足のむくみとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
足のむくみとは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年09月10日
この記事3行まとめ
✓足のむくみは血行不良や水分代謝の乱れが主な原因です
✓50代以上の女性は加齢やホルモンバランスの変化で特に注意が必要です
✓セルフケアで改善しない、痛みを伴う場合は早めに専門医へ相談しましょう
足のむくみとは?
足のむくみは、医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、皮膚の下にある組織(皮下組織)に余分な水分が溜まった状態を指します。私たちの体の約60%は水分でできており、細胞や血管の中を行き来しながら栄養を届けたり、老廃物を運び出したりしています。この水分のバランスが崩れると、血管の外に漏れ出す水分量が増え、むくみとして現れるのです。
特に、心臓から遠いところにある足は、重力の影響で水分が溜まりやすく、むくみが起こりやすい場所です。夕方になると靴がきつく感じたり、靴下の跡がくっきりと残ったりするのは、その代表的なサインと言えるでしょう。
よく見られる身体的症状
50代以上の女性が経験する足のむくみには、以下のような症状がよく見られます。ご自身の状態と比べてみてください。
- 足の重だるさ:まるで足に重りをつけたような、ずっしりとした感覚があります。
- 靴下の跡が残る:夕方になると、朝はすんなり履けた靴下のゴムの跡が、皮膚に深く残ってなかなか消えません。
- すねの部分を指で押すとへこむ:むくんでいる部分を指で5秒ほど強く押すと、指の跡がへこんだまましばらく戻らないことがあります。
- 足の甲が腫れぼったい:足の甲がパンパンに張り、普段見えている血管や筋が分かりにくくなります。
- ふくらはぎが太くなったように感じる:メジャーで測ると、朝と夕方でふくらはぎの太さが1cm以上違うこともあります。
心理的な変化
足のむくみは、見た目の変化だけでなく、心にも影響を及ぼすことがあります。「また足がむくんでいる…」と思うと気分が落ち込んだり、好きなデザインの靴が履けないことでおしゃれを楽しむ気持ちが薄れたりすることもあるでしょう。足の不快感から、外出がおっくうに感じられるようになるなど、活動的な生活への意欲が削がれてしまうことも少なくありません。
厚生労働省の国民生活基礎調査(2024年)では、女性の有訴者率(何らかの自覚症状を訴える人の割合)で「手足の関節が痛む」といった項目の中に、むくみに関連する悩みも含まれています。特に中高年以降の女性でその割合は高くなる傾向にあります。また、別の調査では、働く女性の約半数が足のむくみを自覚しているというデータもあり、多くの女性にとって身近な悩みであることがわかります。
足のむくみの原因とメカニズム
足のむくみの主な原因は、以下の3つに分けられます。
1. 生理学的要因
- 加齢による筋力低下:特にふくらはぎの筋肉は「第2の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に送り返すポンプの役割を担っています。加齢によりこの筋力が低下すると、ポンプ機能が弱まり、足に血液や水分が溜まりやすくなります。
- ホルモンバランスの変化:更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、自律神経が乱れやすくなります。自律神経は血管の収縮・拡張をコントロールしているため、その乱れが血行不良を招き、むくみにつながります。
- 心臓や腎臓、肝臓の機能低下:これらの臓器は体内の水分量を調節する重要な役割を持っています。機能が低下すると、うまく水分を排出できなくなり、むくみとして現れることがあります。
- 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう):足の静脈にある、血液の逆流を防ぐ「弁」が壊れてしまい、血液が足に溜まってしまう病気です。50代以降の女性に特に多く、遺伝的な要因や妊娠・出産経験も関係すると言われています。初期症状はむくみやだるさ、足がつる(こむら返り)などですが、進行すると足の血管がクモの巣のように見えたり、こぶのようにボコボコと浮き出てきたりします。これを放置すると、皮膚が黒ずんで硬くなったり(色素沈着)、かゆみを伴う皮膚炎が起きたり、最終的には皮膚に穴が開く「潰瘍(かいよう)」に至ることもあり、決して侮れない病気です。
2. 環境的要因
- 長時間の同じ姿勢:デスクワークで座りっぱなし、あるいは接客業で立ちっぱなしなど、長時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎのポンプ機能が働かず、血行が悪化してむくみを引き起こします。
- 塩分の多い食事:体内の塩分濃度が高くなると、それを薄めようと体が水分を溜め込みやすくなります。濃い味付けがお好きな方は注意が必要です。
- 水分の摂取不足:意外に思われるかもしれませんが、水分が足りないと体はかえって水分を保持しようとするため、むくみの原因になることがあります。
- 体の冷え:冷えは血行不良の大きな原因です。夏場の冷房や冬の寒さで足元が冷えると、血管が収縮し、むくみやすくなります。
3. 心理社会的要因
50代以上の女性は、子育てが一段落したり、仕事で重要な役割を担ったりと、生活に変化が訪れる時期です。環境の変化に伴うストレスや、知らず知らずのうちに溜まった心身の疲労が自律神経の乱れを引き起こし、血行不良やむくみの一因となることも考えられます。
発症メカニズム
足のむくみは、主に「静水圧の上昇」と「膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)の低下」という2つのメカニズムによって発症します。 簡単に言うと、血管の中から外へ水分を押し出す力(静水圧)が強くなるか、血管の中に水分を引き留めておく力(膠質浸透圧)が弱くなることで、水分が血管の外に漏れ出し、皮下組織に溜まってしまうのです。長時間の立ち仕事では重力で静水圧が上昇し、肝臓の病気などで血液中のアルブミン(タンパク質の一種)が減ると膠質浸透圧が低下します。
リスク要因
以下のような方は、足のむくみが起こりやすいと言えます。ご自身の生活習慣を振り返ってみましょう。
- 運動不足である
- デスクワークや立ち仕事が多い
- 食事の味付けが濃いめだ
- 体が冷えやすい
- 肥満傾向にある
- 家族に下肢静脈瘤の人がいる
診断方法と受診について
次に、受診する場合の流れについて説明します。
いつ受診すべきか
以下のような症状が見られる場合は、単なるむくみではなく病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。
- 片足だけが急に、ひどくむくむ
- むくんでいる部分に痛み、赤み、熱っぽさがある
- 息切れや胸の痛みを伴う
- むくみが何日も続いている、または悪化している
- 指で押した跡が、なかなか元に戻らない
- 足だけでなく、顔や手もむくんでいる
- 足の血管がクモの巣状に浮き出ていたり、こぶのようにボコボコしている
診断の流れ
1. 問診で確認すること
医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。
- いつからむくみが気になりますか?
- 朝と夕方でむくみの程度は変わりますか?
- 痛みや息切れなど、他の症状はありますか?
- 現在治療中の病気や、飲んでいるお薬はありますか?
- 食事や運動の習慣について教えてください。
この後、医師は足の状態を詳しく診察します。
2. 身体検査
医師が足のむくみの状態を直接見て、触って確認します。むくみの範囲、硬さ、皮膚の色、指で押した跡が戻るかどうか(圧痕性浮腫)、血管が浮き出ていないかなどを詳しく診察します。これにより、原因となっている病気を予測します。次に、必要に応じて詳しい検査に進みます。
3. 代表的な検査例
- 血液検査:腎臓や肝臓の機能、栄養状態、心不全の兆候などを調べます。
- 尿検査:尿中にタンパク質が漏れ出ていないかを調べ、腎臓の病気の可能性を探ります。
- 血管エコー(超音波)検査:足の血管の状態を詳しく見る検査です。痛みはなく、ゼリーを塗って器械を当てるだけです。下肢静脈瘤や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の診断に非常に有効です。
- 心電図・胸部X線検査:心臓の大きさや形、肺の状態を調べ、心不全の可能性を探ります。
受診時の準備
受診の際は、以下の点をメモしておくと、医師に症状が伝わりやすくなります。
- いつから、どの部分が、どのようにむくむか
- むくみ以外の症状(痛み、だるさ、息切れなど)
- 普段飲んでいるお薬(お薬手帳があれば持参)
- これまでにかかったことのある病気
また、普段から足の状態をスマートフォン等で撮影しておくのも良いでしょう。
受診すべき診療科
足のむくみで最初に相談するなら、まずはかかりつけの内科が良いでしょう。問診や診察から、原因に応じて適切な専門科を紹介してもらえます。 考えられる専門科としては、心臓が原因なら循環器内科、腎臓なら腎臓内科、血管の病気(下肢静脈瘤など)が疑われる場合は血管外科や心臓血管外科となります。どこに行けばよいか分からない場合は、まずはお近くのクリニックや、自治体の保健所などに相談してみるのも一つの方法です。
足のむくみの治療法
治療は、原因によって大きく異なります。医師は診察や検査の結果をもとに、なぜむくみが起きているのかを診断し、一人ひとりに合った治療方針を提案します。それが病気によるものであればその治療を優先し、生活習慣によるものであればその改善を目指します。医師とよく相談し、納得のいく治療法を選択することが大切です。
薬物療法
原因となる病気がある場合、その治療薬が処方されます。例えば、心不全や腎不全が原因であれば、体内の余分な水分を尿として排出させる「利尿薬」が使われることがあります。ただし、安易な利尿薬の使用は脱水や電解質異常を引き起こすリスクもあります。自己判断で市販薬やサプリメントを使用せず、必ず医師の診断のもとで適切な薬を処方してもらいましょう。
非薬物療法
弾性ストッキング(着圧ソックス):足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、筋肉のポンプ機能を助け、血液やリンパ液の流れを改善します。医療用のものは市販のものより圧力が強く、医師の指導のもとで正しく着用することが重要です。
- リンパドレナージ:リンパ浮腫など、リンパの流れが滞っている場合に有効な、専門家による医療マッサージです。
- 下肢静脈瘤の治療:症状が進行している場合は、レーザーで血管を焼灼する「血管内治療」や、硬化剤を注入して血管を固める「硬化療法」、あるいは弁が壊れた血管を取り除く手術などが行われます。これらは近年、体への負担が少ない日帰り治療も増えています。 これらの治療法も、必ず専門医の診断と指導のもとで行うようにしてください。
生活習慣による管理(セルフケア)
病気が原因でないむくみの場合、生活習慣の見直しが治療の基本となります。ここでは、ご自身でできるセルフケアを詳しくご紹介します。
- 食事療法:塩分を1日6g未満に抑えることを目指し、カリウム(野菜、果物、海藻類)を豊富に含む食品を積極的に摂りましょう。
- 運動療法:ウォーキングやかかと上げ運動など、ふくらはぎの筋肉を意識的に使う運動を毎日の習慣にしましょう。
- 体重管理:肥満は足への負担を増やし、むくみの原因となります。適正体重を維持することが大切です。
むくみ解消マッサージ&ストレッチ
お風呂上がりなど、血行が良くなっている時に行うとより効果的です。
- 足首回し:椅子に座るか床に座り、片方の足首をゆっくりと大きく、内側と外側にそれぞれ10回ずつ回します。
- 足指のグー・パー運動:足の指を思いっきり握って「グー」の形にし、5秒キープ。次に、指を大きく広げて「パー」の形にし、5秒キープ。これを5回繰り返します。
- ふくらはぎのマッサージ:椅子に座り、片方の足をもう片方の膝の上に乗せます。足首から膝の裏に向かって、両手でふくらはぎを包み込むように、ゆっくりと圧をかけながらさすり上げます。特に、膝の裏にあるリンパ節に向かって老廃物を流すイメージで行いましょう。これを左右10回ずつ行います。
- アキレス腱伸ばし:立った状態で壁に手をつき、片足を大きく後ろに引きます。後ろ足のかかとを床につけたまま、前の膝をゆっくり曲げて、ふくらはぎからアキレス腱が心地よく伸びるのを感じましょう。30秒キープし、左右3回ずつ行います。
心地よい入浴法でリラックス
38〜40℃のぬるめのお湯に、15〜20分ほどゆっくり浸かるのがおすすめです。体を芯から温めることで血行が促進されます。お気に入りの香りの入浴剤やアロマオイル(ラベンダーやジュニパーベリーなど)を数滴たらせば、リラックス効果も高まり、心身ともに癒やされます。
治療期間と予後
生活習慣による一時的なむくみは、セルフケアで数日以内に改善することがほとんどです。一方、下肢静脈瘤やリンパ浮腫などの病気が原因の場合、治療は長期にわたることがあります。しかし、適切な治療とセルフケアを続けることで、症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることは十分に可能です。
予防法と日常生活での注意点
一次予防(発症予防)
むくみを未然に防ぐためには、日々の生活習慣が何より大切です。
- 適度な運動:1日30分程度のウォーキングを目標に。エレベーターを階段にするなど、日常生活の中でこまめに動くことを意識しましょう。
- バランスの取れた食事:減塩を心がけ、野菜や果物をたっぷり摂る和食中心の食生活が理想です。
- 体を冷やさない:夏でも靴下を履く、シャワーで済ませず湯船に浸かるなど、体を温める工夫をしましょう。
二次予防(早期発見・早期治療)
「たかがむくみ」と放置しないことが、重症化を防ぐ鍵です。
- 毎日のセルフチェック:お風呂上がりなどに足の状態を観察し、左右差はないか、痛みはないか、血管が浮き出ていないかなどを確認する習慣をつけましょう。特に、立った状態でふくらはぎの内側や膝の裏などを鏡で見て、血管がボコボコしていないかチェックするのを忘れずに。
- 定期的な健康診断:年に一度は健康診断を受け、心臓や腎臓、肝臓などの機能に異常がないかチェックしてもらいましょう。
日常生活の工夫
- 休憩中のストレッチ:仕事の合間に、足首を回したり、アキレス腱を伸ばしたりするだけでも効果的です。
- 寝るときの姿勢:クッションや座布団を使い、足を心臓より10〜15cm高くして寝ると、足に溜まった水分が戻りやすくなります。
- 服装の工夫:体を締め付けるきつい下着や服装は血行を妨げます。ゆったりとした服装を心がけましょう。
食事で美味しくむくみ対策
- 減塩のコツ:お醤油やソースは「かける」より「つける」を意識するだけで減塩に。また、お酢やレモン、香辛料(こしょう、唐辛子、ハーブなど)を上手に使うと、薄味でも満足感が得られます。
- カリウム豊富な簡単レシピ:アボカドと豆腐の和風サラダ:角切りにしたアボカドと豆腐に、かつお節と少しのお醤油をかけるだけ。
- ほうれん草とバナナのスムージー:ほうれん草、バナナ、牛乳(または豆乳)をミキサーにかければ、手軽にカリウムと栄養が補給できます。
むくみ対策グッズを上手に活用
着圧ソックスの選び方と使い方:日中活動時用のハイソックスタイプ、リラックスタイムや就寝時に使えるロングタイプなど、用途に合わせて選びましょう。素材も、夏は通気性の良いもの、冬は保温性の高いものを選ぶと快適です。履くタイミングは、足がむくんでしまう前の、朝起きてすぐが最も効果的です。また、夜用のものは日中用に比べて圧力が弱めに設計されているので、日中に夜用を履いても期待する効果は得られにくいので注意しましょう。
- フットバス(足湯):バケツにお湯を張るだけでも立派なフットバスになります。くるぶしの上まで浸かるようにし、10〜15分温めましょう。血行が良くなり、足が軽くなります。
- 青竹踏み:足裏にはたくさんのツボが集まっています。テレビを見ながらなど、「ながら時間」に青竹踏みで足裏を刺激するのも、手軽で効果的なセルフケアです。
家族・周囲のサポート
足のむくみは、ご本人にしか分からないつらさがあります。「またむくんでるの?」と軽く流さず、「何か手伝おうか?」「マッサージしようか?」といった優しい一言が、心の支えになります。ご家族が食事の塩分に配慮したり、一緒にウォーキングに付き合ったりすることも、大きなサポートとなるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 足がむくむのはなぜですか?
A: 足のむくみは、長時間同じ姿勢でいることによる血行不良や、塩分の摂りすぎ、体の冷え、加齢による筋力低下などが主な原因です。多くは生活習慣による一時的なものですが、心臓や腎臓の病気、足の血管の病気(下肢静脈瘤など)が隠れている場合もあるため、長引く場合は注意が必要です。
Q2: むくみを解消・予防するにはどうすればいいですか?
A: ふくらはぎのマッサージや足首のストレッチ、ウォーキングなどの適度な運動が効果的です。食事では塩分を控えめにし、体を温める入浴もおすすめです。また、寝る時に足を少し高くして休むと、翌朝すっきりすることが多いですよ。
Q3: 危険なむくみのサインはありますか?病院に行くべき目安は?
A: 「片足だけが急に腫れて痛む」「息苦しさを感じる」「指で押した跡がなかなか戻らない」「足の血管がボコボコ浮き出ている」といった症状は、危険な病気のサインかもしれません。このような場合は、「いつものむくみ」と自己判断せず、できるだけ早く医療機関を受診してください。
Q4: 病院に行く場合、何科を受診すればよいですか?
A: まずは、かかりつけの内科に相談するのが一番です。そこで症状を詳しく話せば、必要に応じて循環器内科や腎臓内科、血管外科といった専門の診療科を紹介してもらえます。どこに相談してよいか迷ったら、まずは身近な医師に頼るのが安心です。
Q5: むくみに効く食べ物や飲み物はありますか?
A: 体内の余分な塩分を排出してくれる「カリウム」を多く含む、バナナ、アボカド、ほうれん草、ひじきなどの海藻類がおすすめです。飲み物では、ルイボスティーやコーン茶なども良いと言われています。ただし、腎臓に病気がある方はカリウムの摂取に注意が必要な場合があるので、医師に相談してくださいね。
Q6: 着圧ソックスは効果がありますか?選び方や注意点は?
A: 着圧ソックスは足のポンプ機能を助けてくれるので、むくみの予防・改善に効果的です。選ぶ際は、ご自身の足のサイズに合った、適度な圧力のものを選びましょう。きつすぎるとかえって血行を悪くすることもあります。特に、病気の治療で使う医療用の「弾性ストッキング」は、医師の指導のもとで正しく選ぶことが大切です。
Q7: 寝るときにできるむくみ対策はありますか?
A: クッションやたたんだタオルケットなどを使い、足を心臓より10〜15cmほど高くして寝るのが簡単で効果的です。また、寝る前に軽いストレッチやマッサージで足の血行を良くしておくのも良いでしょう。リラックス効果もあって、心地よい眠りにもつながりますよ。
Q8: 運動はした方がいいですか?どんな運動が効果的ですか?
A: 適度な運動を習慣にしましょう。特に、ふくらはぎの筋肉を使う運動が効果的です。「第2の心臓」をしっかり動かしてあげましょう。手軽に始められるウォーキングや、家事の合間にできる「かかとの上げ下ろし運動」などがおすすめです。無理のない範囲で、毎日続けることが大切です。
Q9: 簡単なマッサージのやり方を教えてください。
A: お風呂上がりなど、体が温まっている時に行うのがおすすめです。椅子に座り、片方の足をもう片方の膝の上に乗せます。足首から膝に向かって、両手でふくらはぎを包み込むように、気持ち良い程度の強さでゆっくりとさすり上げます。これを数回繰り返しましょう。滑りを良くするために、ボディクリームなどを使うのも良いですね。
Q10: むくみが片足だけに出るのはなぜですか?
A: 片足だけのむくみは、両足のむくみより注意が必要です。足の血管がこぶのようになる「下肢静脈瘤」や、血管の中に血の塊が詰まる「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」、あるいは皮膚の細菌感染(蜂窩織炎)などが原因の可能性があります。放置せず、早めに血管外科などの専門医に相談することをおすすめします。
まとめ
大切なポイント
- のむくみは体からのサイン。放置せず原因を知ることが大切です。
- 治療の基本は生活習慣の見直し。食事と運動を意識しましょう。
- 症状が改善しない、痛みを伴う場合は専門医への相談をためらわないで。
- 正しい知識を持ち、上手にセルフケアを続けることが生活の質を高めます。
「夕方になると足がズシンと重くなる……」「パンパンに張って思うように動かない」それは、これまで家族のために、仕事のために、一生懸命に頑張ってきたあなたの歴史そのものかもしれません。私たちの体は、年齢とともに少しずつ変化していきます。その小さなサインに気づいて、「お疲れさま」と自分をいたわってあげる時間を持つことは、わがままなんかじゃありません。足のむくみは、これからの人生を、もっと軽やかに、あなたらしく歩んでいくための「体との対話」の始まり。大丈夫、あなたの体は、ちゃんと応えてくれます。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。
監修者プロフィール:菊池 大和さん

きくち総合診療クリニック(神奈川県綾瀬市)院長。医療法人ONE理事長。日本慢性期医療協会総合診療認定医。日本医師会認定健康スポーツ医。認知症サポート医。身体障害者福祉法指定医(呼吸器)。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」を理念に診療にあたる。著書に『「総合診療かかりつけ医」が患者を救う』(2021年)、『「総合診療かかりつけ医」がこれからの日本の医療に必要だと私は考えます。』(2024年)。




