【骨粗鬆症リスクチェックリストあり】50代から始めたい骨ケア習慣
【骨粗鬆症リスクチェックリストあり】50代から始めたい骨ケア習慣
公開日:2025年09月04日
更年期に差し掛かったら骨の健康に注意して
女性の体にさまざまな変化をもたらす更年期。女性ホルモンの一種・エストロゲンが低下すると、生活習慣病をはじめとした病気のリスクが上がることが知られています。
中でも気を付けたいのが、体の土台となる骨の健康。エストロゲンには「骨の新陳代謝(骨代謝)のバランスを維持する」という重要な働きがあります。
エストロゲンの分泌量が低下すると、新しい骨を作る骨芽細胞の活動が低下し、古くなった骨を壊す破骨細胞の活動が活性化します。すると、新しい骨を作る代謝のバランスが崩れ、骨密度が低下し、骨がもろく折れやすくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)につながっていきます。
suma / PIXTA
そして50代~60代は、体全体の代謝も低下する時期。骨の材料となるカルシウムを吸収する力や、骨の丈夫さと相関性のある筋肉量も下がってきます。
日本では65歳以上の約10人に1人が車いすか寝た切りというデータがあります。また、一度転んだことのある人は再び転びやすく、歩くことへの不安から活動量が減って、さらに骨密度が低下するという悪循環に陥りやすくなります。
骨は、立つ・歩く・座るといったさまざまな動作を支える要。骨密度が低下するリスクを未然に防ぎ、70代~80代になっても自分の足で歩くために、50代から骨の健康を意識しましょう。
女性ホルモンの低下だけじゃない!骨粗鬆症の要因
骨が脆くなる骨粗鬆症のリスク要因は、エストロゲンの低下以外にもいろいろあります。まずは次のチェックリストで、当てはまる項目がないか確認してみましょう。
<骨粗鬆症の主要なリスク要因チェックリスト>
□50歳を過ぎてから骨折したことがある
□両親のどちらかが足の付け根を骨折したことがある。もしくは骨粗鬆症になったことがある
□痩せ気味である(BMI18.5以下)
□喫煙している
□日常的にお酒を飲む量が多い(目安:ビール中瓶2本/日本酒2合以上)
□ステロイドの服薬歴がある
□カルシウムやマグネシウムを含む小魚・牛乳、サプリメントなどを日常的に摂取していない
□運動不足を感じている
1つでも当てはまる項目があった人は、骨粗鬆症になるリスクがあります。骨を丈夫にする習慣を早めに取り入れて、骨の元気を維持していきましょう。
骨の健康維持に役立つ栄養素とは?
50代からの骨ケアのポイントは、「骨の元になる栄養を摂取する」「運動で骨に適度な刺激を与える」の大きく2つです。
まずは、骨の元になる栄養素から解説していきます。どれも身近な食材に含まれる栄養素なので、積極的に取り入れていきましょう。
<骨の元になる栄養素>
1. カルシウム
カルシウムは、骨の主材料となる栄養素。厚生労働省によれば、成人女性におけるカルシウムの平均必要量は1日550mg、推奨される量は1日650mgとなっています。
牛乳コップ1杯(200mL)で約200mgのカルシウムを摂取できますが、乳製品以外にも、大豆製品や魚介類、青物野菜など、カルシウムを含む食品は多くあります。
例えば納豆1パックには約90mg、ししゃも2尾には約160mg、小松菜1/3束には約130mg程度のカルシウムが含まれています。
好みや旬に合わせて、献立に上手く取り入れていきましょう。
2. ビタミンD・ビタミンK
ビタミンDは腸管や腎臓からのカルシウム吸収を助ける働きがあり、ビタミンKは摂取したカルシウムを骨に取り込ませる働きがあります。どちらも、カルシウムと一緒に取ることで、より効率的に骨形成をサポートします。
- ビタミンDの含有量が多い食べ物……きくらげ、いわし、鮭、まいたけなど。
- ビタミンKの含有量が多い食べ物……納豆、小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなど。
また、ビタミンDは紫外線(日光)を浴びることで体内で生成されます。
ビタミンDを作るには、夏で5~10分程度、冬で30~40分程度日光を浴びる必要があると言われます。紫外線は曇りや木陰でも降り注いでいますから、日差しの強い夏なら木陰に10分程度いるだけでも大丈夫。熱中症に気を配りつつ、屋外での活動も意識しましょう。
3.イソフラボン
大豆などに含まれるイソフラボンは、エストロゲンに似た働きを持っていて、破骨細胞の過剰な活性化を抑える働きがあります。
大豆製品は、納豆や豆腐、油揚げ、味噌など種類も豊富。納豆ごはんに豆腐入りの味噌汁をプラスするなどして、うまく取り入れていきましょう。
4.ローヤルゼリー
ミツバチが作るローヤルゼリーは、更年期女性の骨密度維持に効果がある可能性が示唆されています。健康食品などで日常的に取り入れることで、骨の健康を維持するサポートが期待できます。
無理なくできる運動で骨に適度な刺激を
こうした栄養素にプラスして取り入れたいのが、骨に適度な刺激を与える運動です。運動で骨に圧力を加えると、その刺激によって骨の形成が促されます。運動は激しいものでなくて大丈夫。軽い衝撃や負荷をかける程度でOKです。
骨の健康を目指す「骨活」は、短期集中ではなく無理なく継続することが大切。ここからは、日常生活に少しプラスするだけで骨の健康維持に役立つ運動を紹介します。
■片足立ち
片足を、床に足がつかない程度に上げて、もう片方の足で立ちます。左右1分間を目安に、1日2~3回程度行いましょう。
ポイントは、転ばないようにそばに壁や手すりなど支えがある場所で行うこと。朝の歯みがき中の習慣にしても良いですね。
■スクワット
両足を肩幅よりやや広げて立ち、腰を後ろに引くようにして、膝を曲げてしゃがんでいきます。5秒で下がって、5秒で上がるくらいのゆっくりとしたスピードで行うのがポイント。しゃがむときに、膝がつま先よりも前に出ないよう意識しましょう。
1日に行う回数は、10回×2セットくらいが目安。継続することが大切なので、朝食後のお出掛けの前の習慣にしたり、好きなテレビ番組を見ながらするのもおすすめです。
■ウォーキング/階段を使う
1日30分程度の散歩やウォーキングも、骨に適度な刺激を与えます。近所の買い物なら歩いていく、電車移動の際にはひと駅前で降りて歩くなど、無理のない範囲で歩く機会を増やしましょう。
また、いつもならエスカレーターやエレベーターを使う場面で、階段を利用してみるのもおすすめ。階段の上り下りも、骨に適度な負荷をかけられます。少ない段数からできる範囲でやってみましょう。
■かかと上げ運動
かかとを上げて背伸びをし、ゆっくりとかかとを落とす運動です。1日の目安は30回程度。10回を3回に分けて行ってもOKです。
かかとを上げたときに少しフラつく場合は、壁に手を当てて行いましょう。料理や掃除の合間などに取り入れてみるのもおすすめです。
50代は女性ホルモンの低下という、自分ではコントロールできない大きな波に直面します。しかし、骨の健康は、食事や運動といった生活習慣の見直しで維持することが可能です。取り入れやすい食べ物や運動から始めてみて、将来の骨粗鬆症リスクを減らしていきましょう!
なお、骨の健康を確認するには、定期的に骨密度検査を受けるのがおすすめです。多くの自治体では、40歳以上の女性を対象に、5年刻みで骨密度検診を実施しています。お住まいの地域の広報誌やWebサイト、保健センターなどで確認できるので、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。
取材協力:山田養蜂場健康科学研究所
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断、治療、予防を目的としたものではありません。症状がある場合は、必ず医師にご相談ください。
■監修者プロフィール:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん

山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。医学博士。




