早めがカギ!脊柱管狭窄症の「最新治療法」&「体にやさしい手術」も!
早めがカギ!脊柱管狭窄症の「最新治療法」&「体にやさしい手術」も!
更新日:2025年06月13日
公開日:2025年05月09日
教えてくれた人:西良浩一(さいりょう・こういち)さん
徳島大学病院整形外科教授。1988年、徳島大学医学部卒業。トップアスリートの腰痛診療も手掛ける。著書は『運動を頑張らなくても脊柱管狭窄症がよくなる1分ほぐし大全』(文響社刊)など。東京腰痛クリニックでも診療。
脊柱管狭窄症治療、3つの柱

脊柱管狭窄症の治療は、運動療法、薬物療法、手術療法が3本柱です。
運動療法は前述の通り、腰に負担のかかる体のクセを正す目的で第一に行われます。「最も効果的、かつ根本的な治療法で、私たちの病院ではリハビリの専門家とタッグを組んで運動療法に力を入れています」と話すのは、徳島大学病院整形外科教授の西良浩一さん。
薬物療法はつらい症状を和らげるための治療で、痛みを鎮める薬や血流を改善する薬、神経を保護する薬などが用いられます。痛みが強い場合は、圧迫されている神経に局所麻酔薬を注射する神経ブロックが行われることもあります。
症状が改善されない場合は手術も検討
運動療法や薬物療法を3~6か月以上続けても症状が改善されない、生活に支障が出ている、すでに重症化しているといった場合に検討されるのが、手術療法です。
例えば、10~20m歩いただけで休まないといけない、脚に力が入らず片足立ちやつま先立ちができない、頻尿や失禁、便秘などの排尿排便困難があるようなら、手術を急いだ方がいいといいます。
「脊髄の一番下にある『馬尾(ばび)』という末梢神経の束がダメージを受けると、脚の強い麻痺やしびれ、排尿や排便の障害が出てきます。神経が損傷されてしまうと元には戻りませんから、早く手術をする必要があるのです」(西良さん)
こんな症状がある人は手術を検討しましょう
- 片足立ちができない
- つま先立ちやかかと立ちができない
- 脚に力が入らない
- 痛みやしびれが強く、生活に支障が出ている
- 排尿や排便の障害を伴う

脊髄末端の「馬尾」という神経が障害されると、脚のしびれや脱力、排尿排便困難の症状が出てくるので、手術を急いで。間欠性跛行が重度で、少ししか歩けない場合も早めに手術の検討を。
体への負担が軽い「全内視鏡手術」の内容・時間・お金
手術では狭くなっている部位の骨を削ったり、靭帯を切除したりして脊柱管を広げ、神経への圧迫を取り除きます。
手術というと背中を大きく切ってという印象がありますが、近年は小さな切開で済む内視鏡手術が増えているそう。西良さんが自ら開発したのが、局所麻酔でできる内視鏡手術「全内視鏡下腹側椎間関節切除術(FEVF)」です。
「わき腹の斜め後ろを小さく切開して直径約8mmの細い管を差し込み、モニター画面で患部を確認しながら脊柱管を広げていきます。局所麻酔なので手術中も意識があり、会話もできます。高齢や持病のために全身麻酔ができない人も、手術が可能になりました。体への負担が軽い手術法です。ただし重症の場合は受けられないこともあります」

わき腹から直径8mmの内視鏡を入れて、狭くなっている脊柱管にアプローチ。難易度の高い手術だが、実施する医療機関が少しずつ増えている。
全内視鏡手術の流れ
西良さんが開発した「全内視鏡下腹側椎間関節切除術(FEVF)」は、局所麻酔でできる体にやさしい手術法。2017年から脊柱管狭窄症にも適用されるようになった。
- うつぶせに寝て、局所麻酔をする
- わき腹の斜め後方を小さく切開し、直径約8mmの内視鏡を患部に差し込む
- モニター画面で脊柱管の内部を確認しながら、神経を圧迫している骨や靭帯を取り除いて脊柱管を広げる
手術時間は1~1.5時間ほど。術後は当日から歩け、翌日に退院することも可能。健康保険が利き、手術費用は20万円程度(3割負担の場合。検査費や入院費などは除く)。高額療養費制度も使えます。
手術後は痛みもなく歩けるようになりますが、“再発しない体づくり”を目指し、再び運動療法を続けます。
局所麻酔・脊椎内視鏡狭窄症手術を行っている病院リスト
- 札幌医科大学
- 旭川医科大学
- 仙台西多賀病院
- 東京脊椎クリニック
- 長野県・依田窪病院
- 彦根市立病院
- 名古屋市立大学
- 兵庫医科大学
- 神戸大学
- 徳島大学
- 阿南医療センター
- 高知・近森病院
- 高知・くぼかわ病院
- 福岡大学
3回に分けて紹介した脊柱管狭窄症の改善と治療法。姿勢のクセを見直す、1分ほぐし体操を実践するなど、予防や早めの対策を心掛けましょう。
取材・文=佐田節子、イラストレーション=山村真代、構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年10月号を再編集しています




