チェックリストで確認・早期治療を

「歯周病」は初期症状のうちにケアすることが肝心

公開日:2021/05/27

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重症化すると、歯を失くす恐れもある「歯周病」。しかし、初期は痛みなどの症状が少ないため、進行して初めて気づくことも多い、やっかいな病気です。歯周病は早期発見・早期治療が大事。小さな兆候を見逃さないよう、初期症状をしっかり知っておきましょう。

歯周病の初期症状とは?
歯周病の初期症状とは?

歯周病の初期は痛みがなく、気づきにくい

歯周病の初期は痛みがなく、気づきにくい

歯周病は、長い時間をかけてゆっくりと進行していく病気です。痛みや明らかな症状が出るのは、ある程度進行したあとです。

初期段階では、病院へ行く必要性を感じないほどの症状なので、つい放置しがち。このため、知らず知らずのうちに悪化させてしまうケースが多いようです。

その症状、歯周病の初期段階かもしれません

歯が痛くなくても、以下の症状があったら、歯周病の疑いありです。

▼歯周病チェックリスト

  • 朝起きたときに、口の中がねばつく
  • 歯を磨いたときに出血する
  • 歯茎(歯肉)に赤みがある
  • 歯茎がときどき腫れる
  • 硬い食べ物が噛みにくい
  • 口臭が気になる
  • 歯が浮いたような感じがする

▼さらに進行した歯周病では、こんな症状が加わってきます。

  • 歯茎から膿が出る
  • 歯茎が下がって、歯が長く見える
  • 歯の間に食べ物がよく挟まる
  • 歯がぐらつく
  • 口臭がきつくなる

歯周病ってどんな病気?覚えておきたい基礎知識

歯周病ってどんな病気?覚えておきたい基礎知識

歯周病は、歯の病気ではなく、歯を支える歯茎や骨(歯槽骨=しそうこつ)などの歯周組織の病気です。
不十分な歯磨きと、歯科医院でのお手入れ不足で、歯と歯茎の間の歯周ポケットにバイオフィルム(細菌塊)がたまり、バイオフィルム内にすむ歯周病菌の影響で、歯周組織に炎症が起きる細菌感染症なのです。
歯周ポケットは、深さが3mm以内なら正常ですが、4mm以上に深くなると、歯周病の可能性が高いと考えられます。

歯周病の初期段階は歯肉炎

歯周病の初期段階は歯肉炎

歯周病には、段階別に「歯肉炎」と「歯周炎」があります。

歯肉炎は、歯周組織の炎症が歯ぐきに留まり、歯槽骨までは及んでいない状態で、歯周病の初期段階に相当します。

歯肉炎が進行すると歯槽骨にまで炎症が及び、歯周炎になります。

歯周炎は軽度・中等度・重度と悪化するにつれて、歯ぐきや歯槽骨などが後退し、歯を支えられなくなります。こうなると歯がグラグラして、最終的に歯が抜け落ちることもあります。

50代以上の半数は歯周病。口内環境の悪さも原因に

歯周病の発症には年齢や口内環境も影響しています。

「厚生労働省:平成28年歯科疾患実態調査結果」によると、年代別では40代から増えてきて50代以上の約半数が歯周病となっています。

また、「公益財団法人8020推進財団:2018年第2回永久歯の抜歯原因調査」によると、日本人が歯を失う原因としては、虫歯と歯周病が二大原因ですが、40代後半からは歯周病の割合が高くなっています。

次のように、口内環境が悪い人は歯周病になりやすく、悪化しやすいので、注意が必要です。

  • 歯磨きが不十分な人、歯並びが悪い人、歯の間にすき間がある人、噛み合わせが悪い人、歯の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)が合っていない人などは磨き残しが出やすく、歯周病の原因であるバイオフィルムがつきやすくなります。
  • タバコを吸う人は、歯茎の血行が悪くなって抵抗力が弱まるため、歯周病のリスクが高まります。
  • 歯ぎしりや噛みしめ癖のある人は、歯に強い噛み合わせの力がかかります。この力が、歯周組織にダメージを与え、歯周病を悪化させます。

初期のうちの治療やケアが大切な3つの理由

初期のうちの治療やケアが大切な3つの理由

歯周病は、歯ばかりか体全体にも影響を及ぼす、実は怖い病気です。軽く考えずに、早めにケアするのが大事なのは、こうした理由からです。

重大な病気の発症リスクの軽減に役立つこともある

歯周病菌は、歯周ポケットから血管に侵入して血液に混ざり、体内の臓器をまわり、慢性の炎症を起こします。

特に動脈硬化とつながりが深く、脳梗塞や心筋梗塞などの血管の病気発症リスクを高めることがあります。

この他にも、歯周病の早期治療は、肺炎・認知症・慢性腎臓病、糖尿病・がんなど生活習慣病の予防に有効と考えられています。

初期なら治療もシンプル、症状の改善も早い

初期段階なら、歯科医院でバイオフィルムと歯石(プラーク(=歯垢)が硬くなったもの)を除去してもらうことで、健康な状態に戻せます。また、適切な治療を受けることで、歯茎や骨の破壊を予防できます。治療期間も短く、費用も少なく済むでしょう。

しかし、放置して歯周炎にまで症状が進行すれば、外科的な処置が必要になることもあります。さらに、歯周組織が破壊されれば、抜歯する可能性も。重症化に伴って、大がかりな治療になり、時間も費用もかかります。

将来の生活の質を落とさないために

万が一、抜歯しても、インプラントやブリッジ・入れ歯などの治療があります。

とはいえ、やはり自分の歯を失うことで噛む力が弱まります。硬いものが食べづらくなり、食べられる食品が限られてしまいます。食の楽しみが減ることで、食事量が減るなど、体調に悪影響が出る場合もあるでしょう。

「自分自身の歯で食べられる」ということはとても大事なこと。年をとったときの「人生のQOL(生活の質)」や健康の維持にも大きな影響を与えるので、歯を失くすことはできる限り避けたいものです。

歯周病対策はセルフケアとプロのケアの2本柱で

歯周病対策はセルフケアとプロのケアの2本柱で

初期段階で食い止めること、そして再発予防をすることが歯周病対策のポイント。それには、セルフケアだけでは限界があって、プロのケアも必須です。歯周病菌が悪さしにくい口内環境を作るための4つの対策はこちら。

1.自覚症状が無くても歯科クリニックでチェック

チェックリストに当てはまる症状があったら、あるいは特に症状がなかったとしても、自己判断せずに、一度、歯科クリニックで検査を受けること。歯周病なのかどうか、今の状態を診断してもらいます。

  • 検査内容は、歯石の有無や、歯茎の腫れや出血状況、噛み合わせの状態などのチェックとともに、歯周病菌によって歯槽骨がダメージを受けていないかレントゲンで確認、歯周ポケットの深さを測るなどをします。
  • 検査後は、進行度にかかわらず基本治療を行うのが普通です。基本治療では、バイオフィルムや歯石の除去、歯表面の汚れの除去、噛み合わせの調整などを行います。症状が改善して、出血がなく歯周ポケットの深さが浅く維持されていれば、歯周病の初期の場合は、治療完了となります。

2.歯磨き指導を受けて毎日実践する

2.歯磨き指導を受けて毎日実践する

歯周病の直接的な原因は、バイオフィルムです。歯周病の改善・予防には、バイオフィルムが悪化しないように、毎日の丁寧な歯磨きでプラークをきちんと取り除くこと(プラークコントロール)が基本となります。

ただ、ちゃんと磨いているつもりでも、自分なりの癖があって、磨き残しがどうしても出てしまいます。歯科クリニックで歯磨き指導を受け、正しい磨き方や自分の磨き癖を教えてもらいましょう。

教わったコツを意識して磨くようにすると、歯に汚れがつきにくくなり、口腔環境が改善していくのが実感できるはずです。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使って、歯の間の汚れをケアするのもおすすめです。

3.生活習慣を見直してみる

歯周病にかかりやすくなる要因としては、生活習慣や基礎疾患も挙げられます。たとえば、偏った食生活、疲れやストレスの蓄積、喫煙習慣などに心当たりのある人は要注意です。また、糖尿病などの病気にかかっていると歯周病が進行しやすいといわれています。

意識して栄養バランスの良い食事をとる、休息やリラックスする時間を持つ、ストレスを解消する、禁煙するなど、できることから歯周病対策を始めましょう。もちろん基礎疾患の治療は優先して行ってください。

4.定期的なクリーニングなどのメンテナンスを

歯磨きをきちんと行っていても、バイオフィルムや歯石を自分で完全に取り除くのは無理があります。

そこで大事なのが、治療がいったん終わった後も歯科クリニックで「定期的にメンテナンスを受ける」こと。歯のクリーニングや、歯磨きのチェックを受けることで、歯茎を良い状態に保ち、歯周病の進行を未然に防ぐことができます。

歯科クリニックでの定期検診は、歯のトラブルの早期発見にも役立ちます。歯ぎしりや悪い噛み合わせ、また、歯の詰め物や被せ物の不具合が歯周病の一因になっている場合でもすぐに対処でき、悪化を食い止められます。

メンテナンスの頻度は、状態により異なりますが、通常、3~6か月に一度が目安です。

歯周病で歯を失くさないためには、なにより、初期のうちにケアすること。同時に、毎日の歯磨きといったセルフケアや、 歯科クリニックでのプロのケアで予防することが大切です。

40代後半から50代は歯周病が増えてきます。今こそ口腔ケアをスタートするタイミング! 年を重ねても自分の歯で食事を楽しみ、健康な毎日を送れるように、歯周病を発症・進行させない習慣を身につけましょう。

監修者プロフィール:宮本日出(みやもと・ひずる)さん

取材先・監修者プロフィール:宮本日出(みやもと・ひずる)さん

歯科医師、歯学博士、幸町歯科口腔外科医院院長。日本顎関節学会・代議員・指導医・専門医、厚生労働省認定歯科医師卒後臨床研修指導医教官。1965年、石川県金沢市に三人兄弟の末っ子として生まれ、猛勉強を始め、愛知学院大学歯学部に合格。のちに歯科医師免許取得。現在では、国内外に160篇以上の論文を発表し、複数のメディアにも登場するカリスマ歯科医となる。

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