あなたはどのぐらい冷えている?「冷え」のタイプと原因をチェック!
あなたはどのぐらい冷えている?「冷え」のタイプと原因をチェック!
公開日:2025年10月06日
教えてくれた人:林忍(はやし・しのぶ)さん
横浜血管クリニック院長。1993年、慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院、済生会横浜市東部病院などを経て、2016年から現職。血管外科専門医として、下肢静脈瘤などの血管に関わる病気や冷えの診療に当たる。著書に『「冷え症外来」の医師が教える 冷えとり習慣』(イースト・プレス刊)がある。
どのぐらい冷えている?まずは「冷え」チェックから!
指がかじかむ、カイロが手放せない、足が冷えて夜眠れない……。そんな冷えに悩む女性は多いもの。冷え症外来を設ける横浜血管クリニック院長の林忍さんは次のように話します。
「冷えは、体を温める血液が体のすみずみに十分届かないために起こります。あらゆる年代に見られますが、特に女性に多いですね。そのほとんどが末端の血液のめぐりが悪く、手足の先が氷のように冷たいタイプ。中には額と手足の温度差が10度以上ある方もいます」
林さんによると、冷えは主観なので本人の自覚と冷えの程度は必ずしも一致しないそう。そこでまず試してほしいのが、冷えのチェック。家族などに額と手足の甲を触ってもらい、どのくらい冷たいか、客観的に確認しましょう。
こんな症状がある人は要注意!
- 寒いわけでもないのに手足が冷たい
- 布団に入っても手足が冷えて眠れない
- お風呂に入ってもすぐに手足が冷えてしまう
- 脚は冷えるのに、顔はほてる
- 便秘や下痢になりやすい
「年だから」「体質だから」とあきらめず、つらい冷えを改善しましょう!
どのぐらい冷えている?「冷え」チェック
額と手足の甲の温度差で、冷えの程度を判断。家族や友人に額と手足の甲を触ってもらいましょう。額より手足の甲が冷たいほど、冷えが進んでいる可能性が大です。

額との温度差が大きいほど、冷えが重症
林さんは患者の額と手足の甲の温度を非接触検温器で測定。その結果を基に、温度差が10度超は重症、5~10度は中等症、3~5度は軽症、3度未満は正常範囲とみなしています。
冷えには4つのタイプがあります
冷えには、手足が冷える「末端冷え」を筆頭に、いくつかタイプがあるといいます。
下半身は冷えるのに顔はのぼせる「冷えのぼせ」は、更年期女性によく見られるタイプ。また胃腸が冷える「内臓冷え」タイプは、手足はさほど冷たくないので冷えの自覚に乏しいですが、おなかをこわしやすい、風邪を引きやすいなどの症状を伴いがちです。
さらにストレスが原因で自律神経が乱れ、実際には冷えてないのに冷えを感じてしまう「メンタル冷え」タイプも。
「これらが重なる“複合タイプ”も多く見られます」と林さん。なお、冷えの背後に病気が隠れている場合もあります。
1.末端冷えタイプ
熱を運ぶ血液が毛細血管に十分届かないため、手足の先が冷えてしまう。最も多いタイプで、運動不足や筋肉不足が原因。
2.冷えのぼせタイプ
脚や腰は冷えるのに、顔はほてって熱いというアンバランスな状態。顔が急に熱くなる更年期ののぼせに伴って起こりやすい。
3.内臓冷えタイプ
内臓に十分な血液が集まらず、胃腸が冷えている状態。自律神経の乱れも関係していると考えられる。下痢やだるさ、風邪などを伴う。
4.メンタル冷えタイプ
手足の冷えを感じているが、温度を測るとあまり冷えてはいない。ストレスで自律神経が乱れ、冷えを感じやすくなっている。
冷え体質+生活習慣でさらに冷えやすい体に
では、冷えを招く原因は何でしょうか。「体質と生活習慣が組み合わさって、冷えやすい体になります。女性の場合、特に多い理由は運動不足と筋肉不足。体をあまり動かさないと代謝が低下して、血液の循環も悪化。また筋肉が少ないと体内で十分な熱がつくられず、体をうまく温められなくなるのです」(林さん)
他にも脂肪過多やストレス、生活習慣の乱れも原因に。もちろん、これらが複数重なって冷えをひどくしている場合も少なくありません。
次のうち、心当たりのあるものはありませんか?
生活習慣の乱れ
お風呂はシャワーだけ、アイスや冷たい飲み物をよく摂る、冬でも薄着のことが多い、喫煙しているなど、日頃の生活習慣が冷えや血行不良を招いている。
ストレス
緊張や不安などのストレス状態が続くと、交感神経が優位になって血管が収縮し、血液の流れが悪くなる。また、冷えを強く感じやすくなることも。
脂肪過多
脂肪には血管が少ないので体を温める力が弱く、冬場は寒さの影響を直に受けやすい。また一度冷えると温まりにくい性質も。脂肪が多い体は冷えやすい。
運動不足・筋肉不足
運動不足は全身の血液循環の悪化と筋肉量の低下を招く。筋肉は体の熱を生み出し、同時に熱を蓄える臓器。筋肉量が少ないと体が温まりにくく、冷えが進行する。
「冷えが悪化すると、手足の先のしびれや痛み、下痢や便秘、不眠などを招くことも。放置せず、まずはセルフケアから始めましょう。ポイントは体を効果的に温めることと自律神経を整えることです」と林さん。
次回から、具体的な対策を紹介します。
取材・文=佐田節子、イラストレーション=藤原なおこ、構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年3月号を再編集しています




