大切にする
喪失感を抱えている人は、孤独を感じやすくなります。信頼できる人と一緒に過ごす時間を大切にすることが推奨しています。例えば、一緒にご飯を食べたり、散歩に行ったり、静かに隣に座っているだけでも、その人に安心感を与えることができます。
また、無理に会話を続ける必要はありません。静かな時間でも、一緒にいることで「一人じゃない」と感じてもらえるのです。
3. 悲しみを受け止める
グリーフケアの観点からも、悲しみを否定せず、その人の感情を受け止めることが重要です。私は、悲しみを感じること自体が自然なことであり、無理に抑える必要はないと教えています。
悲しんでいる人に「泣いてもいいんだよ」と伝えることで、その人は自分の感情を表現しやすくなります。涙を流すことは、心の中の悲しみを少しずつ外に出す助けになります。
4. 小さな喜びや楽しみを見つける
日常の中で小さな喜びや楽しみを見つけることが、悲しみを乗り越える一歩だとされています。例えば、好きな食べ物を一緒に楽しんだり、好きな音楽を聴いたり、自然の中を散歩したりすることで、少しずつ気持ちが前向きになります。
無理に大きな変化を求めるのではなく、小さなことから少しずつ楽しみを見つけることが大切です。
5. 共感を持って接する
私は、相手の気持ちに共感し、「わかるよ」と感じてもらうことが、寄り添う上で大切だと教えています。共感することで、相手は「自分の気持ちをわかってくれている」と感じ、安心します。
時には、自分も似たような経験をしたことがあるなら、その話を共有してみてもよいでしょう。ただし、相手の気持ちに寄り添いすぎて、自分が疲れてしまわないように、自分の心のケアも忘れずに行うことが大切です。
6. 時間がかかることを理解する
喪失感や悲しみは、時間が経てばすぐに癒えるものではありません。悲しみが和らぐまでには時間がかかることを理解し、その過程を支えることが大切だ、と私は教えています。
そのため、焦らずに、ゆっくりと相手をサポートすることが重要です。「時間がかかってもいいんだよ」と伝え、その人が自分のペースで悲しみと向き合えるようにしましょう。
7. 自分自身のケアも忘れない
相手に寄り添うことは大切ですが、同時に自分自身のケアも忘れないようにしましょう。サポートをする側の心の健康も重要視されています。
自分が疲れたと感じたときは、他の人に助けを求めたり、自分の好きなことをしてリラックスしたりする時間を作りましょう。自分が元気でいることで、相手にもより良いサポートができるようになります。
7つのメソッドで心を軽くしていきましょう
死別や喪失感を抱いている人に寄り添うためには、まず相手の話をしっかりと聞くこと。その際にロジャースの「傾聴3原則」を活用することが大切です。そして、一緒に過ごす時間を大切にし、悲しみを受け止め、共感を持って接することで、その人は少しずつ心の負担が軽くなるでしょう。
吉原友美のメソッドを取り入れれば、小さな喜びや楽しみを見つけ、時間をかけて悲しみを乗り越える手助けをすることができます。また、自分自身のケアも忘れずに行いながら、共に歩んでいくことが、グリーフケアの基本です。
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