公開日:2021/03/05
更新日:2022/06/14
今回のテーマは「二の腕のたるみ」。二の腕エクササイズで、見た目の美しと健康的な若さを手に入れませんか?スポーツドクターや整形外科医としても活躍する医師の中村格子さんに教えてもらいましょう。
できれば隠しておきたいのがだるーんとたるむ二の腕。とはいえ、仕方がないとそのままたるませ続けるのは危険です。たるみを放っておくと、背中の筋力の弱りや腰の曲がりを招き、肩や腰の痛みにつながることも。二の腕すっきりエクササイズで、見た目の美しさはもちろん、健康的な若さも手に入れませんか。
年齢を重ねると突然主張してくる二の腕のたるみ。歩行中や手を振ったときに、まるで「振袖」のようにぶるんと振れてショック……という人もいるのでは。こんなとき「太り気味だし、年齢だから仕方がない」と諦めてはダメ。実は二の腕のたるみは見た目の問題だけでなく、背中の筋肉や肩こりにも大きく影響しています。
二の腕がたるむのは、普段からしっかりとひじを伸ばしていないから。料理や手仕事など、私たちが何かをするときには、大抵ひじは曲がっているものですよね。歩くときも、指先からひじまでしっかりと伸ばしている、という人は少ないもの。
試しにひじを伸ばして腕を振ってみてください。腕を後ろに引くときに背中の筋肉もぐっと引き締まるのがわかるでしょう。つまり、ひじを伸ばせば、背中も鍛えられるということ。今回ご紹介する二の腕エクササイズで、たるみの解消だけでなく、姿勢にも自信がつきますよ。
ひじを伸ばして、肩こり・腰痛も解消していきましょう。二の腕のたるみの正体は、筋力が衰えたことでたまる皮下脂肪。筋肉が衰え続けると、どんどん皮下脂肪をためこみ、上等な霜降り肉のような、脂身たっぷりの二の腕になってしまいます。つまり、たるみの解消には、筋肉を衰えさせないことが大切なのです。
腕の筋力と聞くとまず思い浮かべるのは、上腕にできる力こぶでしょう。ところが、いくら力こぶを鍛えてもたるみは解消されません。力こぶは上腕二頭筋と呼ばれる、ひじを曲げたときに力を発揮する筋肉。二の腕のたるみを解消するひじを伸ばす筋肉は、力こぶとは反対側にある上腕三頭筋なのです。
下に紹介した上腕三頭筋を鍛えるエクササイズ1でも、ひじを伸ばすときに意識を向けてください。エクササイズ2では上腕三頭筋をしっかりと引くイメージで。
エクササイズ中だけでなく普段の生活でもひじを伸ばすように意識すれば、たるみは解消されていきます。歩行中や待ち時間など、ふと思いついたときに伸ばしてみてください。特に女性は皮下脂肪をためやすく、男性に比べ二の腕がたるみやすいのです。毎日の習慣がたるみ解消には欠かせません。
また、たかが二の腕のたるみと侮るのもダメ。チェック1の右写真のように、ひじが伸びれば、自然と肩や背中にも力が入り姿勢も整います。ひじを曲げたとたん、肩や背中の筋肉が使えず、左写真のような状態に。二の腕のたるみは、腕の筋肉だけでなく肩や背中の筋肉の衰えにも影響します。二の腕のたるみ解消のために、しっかりひじを伸ばせば、肩や背中のエクササイズにもなって、肩こりや腰痛の解消にもつながりますよ。
今回のチェックポイントは手の位置です。姿勢を意識し、背筋を伸ばした状態ではなく、普段の立ち姿勢でチェックしてみましょう。
【NG】 手が前に出て、肩が落ち込んだ状態。腕の筋力が弱り、たるみを招きます。
【OK】立ったときに、きちんと手が体の脇にくればよい。
腕をまっすぐに伸ばし、ひじと腕の付け根の中間部くらいをもう片方の手の親指と人差し指の第一関節で軽くつまみます。
指でつまんだまま、ひじを曲げていき、腕を曲げきったときに、指でつまめれば立派なたるみがある証拠。
たるみを解消するには、筋力をつけることが大切。500mLの水が入ったペットボトルを使って、上腕三頭筋を鍛えましょう。
ひじから上の上腕部を意識してストレッチし、筋肉の柔軟性を取り戻します。
ひじを曲げるのが難しければ、手を握って引っ張るだけでもOK。ムリのない程度に。
壁に体重をかけて、腕の筋力で支えます。伸ばしきったときにも、しっかりと筋肉に力を入れるイメージで。
腕を曲げたときに、体のラインがまっすぐになるように意識。上半身だけ曲げたり、体だけを壁に近づけたり、体がそるのはNG。腕にまったく力が入らず、エクササイズになりません。
壁腕立て伏せでは物足りないという人は、机やいすなどの高さによって負荷を変えて。低くなるほど負荷は高まります。
(注意)体をあずけるため、可動式やぐらつきなどのある不安定なものでは行わないように。
筋トレと聞くと激しい動きやムリな強度で行った方が、より筋肉が鍛えられると考える人も多いでしょうが、それは間違い。ムリに負荷の高いエクササイズをしても、体を痛めては本末転倒です。高すぎる強度の運動は怪我につながるなど、効果が得られないばかりか、かえって筋力を衰えさせる原因になることも。また、回数や負荷ばかり気にするあまり、エクササイズ中の姿勢が崩れるのも問題。鍛えたいところが意識できず、思った効果が得られません。
筋肉は疲労し、修復する過程で太く強化されていくもの。つまり、筋肉を衰えさせないためには、筋肉を修復するための食事が欠かせません。筋肉に限らず体を構成するのは主にたんぱく質です。ビタミンやミネラルなどを含む野菜をたくさんとることも大切ですが、たんぱく源となる魚や肉もしっかりと取るように意識してください。動物性たんぱく質の方が体の中で利用されやすいため、できれば肉や魚を食べるようにしてほしいのですが、どうしても胃がもたれるといった場合は大豆などの植物性たんぱく質で補うようにしましょう。
また、ご飯や麺などの炭水化物も脳や体を動かすエネルギー源となるもの。制限し過ぎれば、エネルギー不足となるため、糖尿病など制限が必要な場合以外はきちんと食べることをおすすめします。
食事は睡眠と同じように体の修復を担うもの。肥満を気にするあまり、低カロリーならぬ、低栄養状態を招かないように注意してください。
中村格子(なかむら・かくこ)
整形外科医 医学博士 スポーツドクター
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長
「健康であることは美しい」をモットーにトップアスリートから一般まで健康で美しい人生をサポートをすべく自身のクリニックや講演、多数メディアなどで幅広く活動。特別な道具やテクニックは必要なく誰でも取り組みやすい独自のエクササイズを提案。
『大人のラジオ体操』(講談社刊)はシリーズ累計83万部。『究極のストレッチ』(日経BP社刊)は複数の海外翻訳版発行。
Dr.KAKUKOオンラインクラス開講中 https://dr-kakuko.teachable.com/
取材・文=中嶋信次(編集部) ヘアメイク=木村三喜(マスキュラン) 撮影=中西裕人(編集部) 衣装協力=チャコット
※この記事は雑誌「ハルメク」2013年8月号に掲載した記事を再編集しています。
■もっと知りたい■
雑誌「ハルメク」
創刊22年目、女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
この記事をマイページに保存