再生医療や若返り効果で注目

幹細胞を活性化して老化予防!ローヤルゼリー最新研究

松﨑英典さん(山田養蜂場 健康科学研究所)
監修者
山田養蜂場 健康科学研究所
松﨑英典

公開日:2023.02.27

幹細胞の働きによる再生医療が注目されています。幹細胞コスメなど肌の若返り効果が有名ですが、血液・筋肉・骨など全身の組織の老化にも幹細胞は関与しています。そんな幹細胞の活性化と老化予防につながる、ローヤルゼリーについての最新研究を紹介します。

老化予防のカギを握る幹細胞とは?

前回は幹細胞を活性化して「肌の若返り」を目指す技術について紹介しましたが、その他にも幹細胞は、脳や筋肉・骨・腸など体のさまざまな組織の若返りに関与することがわかっています。

私たちの体中に存在している幹細胞は、傷ついた細胞や不足した細胞の代わりとなって組織を修復し、体の組織や臓器の機能を維持する働きがあります。しかし、何もしないままだと加齢によって幹細胞の数は減少し、機能も衰えてしまいます。

幹細胞が減ると、傷ついた細胞の修復が追い付かなくなり、組織の老化が進んでしまいます。その結果、認知機能の低下やサルコペニアやロコモティブシンドロームなど、老化に伴う病気・疾患のリスクが上がるとされています。

幹細胞には、さまざまな細胞になることができる能力(分化能)と、自分とまったく同じ幹細胞をコピーできる能力(自己複製能)があります。

正常な状態は幹細胞が常に分化と自己複製を繰り返し、組織を維持しているのですが、これらの能力が老化とともに低下することで、体に様々な老化現象が現れると考えられています。

しかし、意図的に幹細胞を活性化させて、幹細胞の数を増やすことができれば、高齢者であっても組織の修復・再生力を高め、加齢に伴う組織や身体機能の衰えを抑制し、回復させる可能性があります。

そこで今、さまざまな企業・機関で進められているのが、幹細胞を活性化させる素材やそのメカニズムについての研究です。

幹細胞の活性化をサポートするローヤルゼリー

幹細胞の活性化につながる身近な素材として、特に注目を集めているのが「ローヤルゼリー」です。

女王蜂だけの特別食として作られ、健康や美容につながる豊富な栄養素を含むローヤルゼリーですが、体中の幹細胞を活性化させる可能性を秘めているそう。

その1つが「造血幹細胞」です。

造血幹細胞は骨の中(骨髄)に存在する血液中の細胞のもとになる細胞のこと。山田養蜂場の最新研究では、ローヤルゼリーの飲用によって血中の造血幹細胞が増加することを明らかにし、論文報告もなされています。

まだ研究段階ではあるものの、造血幹細胞は、加齢による免疫力の低下や貧血を防ぎ、感染症や自己免疫異常、慢性的な疲れを改善することができるのではないか、と期待されています。

筋力アップや腸の老化予防にも!今後の展開にも期待

さらに、山田養蜂場と九州歯科大学が共同で実施した試験では、ローヤルゼリーエキスを投与することで、筋肉のもとになる「筋幹細胞」を活性化することがわかりました。

これまでの山田養蜂場の研究では、高齢者にローヤルゼリーを飲用してもらうことで筋力が向上することが報告されており、ローヤルゼリーが幹細胞を介して老化現象を抑制している可能性が少しずつ明らかになってきています。

筋幹細胞の老化は、サルコペニアの主な原因ともされています。そのため、ローヤルゼリーの摂取は、高齢者の筋力アップや、サルコペニア、ロコモティブシンドローム解消につながるのではと期待されています。

他にも、山田養蜂場と東京大学による共同研究では、ローヤルゼリーやその特徴成分である「10-ヒドロキシデカン酸」が腸の細胞のもとになる「腸幹細胞」に働きかけ、活性化させることがわかりました。

第2の脳と呼ばれる腸の中には、1000種類・100兆個もの細菌が生息しています。腸内では多くの神経細胞が自立して働き、それにより免疫力がアップすることが知られています。腸内環境を整えることが健康を維持するポイントといえます。

その一方で、腸の細胞が老化すると、悪い菌や毒素が体内に侵入して、全身に悪影響を及ぼすことがわかっています。加齢に伴う腸の細胞の老化は、認知機能の低下や肥満、糖尿病、免疫力の低下など、さまざまな健康リスクを招きます。

そのため、ローヤルゼリーによって腸幹細胞を活性化させることで、こうした加齢に伴う健康リスクを抑制する可能性があるのではないか、と期待されています。

体の組織を若返らせ、老化に伴うさまざまな病気・疾患リスクを下げる効果が期待される幹細胞。ローヤルゼリーの幹細胞へのアプローチやその効果について、今後の研究にも注目です。

監修者プロフィール:松﨑英典さん(山田養蜂場 健康科学研究所)

監修者プロフィール:松﨑英典さん(山田養蜂場健康科学研究所)

まつざき・ひでのり 山田養蜂場R&D本部 R&Dサービス開発室 室長。2012年山田養蜂場入社。現職では「山田養蜂場 健康科学研究所」で研究員として培った知見を活かし、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事している。

取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所

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