女性の死因トップ!怖い「心臓の病気」

公開日:2024年11月08日

血管力を上げて心疾患を寄せ付けない!#1

女性の死因トップ!怖い「心臓の病気」

女性の死因トップ!怖い「心臓の病気」

心臓は生命維持に欠かせない臓器です。年齢を重ねるほど心臓のコンディションが健康や生活の質を維持するカギを握ります。そこで、注意したい心臓の病気と「100年持つ心臓」をつくるために今からできることを専門医に聞きました。全3回で紹介します。

教えてくれた人:池谷敏郎(いけたに・としろう)さん

教えてくれた人:池谷敏郎(いけたに・としろう)さん

1962(昭和37)年生まれ。88年東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科で血圧と心機能に関する研究を行う。医学博士。東京医科大学循環器内科客員講師。専門は内科、循環器科。『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』(東洋経済新報社刊)など著書多数。医療法人社団 池谷医院

閉経後は特に注意!高齢女性の死因トップは「心血管病」

閉経後は特に注意!高齢女性の死因トップは「心血管病」
出典:厚生労働省・2022年人口動態調査より作成

心臓は全身に血液を送るポンプの役割を果たしている重要な臓器です。女性は、血管を守っていたエストロゲンが急激に低下する閉経以降、心臓病を発症しやすくなります。

特に、超高齢社会の進展で、男女とも急激に増えているのが「心不全」です。その患者数は2030年には130万人に達し、まるで感染症のように高齢者に広がると予測されています。

「心不全は、心臓のポンプ機能が正常に働かなくなった状態です。新型コロナウイルス感染症の自粛生活によるストレスで血管や心臓が弱っている人は少なくないため、今後ますます心不全が増えるのではないかと危惧しています」

そう指摘するのは、心臓の専門医で池谷医院院長・理事長の池谷敏郎さんです。

冠動脈が心臓へ栄養と酸素を供給しています

冠動脈が心臓へ栄養と酸素を供給しています

心臓の上には、冠動脈と呼ばれる血管が冠のようにのり、栄養と酸素を送っています。右冠動脈と左冠動脈に枝分かれし、左冠動脈は左回旋枝と左前下行枝に分岐しています。

動脈硬化の進行が心臓病の引き金に

女性にも多い心臓病には、心臓に栄養と酸素を送る冠動脈が詰まって心臓の筋肉が壊死する「心筋梗塞」、血液の流れを正常に保つ心臓の弁に不具合が起こる「心臓弁膜症」などがあります。

また、心臓の機能が低下して全身に十分な血液が送られなくなる「心筋症」や脈が乱れる「不整脈」も怖い病気です。

「これらの心臓病や高血圧などにより心臓のポンプ機能が低下すると、心不全になります。高齢者が心不全になると寝たきりになったり、5年以内に亡くなったりするリスクが高まります。そうならないためにも、心臓病を防ぐことが重要です」

コロナ禍と超高齢社会で急増!「心不全」

心不全は高齢者が発症しやすい病気で、血液を送り出す力が弱い「収縮不全」と、心臓が硬くて膨らみにくい「拡張不全」があります。

日本ではどちらも2035年まで増え続けると予測されています。日本心不全学会は、「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しており、放置は禁物です。

【日本の心不全患者数の推定】

コロナ禍と超高齢社会で急増!「心不全」
新潟県佐渡市の心不全罹患率と国立社会保障・人口問題研究所報告書(2006年)の人口から、心不全の患者数を推定
出典:Circ J. 2008 Mar;72(3):489-91.

早期発見が大事!心不全の症状とは

  • 坂道や階段での息切れや動悸
  • 足や顔のむくみがひどい
  • 夜になると咳が出る
  • 全身がだるく疲れやすい
  • 横になると息苦しく、起き上がると楽になる
  • 夜間の頻尿

心不全の症状は、坂道や階段での息切れや動悸、夜間の頻尿、足や顔のむくみなどです。心当たりのある人は、「年のせい」などと放置せず、かかりつけ医に相談し治療を受けましょう。

女性の死亡率が2倍という報告もある「心筋梗塞」

心臓に血流を送る冠動脈のどこかが詰まって、酸欠状態になった心臓の筋肉が壊死する病気が心筋梗塞です。

女性の場合、あご、喉、肩やみぞおちの痛み、吐き気など、心筋梗塞と結びつきにくい症状を訴える人が多く、救急車を呼ぶのをためらいがちです。

そのためか、病院にたどりついた場合でも、女性の心筋梗塞の死亡率は男性の約2倍と高め。男性以上に予防が肝心です。

【急性心筋梗塞で入院した患者の死亡率】

女性の死亡率が2倍という報告もある「心筋梗塞」
宮城県内の主な心臓病治療施設が参加している宮城県心筋梗塞登録研究調査のデータ。世界的にも心筋梗塞の女性の死亡率は男性より高率
出典:Circ J. 2017 Mar 24;81(4):520-528.

寒い季節には、突然、心筋梗塞を起こす人も増加します。その主な原因は、冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化は、内側にプラークと呼ばれるかたまりが生じて、血管が硬く狭くなった状態です。

ある日突然冠動脈のプラークが破れ、血栓(血のかたまり)ができて血流が滞ると、急性心筋梗塞を発症し命に関わることもあります。

「動脈硬化は老化現象の一つですが、日々の生活習慣の見直しで進行を緩やかにすることができます。動脈硬化の進行を抑え血管力を高めることが、心臓を守るカギです」と池谷さんは強調します。

次回は心臓を守るためにどうすればよいか、「心臓を老化させる」生活習慣についてお伝えします。

取材・文=福島安紀、イラストレーション=ながのまみ、構成=新井理紗(ハルメク編集部)

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年2月号を再編集しています

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

驚きの軽さ&使いやすさ!

1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール
1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール

【PR】飽き症でも、ゼロから英語が話せるようになったワケ

ゼロから英語が話せる!

飽き症さんでもOK!たった60日で英語が苦手な人でも英会話ができるようになると話題の「インド式英会話」をご存知ですか?無料体験セミナー実施中です!

2025.02.05
認知症のご本人の財産や権利をどう守るか?

お金に困りたくない!

認知症になると、不動産の手続きや預貯金の引き出しが自由にできなくなります!事前に知らないと苦労する「法律」とは…

2025.04.08
ご家族の認知症介護の進め方、向き合い方

もし親が認知症になったら…

家族が認知症になった時、介護や通院など一体何を準備すればいいのでしょうか?「もしも」の場合のスムーズな対応を解説!

2025.04.04
おひとりさま女性のソロライフに備えよう!「おひとりさま老後」の資産運用

老後資金、こんなに要るの?

未婚に限らず、離婚・死別などで誰しも「おひとり様」になる可能性が。一人で生きていくための「お金の準備」は出来ていますか?

2025.03.18
【PR】50代の尿トラブル大調査! なんと8割の方が……

50代で8割以上!?尿モレの悩み

ヒトに話しにくい尿トラブルの話…「私だけ?」とお悩みの方も多いのでは?50代ハルトモさん達にアンケートを実施し、実態を調査しました!

2025.04.10
【PR】部分入れ歯のウソホント!?正しいケアって?

部分入れ歯のウソ・ホント!?

部分入れ歯が不安定・外れそうで怖い…そんなお悩みは「ケアの仕方」に原因が!?間違えている人が意外に多い、部分入れ歯の「正しい使い方」を専門家が紹介します!

2025.03.12
【PR】始めるなら相談できる「対面証券」がおすすめ

お金のこと、なんでも無料相談

資産運用、相続、ローンまで!お金の「よくわからない」をプロに気軽に相談できる♪

2024.12.17
これだけ覚えておけばOK!海外旅行先で使う英会話10選&英会話学習法

海外旅行で「英会話」を楽しむ♥

海外旅行先で使う英会話10選&手軽に英会話力を伸ばす方法をご紹介!50代からの新しい趣味・学び直しにいかが?

2025.04.10
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10

ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

【限定コラボ】職人技が光る!ハルメク×マエノリのセーター誕生秘話