足の臭いを消す方法とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

足の臭いを消す方法とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

公開日:2025年12月08日

足の臭いを消す方法とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】AH86 / PIXTA

足の臭いでお悩みの50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、皮膚科医の中野貴光先生の監修のもと、足の臭いの原因と、すぐにできる対策から根本的な改善方法まで、わかりやすくお伝えいたします。

よしクリニック院長 中野 貴光
監修者
中野 貴光
監修者 中野 貴光 よしクリニック

 

この記事3行まとめ

✓足の臭いは汗と菌が原因。特に「イソ吉草酸」という物質が強い臭いのもとです。
✓50代・60代は角質が厚くなりがち。丁寧な洗浄と保湿、靴の選び方が重要です。
✓セルフケアで改善しない、かゆみなど他の症状がある場合は皮膚科受診を検討しましょう。

足の臭いの正体とは?

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足の臭いは、医学的には「足部悪臭症(そくぶあくしゅうしょう)」と呼ばれることもあります。これは病気というより、足から発生する不快な臭いの状態を指す言葉です。

臭いの主な原因は、汗そのものではありません。足の裏にかいた汗が、皮膚の表面にもともといる「常在菌」によって分解される過程で、臭い物質が発生するのです。特に「イソ吉草酸(いそきっそうさん)」という物質は、納豆のような、むわっとした特有の臭いのもととして知られています。

50代・60代になると、肌のターンオーバー(新陳代謝)が遅くなる影響で、足の裏の角質が厚く、硬くなりがちです。この古い角質は常在菌の絶好のエサになるため、若い頃より臭いが気になりやすくなる方もいらっしゃいます。

よく見られる身体的症状

足の臭いの主な症状は、もちろんその不快な臭いです。しかし、臭いだけでなく、以下のような状態を伴うこともあります。

  • 足のじっとりとした湿り気:汗をかきやすい方は、常に足が湿った感じがすることがあります。
  • 皮膚のべたつき:汗と皮脂が混ざり合うことで、べたつきを感じることがあります。
  • かゆみや皮むけ:もし、かゆみや水ぶくれ、皮むけなどを伴う場合は、「水虫(足白癬)」の可能性も考えられます。水虫も特有の臭いの原因となるため、注意が必要です。

心理的な変化

「自分の足が臭うかもしれない」という不安は、思った以上に心の負担になるものです。

  • 人前で靴を脱ぐのが怖い(お座敷での食事会、友人宅への訪問など)
  • 臭いが周りに気付かれていないか、常に気になってしまう
  • フィットネスジムや温泉など、裸足になる場所を避けてしまう

こうした心理的なストレスから、社交的な活動が億劫になってしまう方も少なくありません。一人で悩まず、正しい知識で対処していくことが大切です。

統計データ

足の臭いに関する大規模な公的統計は多くありませんが、多くの調査で、成人の半数以上が自分の足の臭いを気にした経験があると報告されています。これは決して特別な悩みではなく、多くの方が共有する問題と言えます。特に、靴を履く時間が長い現代のライフスタイルでは、誰にでも起こりうる身近な悩みです。

足の臭いの原因とメカニズム

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主な原因

足の臭いの主な原因は、複合的ですが、大きく以下の4つに分けられます。

1. 生理学的要因

  • 汗:足の裏には「エクリン汗腺」という汗を出す器官が体の他の部位の数倍も集中しており、1日にコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われています。汗の99%は水分で、それ自体はほぼ無臭ですが、菌の増殖に最適な湿潤環境を作り出します。
  • 常在菌:私たちの皮膚には、健康な状態でも多くの種類の「常在菌」が生息しています。足の裏では、表皮ブドウ球菌やコリネバクテリウム属の細菌などが、汗や皮脂、垢(あか)を分解することで、臭いの元となるさまざまな物質を作り出します。
  • 角質と皮脂:新陳代謝によって剥がれ落ちる古い角質や、皮脂腺から分泌される皮脂は、常在菌にとって格好の栄養源となります。特に50代以降は、肌のターンオーバー周期が長くなる傾向があり、角質が溜まりやすく、厚くなるため、より菌が繁殖しやすい環境になりがちです。
  • 爪の汚れ:見落としがちですが、爪と皮膚の間や、爪の周りの溝には、古い角質や石鹸カス、靴下の繊維などが溜まりやすく、菌の巣窟となります。これが頑固な臭いの原因になることも少なくありません。

2. 環境的要因

  • 靴と靴下:通気性の悪い合成皮革の靴やゴム製の長靴、ブーツ、また吸湿性の低いナイロンやポリエステル製のストッキング・靴下は、汗を外に逃がすことができず、靴内部を高温多湿な状態にしてしまいます。これはまさに、菌を培養しているような状態です。
  • 同じ靴の連続使用:一度履いた靴の内部は、汗によって湿っています。完全に乾燥するには24時間以上かかるとも言われています。乾燥しないうちに再び履くことは、菌にエサと水分を与え続け、臭いを悪化させる大きな原因です。

3. 生活習慣・食生活

  • 食生活の偏り:肉類やバターなどの動物性脂肪を多く摂取する食生活は、皮脂の分泌を活発にし、体臭や足の臭いを強くする可能性があります。また、ニンニクやニラ、アルコールなども、体内で分解されて汗とともに排出される際に、臭いのもととなることがあります。
  • 疲労とストレス:過労や睡眠不足、精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱します。これにより、体温調節とは関係なく汗をかく「精神性発汗」が促されることがあります。この汗は、アンモニアなど臭いの元となる成分を多く含むため、臭いが強くなる傾向があります。

4. 病気の可能性

  • 皮膚の病気:足の臭いが急に強くなったり、セルフケアで改善しない場合は、単なる臭いではなく病気が隠れている可能性も考慮すべきです。
  • 水虫(足白癬):白癬菌というカビ(真菌)の感染症。菌自体が臭いを発するわけではありませんが、水虫によって皮膚が傷つくと、そこから二次的な細菌感染が起こりやすくなり、強い臭いの原因となります。
  • 点状角質融解症:細菌感染により、足の裏の角質層が溶けて、多数の小さな窪み(点状の陥凹)ができる病気です。硫黄化合物が産生されるため、非常に強い特有の悪臭を放ちます。
  • 全身の病気:非常にまれですが、糖尿病、腎臓病、肝臓病など、特定の全身性疾患が原因で、体臭や足の臭いが変化することもあります。例えば、糖尿病が進行すると、アセトンという甘酸っぱい臭いがすることがあります。足の臭い以外にも気になる症状があれば、内科などのかかりつけ医に相談しましょう。

発症メカニズム

足の臭いは、以下のステップで発生します。

  1. 足の裏から汗が出る。
  2. 靴や靴下によって、足が高温多湿の状態(蒸れた状態)になる。
  3. 皮膚の常在菌が、汗や古い角質、皮脂をエサにして急激に増殖する。
  4. 増殖した菌がエサを分解する過程で、臭いの原因物質「イソ吉草酸」などを産生する。
  5. 発生した臭い物質が、靴や靴下にこもり、強い臭いとして感じられる。

リスク要因

以下のような方は、足の臭いが強くなる傾向があります。

  • 汗をかきやすい(多汗症)
  • 長時間、靴を履きっぱなしで仕事をしている
  • 通気性の悪い安全靴やブーツを日常的に履く
  • ストッキングやタイツを履く機会が多い
  • 水虫にかかっている
  • 角質が厚く、硬くなっている
  • 糖尿病などの持病がある(感染症への抵抗力が弱まることがあるため)

診断方法と受診について

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次に、受診する場合の流れについて説明します。

いつ受診すべきか

基本的にはセルフケアでの改善が期待できますが、以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関(皮膚科)を受診しましょう。

  • 毎日の洗浄やケアを続けても、臭いが全く改善しない
  • 強いかゆみ、水ぶくれ、じゅくじゅくした皮むけがある(水虫の可能性)
  • 足の裏に、小さな穴がたくさんあいている(点状角質融解症の可能性)
  • 臭いが異常に強く、日常生活に支障が出ている
  • 糖尿病などの持病があり、足の皮膚トラブルが心配な場合

診断の流れ

多くの場合、特別な検査は不要で、医師による問診と視診(目で見て観察すること)で診断が進みます。

1. 問診で確認すること

医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。

  • いつから臭いが気になり始めましたか?
  • どのような時に特に臭いが強いと感じますか?
  • 普段どのような靴や靴下を履いていますか?
  • 1日にどのくらいの時間、靴を履いていますか?
  • かゆみや皮むけなど、他の症状はありますか?
  • これまでに水虫と診断されたことはありますか?
  • 現在治療中の病気はありますか?

問診でスムーズに答えられるよう、ご自身の状況を整理しておくと良いでしょう。

2. 足の診察

次に、医師が足の状態を直接観察します。指の間、爪の状態、かかとの角質の厚さ、皮むけや水ぶくれの有無などを確認します。

3. 代表的な検査例

かゆみや皮むけがひどい場合など、水虫が疑われる際には、「顕微鏡検査」を行うことがあります。これは、足の皮膚の角質を少量こすり取り、顕微鏡で水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)がいるかどうかを確認する簡単な検査です。医師が必要と判断した場合に行われます。

受診時の準備

  • 清潔な状態で受診する:ただし、受診直前に足を洗いすぎると、正しい診断の妨げになることがあるため、普段通りの状態で受診しましょう。
  • 普段履いている靴や靴下を伝える:可能であれば、よく履く靴を持参するのも良いでしょう。
  • 水虫の薬は使用しない:水虫を疑った場合、あらかじめ市販薬や家族の水虫の薬を使用してみたくなりますが、薬を使用すると「顕微鏡検査」をしても白癬菌が見つかりにくくなってしまいます。皮膚科に受診する2週間ほど前から水虫の薬の使用は中止しましょう。
  • 症状のメモ:いつから、どんな時に、どのくらい気になるか、試したセルフケアなどをメモしておくと、医師に的確に伝えられます。

受診すべき診療科

足の臭いや関連する皮膚トラブルの専門は皮膚科です。どこに皮膚科があるかわからない場合は、お住まいの市区町村のウェブサイトや保健所の案内で、地域の医療機関を探すことができます。

足の臭いの治療法

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治療方針の決定

医師は、問診や診察の結果から、臭いの原因が何かを判断します。単なる生理的な臭いなのか、水虫などの病気が隠れているのかによって、治療方針は異なります。生活習慣の指導が中心になることもあれば、お薬が処方されることもあります。患者さん一人一人のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる方法を一緒に考えていきます。

薬物療法

  • 外用抗真菌薬:水虫が原因の場合に処方されます。かゆみが治まっても、菌が残っていることがあるため、医師の指示通りに塗り続けることが重要です。
  • 制汗剤:汗の量が非常に多い「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」と診断された場合、塩化アルミニウム液などの医療用制汗剤が処方(保険適応ではありません)されることがあります。
  • 抗菌薬:まれに、細菌感染によって臭いが強くなっている場合(点状角質融解症など)は、抗菌薬の塗り薬が処方されます。

注意:自己判断で市販薬を使い続けると、症状が悪化したり、かぶれを起こしたりすることがあります。必ず医師の診断を受けてから、適切な薬を使用しましょう。

非薬物療法

  • 角質ケア:皮膚科では、硬くなった角質を柔らかくする尿素配合のクリームなどが処方されることがあります。
  • 爪のケア指導:爪の切り方や、爪の間の汚れを取る方法など、専門的な指導を受けられる場合があります。

注意:自分で角質を削りすぎると、皮膚を傷つけてしまう危険があります。特に糖尿病などの方は、自己処理は避け、医師に相談してください。

生活習慣による管理

治療の基本は、日々の生活習慣の見直しです。

  • 正しい足の洗い方:殺菌成分配合の石鹸をよく泡立て、指の間や爪の周りまで丁寧に洗います。
  • しっかり乾かす:洗った後は、清潔なタオルで水分を完全に拭き取ります。特に指の間は湿気が残りやすいので注意が必要です。
  • 靴のローテーション:同じ靴を毎日履かず、2〜3足を交互に履き回し、履かない靴は風通しの良い場所でしっかり乾かします。

治療期間と予後

水虫などの病気が原因であれば、数か月単位の治療が必要になることがあります。一方、生活習慣が主な原因の場合は、セルフケアを実践することで、数週間程度で臭いの改善が期待できます。根気強くケアを続けることが、良好な予後につながります。

予防法と日常生活での注意点

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臭い対策は、毎日の地道なケアが最も効果的です。ここでは、具体的な予防法と生活の工夫をご紹介します。

一次予防(臭いを発生させないために)

1. 正しい足の洗い方をマスターする

毎日の入浴時に、以下のポイントを意識して丁寧に洗いましょう。

  • 準備:殺菌成分や洗浄力の高い足用の石鹸やボディソープを用意し、しっかりと泡立てます。
  • 指(趾)の間:足の指(趾)を一本一本手で広げながら、指の付け根から指先まで、丁寧に泡で包み込むように洗います。特に第4趾と第5趾の間はくっつきやすく、汚れが残りやすいので意識しましょう。
  • 爪の周り:爪の生え際や、爪と指の間の溝は、古い角質や汚れが溜まりやすい場所です。柔らかいブラシ(使い古しの歯ブラシでも可)を使って、優しくかき出すように洗いましょう。
  • かかと・足の裏:硬くなったかかとは、菌の温床です。ただし、硬い軽石などで毎日ゴシゴシこするのはNG。皮膚を傷つけ、かえって角質が厚くなる原因になります。週に1〜2回、専用のフットファイルやスクラブで優しくケアする程度にしましょう。
  • すすぎと乾燥:洗浄成分が残らないよう、シャワーでしっかりと洗い流します。その後、清潔で乾いたタオルを使い、特に指の間の水分を完全に拭き取ります。お風呂上がりは、足が完全に乾くまで裸足で過ごすのもおすすめです。

2. 通気性を意識した靴・靴下選び

  • 靴下の素材:吸湿性・速乾性に優れた素材を選びましょう。一番のおすすめは綿(コットン)や麻(リネン)、シルクなどの天然繊維です。化学繊維の中では、スポーツ用などに使われる高機能ポリエステルも良い選択です。ナイロン製のストッキングやタイツは、どうしても蒸れやすいので、特別な日以外は避けるか、吸湿性のある中敷きと併用しましょう。
  • 5本指ソックスの活用:指がそれぞれ独立しているため、指の間の汗をしっかりと吸収し、蒸れを大幅に軽減してくれます。見た目に抵抗がある方も、一度試してみる価値はあります。
  • 靴の素材とデザイン:靴も同様に、通気性の良い素材が理想です。合成皮革よりは天然皮革、メッシュ素材を使ったスニーカーなどがおすすめです。デザインも、つま先が細いものより、指が自由に動かせるゆとりのあるものを選びましょう。

3. 靴のローテーションとメンテナンス

  • 最低3足をローテーション:一度履いた靴は、風通しの良い日陰で最低2日間は休ませ、内部の湿気を完全に乾燥させましょう。これにより、菌の増殖サイクルを断ち切ることができます。
  • 中敷き(インソール):取り外せるものは、履いた後に取り出して乾かしましょう。抗菌・消臭効果のある中敷きに交換するのも非常に効果的です。
  • 靴用消臭・除菌スプレー:靴を脱いだ直後に、内部にスプレーしておくと、菌の増殖を抑えられます。
  • 靴用乾燥剤:新聞紙を丸めて詰めておくだけでも湿気取りに効果がありますが、市販の靴用乾燥剤(シダードライなど)を使うと、消臭と同時に木のさわやかな香りが移り、より快適です。

二次予防(臭ってしまった時の対策)

  • 足用デオドラント剤の活用:外出前に、制汗・殺菌成分の入ったデオドラント剤(スプレー、クリーム、スティックタイプなど)を足の裏や指の間に塗っておくと、日中の汗と臭いを長時間抑えることができます。自分の肌質やライフスタイルに合ったものを選びましょう。
  • 汗拭きシートの携帯:日中、足の蒸れや臭いが気になった時のために、殺菌成分配合の汗拭きシートを携帯しておくと安心です。お手洗いなどでさっと足を拭くだけで、不快感が大きく改善します。
  • 履き替え用の靴下:特に汗をかきやすい夏場や、長時間歩く日には、替えの靴下を一枚持っていくと、午後の快適さが全く違います。

日常生活でできるその他の工夫

  • 角質ケアと保湿:週に1〜2回、お風呂で角質が柔らかくなった状態で、フットファイルやスクラブを使い、優しく古い角質を取り除きます。ケアの後は、尿素配合のクリームなどで必ず保湿しましょう。乾燥は角質を硬くする原因になるため、保湿は非常に重要です。
  • 食生活の見直し:和食中心のバランスの取れた食事を心がけ、動物性脂肪の多い食事や香辛料の強い食事、アルコールの摂取は控えめにしましょう。
  • ストレス管理:適度な運動や趣味の時間、十分な睡眠をとり、心身をリラックスさせることも、巡り巡って臭い対策につながります。

家族・周囲のサポート

足の臭いはデリケートな問題です。もしご家族の臭いが気になる場合でも、頭ごなしに指摘するのではなく、「足、疲れてるんじゃない?」「水虫かもしれないから、一度お医者さんに行ってみたら?」など、思いやりを持った声かけを心がけましょう。また、玄関に靴用の消臭スプレーを常備したり、バスマットをこまめに交換したりするなど、家族みんなで協力できる環境づくりも大切です。

よくある質問(FAQ)

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Q1: なぜ足は特に臭くなりやすいのですか?

A: 足の裏には汗腺が体の他の部分より集中しており、非常に汗をかきやすい部位だからです。その汗をエサにする菌が、靴や靴下の中で蒸れて増殖し、強い臭いを発生させるため、他の部位より臭いが気になりやすくなります。

Q2: 毎日きちんと洗っているのに臭いが消えません。なぜですか?

A: いくつか理由が考えられます。洗い方が不十分で指の間や爪の汚れが落ちていない、洗った後にしっかり乾かせていない、あるいは毎日同じ靴を履いていて靴自体が菌の温床になっている、などが考えられます。また、水虫などセルフケアだけでは改善しない病気が隠れている可能性もあります。

Q3: ストレスは足の臭いに関係ありますか?

A: はい、関係あります。強いストレスや緊張を感じると、精神性発汗といって汗の量が増えることがあります。また、ストレスは体の抵抗力を弱めることもあるため、菌が繁殖しやすくなる一因とも考えられています。

Q4: 食生活で気を付けることはありますか?

A: 動物性脂肪やタンパク質に偏った食事は、体臭を強くする可能性があると言われています。直接的な影響は限定的かもしれませんが、バランスの取れた食生活を心がけることは、体全体の健康維持につながり、結果として臭いの軽減にも役立つ可能性があります。

Q5: 足の臭いは水虫のサインですか?

A: 必ずしもそうではありませんが、水虫(足白癬)は強い臭いの原因になることがあります。もし、セルフケアをしても臭いが改善せず、かゆみや皮むけ、水ぶくれなどがある場合は、水虫の可能性が高いので皮膚科を受診することをおすすめします。

Q6: おすすめの靴下の素材はありますか?

A: 吸湿性と速乾性に優れた素材がおすすめです。具体的には、綿(コットン)、麻(リネン)、ウール、シルクなどの天然繊維や、機能性化学繊維が良いでしょう。ナイロンやポリエステルが主体のものは、汗を吸いにくく蒸れやすい傾向があります。

Q7: 靴自体の臭いを取るにはどうすればいいですか?

A: まずは風通しの良い場所で完全に乾かすことが基本です。市販の靴用消臭・除菌スプレーを使う、天日干しをする(素材によります)、靴用の乾燥機を使う、10円玉(銅イオンの殺菌効果)を数枚入れておく、といった方法が効果的です。

Q8: すぐに臭いを抑える方法はありますか?

A: 根本的な解決にはなりませんが、その場ですぐに臭いを抑えたい場合は、殺菌・消臭成分の入った足用のウェットシートで足を拭く、または消臭スプレーを使うのが最も手軽で効果的です。お出かけの際に携帯しておくと安心です。

Q9: 病院に行くべきか迷います。どのような状態なら受診すべきですか?

A: 「強いかゆみがある」「皮がむけたり、じゅくじゅくしている」「セルフケアを1ヶ月続けても全く改善しない」といった場合は、一度皮膚科で相談してみることをお勧めします。専門家の目から見ることで、思わぬ原因が見つかることもあります。

Q10: 年齢とともに足の臭いが強くなることはありますか?

A: そのように感じる方は少なくありません。加齢により皮膚の新陳代謝が落ちて角質が厚くなったり、乾燥しやすくなったりすることが、菌の繁殖しやすい環境につながる可能性があります。年齢に合わせた丁寧なフットケアが、臭いの予防につながります。

Q11: ミョウバンや重曹を溶かしたお湯に足をつける「足湯」は効果がありますか?

A: ミョウバンには収れん作用(肌を引き締めて汗を抑える作用)や抗菌作用が、重曹には皮脂や角質を柔らかくする作用や消臭効果があるとされ、古くから使われている民間療法です。一定の効果を感じる方もいるかもしれませんが、肌が弱い方は刺激になることもあります。試す場合は、ごく薄い濃度から始め、肌に異常が出たらすぐに中止してください。

Q12: 足の臭いは家族にうつりますか?

A: 足の臭いそのものが、空気感染のようにうつることはありません。しかし、臭いの原因が水虫(足白癬)であった場合、水虫は感染症ですので、家庭内でうつる可能性があります。特に、バスマットやスリッパの共用は感染経路になりやすいので注意が必要です。ご家族に水虫の方がいる場合は、マット類を別にしたり、こまめに掃除したりする対策が重要です。

Q13: 足の臭いの治療に、健康保険は適用されますか?

A: 医師が診察した結果、水虫(足白癬)や足蹠多汗症、点状角質融解症などの「病気」であると診断された場合の治療(診察、検査、薬の処方など)には、健康保険が適用されます。しかし、特に病的な原因がなく、生活習慣に起因する生理的な臭いに対するケアやカウンセリングは、原則として自費診療となります。

まとめ

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大切なポイント

  • 足の臭いの3大原因は「汗」「菌」「角質」です。
  • 治療と予防の基本は、正しい「洗浄」と「乾燥」、そして「通気性」です。
  • かゆみや皮むけを伴う場合は、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。
  • 日々の小さな工夫(靴のローテーション、消臭グッズの活用)が、大きな自信につながります。

足の臭いは、決して恥ずかしいことではなく、誰にでも起こりうる生理現象の一つです。正しい知識を持って丁寧にケアをすれば、きっと改善できます。一人で悩まず、これを機にご自身の足をいたわる習慣を始めてみませんか。快適な毎日を取り戻しましょう。


健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ

この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。

かかりつけ医について詳しく知る(厚生労働省)

 

監修者プロフィール:中野 貴光さん

中野 貴光さん

よしクリニック(東京都練馬区) 院長。日本形成外科学会形成外科専門医。日本熱傷学会熱傷専門医。日本レーザー医学会レーザー専門医。日本手外科学会手外科専門医。日本形成外科学会小児形成外科分野指導医。医学博士。形成外科・皮膚科・美容皮膚科・美容外科の医療を提供する「よしクリニック」にて、4種類の専門医をもつマルチな形成外科医として、幅広い知識と高い技術をもって診察にあたっている。

 

HALMEK up編集部
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