低い・高いとダメ?危険な範囲は?脈拍が変化する原因

50代の心拍数の平均値・正常値は?血圧との関係も!

佐藤 孔信
監修者
戸塚西口さとう内科
佐藤 孔信

公開日:2023.10.19

更新日:2024.11.26

健康な人の心拍数の正常値60〜100回ほどが目安といわれています。ただし性別・年齢・個人差も大きく、自分の心拍数を把握しておくことが大切です。年代別の平均値や脈拍数との違い、運動・体調・環境による変化や血圧との関係を解説!

心拍数とは?

心拍数とは、「一定の時間内に心臓が拍動する回数」のことです。一般的には、1分間の心臓の拍動数(BPM:beat per minutes)を指して心拍数といいます。

心拍数は運動などでも変化するため、5分以上安静にした状態に測った数値が「基本の心拍数の数値(安静時の心拍数)」です。

脈拍数との違い

脈拍数とは、「体の動脈が1分間に拍動する回数」のことです。心臓から送り出される血液によって起こる拍動が血管に現れたものであるため、通常は「心拍数=脈拍数」になります。

しかし、不整脈がある場合は、必ずしも心拍数と脈拍数が同じにならないこともあります。

心拍数の正常値

心拍数の正常値

ここからは、心拍数の正常値や注意したい数値などについて解説します。

正常値:60〜100未満

心拍数には個人差があるため、正常値かどうかを判断する明確な基準は設けられていませんが、健康な成人の安静時の心拍数は「1分間に60〜100回」が正常値の目安とされることが多いです。

ただし、心拍数の数値は個人差もあるため、数値だけを見て正常か異常かを判断することは難しくなります。普段から心拍数を計測して、自分の心拍数について知っておく必要があるでしょう。

要注意:50未満もしくは100以上

心拍数が50未満もしくは100以上の場合、徐脈や頻脈といった不整脈、体調不良などの可能性が考えられます。

ただし、普段から運動習慣がある人やアスリートは心拍数が少なくなることも。普段から心拍数が低い場合は、問題ないケースが多いでしょう。

運動不足で体力が足りない場合や体調不良、時差ボケ、疲労があると、血液を送り出そうとして心拍数が高くなる傾向にあり、81回以上に増えることもあります。

また、緊張しているときに心拍数が100を超えることがありますが、一時的なものであれば問題はありません。

しかし、心拍数が100以上の状態が続く場合は甲状腺ホルモンの過剰分泌といった内分泌異常、貧血、不整脈や心筋症などの心臓の問題など、その他の病気の可能性が考えられるため、早めに医療機関を受診しましょう。

年齢別!心拍数の平均値

年齢別!心拍数の平均値

ここでは、秋山俊雄氏(ローチェスター大学内科心臓学 名誉教授)の『Ⅱ.安静時心拍数と予後の関係』より、年齢別の心拍数の平均値をご紹介します。

【年代別・女性の心拍数の平均値】

  • 0〜9歳女性……88回
  • 10代女性……73回
  • 20代女性……69回
  • 30代女性……70回
  • 40代女性……70回
  • 50代女性……69回
  • 60代女性……69回
  • 70代女性……67回
  • 80代女性……66回

【年代別・男性の心拍数の平均値】

  • 0〜9歳男性……84回
  • 10代男性……71回
  • 20代男性……64回
  • 30代男性……67回
  • 40代男性……68回
  • 50代男性……69回
  • 60代男性……68回
  • 70代男性……65回
  • 80代男性……62回

心拍数の変化について

心拍数の変化について

心拍数は一定ではなく、さまざまな要因で変化します。ここからは、心拍数の変化について詳しく解説します。

加齢による心拍数の変化

心拍数は、年齢を重ねるにつれて低くなっていきます。例えば、1歳未満の新生児の心拍数は120~140回ほどと高め。これは、子どものうちは基礎代謝が高く酸素消費量が多いため心臓の動きが活発なことが理由です。

高齢になると、普段の身体活動量や酸素消費量、基礎代謝量、筋肉量が少なくなるため、心拍数が下がっていく傾向にあります。

運動時の心拍数の変化

運動をしているとき、体は普段以上に酸素を必要とします。血液には全身に酸素を届ける役割があるため、運動時には心拍数が上昇します。

運動時の心拍数は、運動強度によっても変化します。心拍数をもとに、自分に適した運動の強度を計算することが可能です。

自分に適した運動の強度(目標心拍数)は、以下の式で計算できます。

【目標心拍数=最大心拍数(220-年齢)×運動強度%】

「目標運動強度」は、運動初心者の人は50~60%、健康を目的とするなら60~70%がおすすめです。以下で、健康な50代が運動強度60%を目指す場合の計算例を見てみましょう。

【計算例:健康な50代が運動強度60%を目指す場合】

  • 220ー50=170(最大心拍数)
  • 170✕60%=102(目標心拍数)

なお、高血圧や心疾患がある人、持病や服薬がある場合は、運動が体の負担になる可能性もあります。運動を始める前に、かかりつけ医に相談しましょう。

体調による心拍数の変化

心拍数は、体調不良やストレスによる負荷、睡眠不足、疲れ、体温が上昇したとき、食事の直後などに上昇することがあります。

普段の平均より「5拍以上」高い場合は、その日は無理をせず体調管理を心掛けるようにしましょう。

環境による心拍数の変化

心拍数は、環境によっても変化します。緊張や興奮、ストレス、普段の運動習慣によって、心拍数に違いが出ます。

日常的に激しい運動をしている人:心拍数が少ない傾向

普段から持久力を必要とするハードな運動を続けている人は、心拍数が少ない傾向にあります。マラソンや水泳などを長期間続けているアスリートは、安静時の心拍数が45回ほどという人もいます。

普段から激しい運動をしていると、大量の血液が必要になるため心臓の筋肉が発達し、心臓が大きくなります。(スポーツ心臓)

すると、1回の拍動で送り出せる血液の量が増えるため、安静時心拍数が少なくなるのです。

ただし、スポーツ心臓は運動をやめると1〜2年ほどで元の大きさに戻ります。昔運動を長く続けていたとしても、運動をやめてからも心拍数がかなり少ない場合は、病院で詳しく検査してみましょう。

運動を全くしていない人:心拍数が多い傾向

普段から運動習慣がなく、まったく運動しない人は心拍数が多い傾向にあります。

運動によって心拍数を上下させることは、心臓の筋肉を鍛える働きがあります。運動は心臓や血管にいい効果をもたらすため、適度な運動を心掛けましょう。

心拍数の測り方

心拍数の測り方

心拍数の正確な数値は、心拍計や心電図などで測定可能です。

自宅で一人で簡単に心拍数を測ってみたい場合は、以下の方法でチェックしてみましょう。

  1. 利き手の人差し指・中指・薬指の3本指を使い、反対の手首の内側にある動脈に触れる
  2. 10秒間の拍動を測り、その回数を6倍したものが1分間の心拍数

心拍数が異常値の場合に考えられる原因

心拍数がいつもの数値と違う場合、不整脈が考えられます。不整脈とは、脈のリズムがおかしくなることを指し、以下の3つの種類があります。

  • 期外収縮……脈が急に飛ぶ、どきっとする
  • 頻脈……通常よりも脈が速く、1分間に100回以上ある
  • 徐脈……通常よりも脈が遅く、1分間に50回未満

期外収縮は30歳を超えるとほとんどの人に見られるようになり、加齢とともに増加します。

注意したいのが、運動や緊張など明らかな原因がないのに突然、心拍数が120以上になる場合です。

急激に心拍数が上昇した場合やめまいや息切れがある場合、不整脈が続く場合は、心疾患や高血圧、肺の疾患の可能性が考えられます。早めに病院を受診しましょう。

自分の心拍数を把握しておくメリット

自分の心拍数を把握しておくと、以下のようなメリットがあります。

体調の変化に気づくことができる

心拍数には個人差があるため、自分の心拍数を把握しておくことが大切です。

そうすることで、体調の変化に素早く気づくことができます。心拍数に変化がある日は、無理せず体を休めることが大切です。

運動やトレーニングの効果を高められる

適度な有酸素運動は、健康的な体づくりや脳の活性化につながります。

運動は激し過ぎても軽過ぎても十分な効果を得られないため、自分に適した運動強度を知るためにも、心拍数を知っておくといいでしょう。

心拍数と血圧の関係

心拍数と血圧の関係

心拍数の正常値や平均値と呼ばれる数値はありますが、心拍数を見るだけでは健康状態の判断はできません。心拍数と血圧には関わりがあるため、心拍数をチェックするときは血圧も合わせて考えましょう。

血圧とは、心臓から送り出された血液が全身を巡る際、血管の壁を押す圧力のことです。

「最高血圧(収縮期血圧・上の血圧)」と「最低血圧(拡張期血圧・下の血圧)」を測定することで、血圧の正常値を把握します。

「血圧が上がると、心拍数も上がる」と思っている人もいるかもしれませんが、血圧が高いからといって、必ずしも心拍数も高いとは限りません。

心臓が弱く血液を送り出す量が少ないと、血圧は低い数値になります。この状態で体にしっかり血液を行き渡らせるためには心拍数を上げなければならず、回数が増加します。

心拍数が高い状態が続くと、心臓が疲労し、健康に悪影響を及ぼしてしまいます。高血圧がある人の場合、心拍数が増えるほど心疾患や脂肪リスクが高まることがわかっているため、注意しましょう。

心拍数と寿命の関係

「一生のうち、心臓が脈打つ回数は決まっている。心拍数が遅い人の方が長生きする」といった都市伝説を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

心拍数が速い動物は寿命が短く、心拍数が遅い動物は長寿という傾向は見られるものの、これが人間にも当てはまるという公式な研究結果は存在しません。

寿命は心拍数だけでなく、普段の食事や生活習慣、運動習慣などに影響されます。そのため、心拍数の速さ・遅さで寿命を判断することは難しいと考えられるでしょう。

高い心拍数には要注意!自分の正常値を知っておこう

健康な人の心拍数の正常値は60〜100回ほどといわれています。しかし、心拍数には個人差も大きいため、自分の心拍数を把握しておくことが大切です。

また、心拍数だけで健康かどうかを判断することはできません。心拍数は血圧と関連があるため、血圧とセットで考えて数値に注意しましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:佐藤 孔信さん

佐藤 孔信さん

戸塚西口さとう内科・院長。専門は糖尿病や腎臓病等、多岐にわたる。「対話を大事に、患者様からのsignを見逃さない」医療を目指し、幅広い診療科の医師、スタッフとともにチームで診療にあたっている。また、病診連携・診診連携の体制をしっかり整え、より早期に包括的な医療の提供を心掛けている。

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