血管力を上げて心疾患を寄せ付けない!#3
病気に負けない心臓をつくる、7つの習慣
病気に負けない心臓をつくる、7つの習慣
公開日:2024年11月08日
教えてくれた人:池谷敏郎(いけたに・としろう)さん

1962(昭和37)年生まれ。88年東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科で血圧と心機能に関する研究を行う。医学博士。東京医科大学循環器内科客員講師。専門は内科、循環器科。『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』(東洋経済新報社刊)など著書多数。医療法人社団 池谷医院
ストレスと急な温度変化を避けて心臓を守る
心臓の専門医で池谷医院院長・理事長の池谷敏郎さんは、「血管の衰えは心機能を低下させます。血管力を高めて心臓の健康を保ち、心疾患を防ぎましょう」と話します。
なんといっても血管を傷めて心臓の健康に悪影響を与えるのがストレスです。血圧・心拍数の上昇や自律神経の乱れを防ぎ、心臓にストレスを与えない術(すべ)を身につけましょう。
また寒い季節は、部屋の寒暖差によって急激に血圧が上下して、心筋梗塞や脳梗塞などで倒れる「ヒートショック」が起こりやすい時期。ヒートショックを防ぐための対策も必須です。
そこで、ストレスと温度変化をコントロールして、心臓を守る7つの習慣を紹介します。
習慣1:安静時心拍数を測ってストレス度をチェック!
自分のストレス度を簡単に判断できる健康のバロメーターが「安静時心拍数」です。
心拍数は脈拍数とほぼ同じ。座って安静にした状態で、手首か首の付け根などに3本の指を置き、1分間の脈拍数を数えましょう。成人の正常な安静時心拍数は1分間に60~70です。
「一般的には、70を超えたらストレスがかかっている可能性あり。深呼吸などストレスを減らすリラックス法を見つけましょう」(池谷さん)

必ず3本の指で測る。手首の場合は親指側から

首の場合は耳からちょっと下の部分
毛髪や爪でストレスの強さを測るツールも
ストレスを感じると副腎皮質から出るコルチゾールというホルモンの分泌量が増加します。「自宅で採取した毛髪や爪のコルチゾール濃度を測定し、過度のストレスを見える化するツールも販売されています。興味のある人は試してみてもよいでしょう」(池谷さん)
コルチゾールと「ストレスホルモン量検査キット」について、詳しくはこちらから
習慣2:睡眠をたっぷりとってストレスをリセット
睡眠の質が悪かったり不足したりすると、血圧と心拍数が上がりやすく心臓の健康にはマイナスです。寝る前に、 体に力を入れてゆるめる「さびしんぼう体操」をすると自律神経が安定し寝つきがよくなります。
一方、寝る前のスマホチェックは睡眠の質低下のもと。夜中にトイレで起きないよう、冬場は特に就寝前の水分も控えましょう。
【睡眠の質を高めるさびしんぼう体操】

- 就寝前に布団の上に座り、両手で思い切りギュッとひざを抱え、30秒~1分間そのまま保ちます。
- 手をパッと離し、両手のひらを大きく開きながら大の字に寝て、手足をバタバタと振ります。(1)(2)を3回繰り返します。
習慣3:没頭できる趣味を持ち嫌なことは避ける
65歳以上の日本人約5万人を対象にした調査では、趣味の数が多い人ほど死亡リスクが低いとの結果が出ています。
「趣味に没頭することはストレス発散になり、心臓を守ることにもつながります。逆に、嫌なことや合わない人、苦手な人との付き合いは避けることが、ストレス対策の秘訣です」と池谷さん。
【趣味が多い人ほど死亡率は低い】
習慣4:リビング以外も室内は18度以上に

日本人が対象の研究で室温18度未満の家で暮らす人は、全室18度以上に保たれている家の人より6.7倍も高血圧になりやすく心臓病などを発症しやすいとの報告も。
WHO(世界保健機関)は2018年に、健康を守るために冬の室温を「最低でも18度以上に保つべき」と勧告しています。リビングだけでなく寝室、廊下、トイレ、脱衣所なども意識しましょう。
「足元に小さいヒーターを置く、浴室の扉を開けて脱衣所を温めておくなどの工夫をしましょう」(池谷さん)
習慣5:朝はリスク大!体を温めてからゆっくり起きる
特に心筋梗塞を発症しやすいのが早朝です。起床時には寝室や居間の室温が18度以上になっているように設定を。
そして、もじもじ体操(下解説参照)で体を温めてから布団の外へ出れば、血圧や心拍数の急上昇を防げます。
大音量の目覚ましを鳴らして急に起き上がるような動作は心臓には毒です。朝は余裕を持ってゆっくり行動しましょう。
布団の中のもじもじ体操で準備運動を

ひじを曲げて脇をしめ、脇の下をもじもじこすり合わせるように腕を振ります。同時に左右の内ももをこすり合わせて。どちらも体表の近くに血管があるので血流がアップし、体温が上昇します。
習慣6:冷たい水での洗顔は血圧を上げるのでNG
室温を上げたりたくさん着込んだりしても、手や顔、足などが冷たいものに触れると血圧が急上昇し心筋梗塞などの引き金になることがあります。手洗い、洗顔にはお湯を使い、スリッパを履いて足も冷やさないように注意しましょう。
習慣7:入浴は、浴槽からの出入りの体勢が肝心!

湯船に勢いよく入るのは血圧の急上昇を招くのでNG。また湯船に浸かっているときには血管が拡張し血圧が下がるので、急に立ち上がると脳に血液が行かず転倒のリスクも。浴槽のふちをつかみ、頭を下げて腰を曲げゆっくり出入りが基本です。
以上、心臓を守る7つの習慣を紹介しました。どれも手軽なことなので、できることから取り入れてみましょう。
取材・文=福島安紀、イラストレーション=ながのまみ、構成=新井理紗(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年2月号を再編集しています




