二の腕のぶつぶつは治る?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
二の腕のぶつぶつは治る?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月08日
この記事3行まとめ
✓二の腕のぶつぶつは主に毛穴の角化異常で、遺伝的要因も。
✓50代・60代では加齢による乾燥や別の皮膚疾患の可能性も考慮。
✓治療の基本は保湿。症状が気になる場合は皮膚科への相談が大切。
二の腕のぶつぶつの正体とは?
二の腕に気づいたらできている、鳥肌のような、あるいはサメ肌のようにザラザラとしたぶつぶつ。これは多くの場合、「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」または「毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)」と呼ばれる皮膚の状態です。
これは、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が正常に行われず、毛穴の出口付近で角質が厚く硬くなってしまい、毛穴を塞いでしまうことで生じます。感染症などの病気というよりは、遺伝的な要因も関わる一種の肌質(素因)と考えられており、他人にうつることはありません。
多くは思春期頃に最も目立ち、30代を過ぎると自然に軽快することが多いのですが、中には40代、50代になっても症状が続いたり、気になったりする方もいらっしゃいます。
特に50代以降の女性の場合、毛孔性苔癬だけでなく、加齢に伴う別の皮膚の状態も考えられます。
- 老人性乾皮症(ろうじんせいかんぴしょう): 加齢により皮脂や水分の分泌が減少し、肌全体が乾燥してカサカサした状態です。乾燥が進むと、かゆみを伴う湿疹(皮脂欠乏性湿疹)ができ、ぶつぶつとして感じられることがあります。
- 脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう): 「老人性いぼ」とも呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。主に紫外線への長年の曝露が原因で、顔や頭部、体幹、腕などに見られます。茶色や黒色で、少し盛り上がっているのが特徴です。
これらの可能性もあるため、自己判断はせず、気になる症状があれば専門医に相談することが大切です。
よく見られる身体的症状
毛孔性苔癬の主な症状は、二の腕の外側に、皮膚の色と同じか、少し赤みや茶色がかった、直径1〜3mm程度の小さな盛り上がりがたくさんできることです。触れるとザラザラとしていて、見た目が気になるという方がほとんどです。
通常、痛みやかゆみはほとんどありませんが、肌が乾燥するとかゆみを感じたり、無意識に掻くことで炎症が起き、赤みや色素沈着がシミのように見えることもあります。
心理的な変化
痛みやかゆみがなくても、特に女性にとっては見た目の問題は大きいものです。「ノースリーブの服が着られない」「人の目が気になる」といった悩みから、ファッションを楽しめなくなったり、温泉やプールに行くのをためらったりと、QOL(生活の質)の低下につながることがあります。長年コンプレックスに感じ、気持ちが沈んでしまう方も少なくありません。
統計データ(厚生労働省調査より)
毛孔性苔癬に特化した全国的な大規模調査や、厚生労働省による公式な統計データは、現在のところ存在しません。
しかし、複数の皮膚科領域の報告によれば、軽症なものも含めると10代の若者の約30〜40%に見られる、非常にありふれた皮膚の状態であるとされています。日本人では半数近くに見られるという報告もあり、決して珍しいものではありません。多くは年齢とともに軽快しますが、50代、60代で悩んでいる方がいるのも事実です。
二の腕のぶつぶつの原因とメカニズム
主な原因
二の腕のぶつぶつの主な原因は、遺伝的要因が関わる毛穴の角化異常ですが、いくつかの要因が重なって症状が現れると考えられています。
1. 生理学的要因
最も大きな原因は、遺伝的な素因です。ご家族に同じような症状の方がいる場合に発症しやすい傾向があります。その上で、肌のターンオーバーのサイクルが乱れることが直接的な引き金となります。通常、皮膚の細胞は一定の周期で新しく生まれ変わりますが、このサイクルが乱れると、古い角質が自然に剥がれ落ちずに毛穴の周りに溜まっていきます。これが硬くなることで、ぶつぶつとした盛り上がりを形成します。ホルモンバランスの変動が関与するという説もあります。
2. 環境的要因
皮膚の乾燥は、症状を悪化させる大きな要因です。空気が乾燥する冬場に症状が目立つ方が多いのはこのためです。また、カミソリでの自己処理や、ナイロンタオルでゴシゴシ洗うなどの物理的な刺激、衣類との摩擦も、角化を促進し、症状を悪化させる可能性があります。
3. 心理社会的要因
50代・60代の女性は、更年期やライフステージの変化に伴うストレスを感じやすい時期でもあります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良やターンオーバーの乱れにつながることが知られています。直接的な原因ではありませんが、間接的に症状に影響を与える可能性があります。
発症メカニズム
- 遺伝的素因: 毛穴の角化が異常を起こしやすい体質がベースにあります。
- ターンオーバーの乱れ: 何らかの理由で肌の新陳代謝が乱れ、古い角質が毛穴の出口に蓄積します。
- 角栓の形成: 蓄積した角質がタンパク質(ケラチン)と混ざり合い、「角栓(かくせん)」と呼ばれる硬い塊を形成して毛穴を塞ぎます。
- 皮膚の隆起: 角栓によって毛穴が盛り上がり、ぶつぶつとして皮膚表面に現れます。時に、産毛が角栓の中に埋もれてしまうこともあります。
この一連の流れが、毛孔性苔癬の基本的な発症メカニズムです。
リスク要因
- 遺伝: 最も大きなリスク要因です。
- 乾燥肌・アトピー性皮膚炎: 皮膚のバリア機能が低下していると、乾燥や外部刺激の影響を受けやすくなります。
- 肥満: 肥満との関連性も指摘されています。明確な因果関係は不明ですが、皮脂分泌の変化や代謝の乱れが影響している可能性が考えられます。
- 不適切なスキンケア: 過度な洗浄や保湿不足は、乾燥を招き症状を悪化させます。
診断方法と受診について
次に、受診する場合の流れについて説明します。
いつ受診すべきか
二の腕のぶつぶつは健康上の問題を引き起こすことは少ないですが、以下のような場合は皮膚科専門医の受診をおすすめします。
- ぶつぶつに強いかゆみや痛みがある場合
- 炎症を起こして赤みがひどい場合
- 範囲が広がってきた、あるいは二の腕以外にも同様の症状が見られる場合
- 見た目がどうしても気になり、精神的なストレスになっている場合
- 他の皮膚疾患(ニキビ、あせも、アレルギーなど)との区別がつかず不安な場合
診断の流れ
多くの場合、特別な検査は不要で、医師が視診(見た目の状態を観察すること)と触診(触って状態を確認すること)で診断します。
1. 問診で確認すること
医師は、診断の手がかりを得るために、以下のような質問をします。
- いつから症状が気になり始めましたか?
- かゆみや痛みはありますか?
- 症状は季節によって変化しますか?(例:冬に悪化する)
- ご家族に同じような症状の方はいらっしゃいますか?
- 現在、どのようなスキンケアをしていますか?
- 他に治療中の病気や、内服している薬はありますか?
問診で詳しくお話しいただくことで、診断がよりスムーズになります。
2. 身体検査
医師がぶつぶつの状態を詳しく観察します。大きさ、色、分布範囲、炎症の有無などを確認し、毛孔性苔癬かどうかを判断します。他の皮膚疾患の可能性が考えられる場合は、さらに詳しく調べることもあります。
3. 代表的な検査例
通常は視診で診断が確定しますが、非常にまれに他の病気との鑑別が必要な場合、ダーモスコピー(特殊な拡大鏡)で皮膚の状態を詳しく観察したり、皮膚の一部を採取して病理組織検査を行ったりすることがあります。ただし、これらは一般的な毛孔性苔癬の診断で行われることはほとんどありません。
受診時の準備
- 症状のメモ: いつから、どのような症状があるか、季節による変化などをメモしておくと、医師に正確に伝えられます。
- 服装: 腕をまくりやすい、ゆったりとした服装で行くと診察がスムーズです。
- 普段使っている保湿剤など: もしあれば、製品名がわかるものや実物を持参すると、スキンケア指導の参考になります。
受診すべき診療科
二の腕のぶつぶつが気になる場合は、皮膚科または美容皮膚科を受診してください。まずは保険診療を扱う一般の皮膚科で相談するのが第一選択です。お住まいの自治体のウェブサイトや保健所では、地域の医療機関情報を調べることができますので、活用するのも良いでしょう。
二の腕のぶつぶつの治療法
治療方針の決定
治療のゴールは、症状を完全に「なくす」ことよりも、角質を柔らかくして目立たなくし、肌のザラつきを改善することに置かれます。医師は患者さんの希望や症状の程度、ライフスタイルを考慮しながら、保湿ケアなどのセルフケアを基本に、必要に応じて外用薬などを組み合わせた治療計画を提案します。美容的な改善を強く希望される場合は、美容皮膚科での治療も選択肢となります。
薬物療法
皮膚科では、主に角質を柔らかくする作用のある外用薬(塗り薬)が処方されます。これらは基本的に保険適用となります。
※ただ、実際にはクリームやピーリングでの治療は難しいです。現実的には、ダーマペンや医療脱毛を行うケースが多いです。
- 尿素配合クリーム: 硬くなった角質に水分を保持させ、柔らかくする作用があります。市販薬にもありますが、医療機関ではより高濃度のもの(例:10%、20%)が処方可能です。濃度が高いほど角質を柔らかくする効果は高まりますが、人によっては刺激を感じることもあります。医師が肌の状態を見て適切な濃度を選択します。
- サリチル酸ワセリン軟膏: サリチル酸の持つ「角質融解作用」により、厚くなった角質を溶かして除去します。尿素クリームよりも強力な作用が期待できますが、その分、正常な皮膚への刺激にもなり得るため、医師の指導のもと、ぶつぶつのある範囲に正確に塗布することが重要です。
- 活性型ビタミンD3外用薬: 本来は乾癬(かんせん)などの治療に用いられる薬ですが、皮膚の細胞が過剰に増えるのを抑え、角化を正常な状態に導く作用があるため、毛孔性苔癬にも応用されることがあります。
- ビタミンA誘導体(トレチノインなど): 皮膚のターンオーバーを強力に促進し、古い角質を積極的に剥がし、新しい皮膚への生まれ変わりを促します。高い効果が期待できる一方、赤み、皮むけ、乾燥といった副反応(A反応)が強く出ることがあります。日本では保険適用外であり、美容皮膚科などで自費診療として処方されます。
これらの薬は、効果の反面、刺激感や赤みなどの副作用が出ることがあります。自己判断で使用せず、必ず医師の指示に従ってください。
非薬物療法
美容皮膚科では、より積極的に見た目の改善を目指すための治療(自由診療)が行われます。
- ケミカルピーリング: グリコール酸やサリチル酸などの酸性の薬剤を皮膚に塗り、古い角質を溶かして剥がれやすくし、ターンオーバーを促します。施術後、数日は赤みや乾燥、薄い皮むけなどが生じることがあります。月1回程度の継続的な治療が推奨されます。
- ダーマペン: 極細の針で皮膚に微細な穴を無数に開け、肌が本来持つ自然治癒力を引き出す治療です。治癒過程でコラーゲンやエラスチンの生成が促進され、肌質自体の改善やハリ感アップも期待できます。施術後は赤みや内出血、腫れが出ることがあり、ダウンタイムは数日〜1週間程度です。
- 医療レーザー脱毛: 毛穴に詰まった産毛もぶつぶつの一因であるため、レーザー脱毛で毛根を破壊し、毛をなくすことで毛穴の詰まりが解消され、肌が滑らかになる効果が期待できます。副次的に毛穴の引き締め効果が得られることもあります。
- フラクショナルレーザー: レーザーを点状に照射し、皮膚の深部に熱エネルギーを届けることで、意図的に微細なダメージを与えます。その創傷治癒過程で皮膚の再構築を促し、長期的な肌質改善を目指す治療です。施術後は赤み、腫れ、点状のかさぶたによるザラつきなどが1週間程度続くことがあります。
これらの美容治療は効果が期待できる一方、いずれも自由診療のため費用がかかります。また、複数回の施術が必要な場合がほとんどです。治療を受ける際は、医師から効果、リスク、ダウンタイム、費用について十分な説明を受け、納得した上で選択することが大切です。
生活習慣による管理
治療効果を高め、良い状態を維持するためには、日々の生活習慣が非常に重要です。
1.食事
バランスの取れた食事を基本とし、特に皮膚の健康をサポートする栄養素を意識しましょう。
- ビタミンA: ターンオーバーを正常に保つ。レバー、うなぎ、緑黄色野菜(人参、ほうれん草)など。
- ビタミンB群: エネルギー代謝を助け、皮膚の健康を維持する。豚肉、玄米、大豆製品など。
- ビタミンC: コラーゲン生成に不可欠。赤ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、柑橘類など。
- ビタミンE: 血行を促進し、抗酸化作用を持つ。ナッツ類、アボカド、植物油など。
- 亜鉛: 皮膚や粘膜の健康維持を助ける。牡蠣、赤身肉、レバーなど。
2.睡眠
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復と再生に欠かせません。時間帯にこだわるより、毎日決まった時間に就寝・起床し、生活リズムを整え、「深い眠り」を確保することが重要です。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、光の刺激で眠りが浅くなるため控えましょう。
3.運動
ウォーキングなどの適度な有酸素運動は、血行を促進し、全身の新陳代謝を活発にします。汗をかくことで、肌の老廃物排出も促されます。
4.ストレス管理
自分に合ったリラックス法を見つけましょう。趣味の時間を持つ、ゆっくり入浴する、アロマテラピーを取り入れるなど、心身の緊張をほぐす時間を作ることが大切です。
治療期間と予後
毛孔性苔癬は肌質に由来するため、短期間で完治するものではありません。治療には根気が必要で、数か月から年単位の時間がかかることもあります。治療によって症状が改善しても、ケアを中断すると再発することもあります。しかし、適切なケアを継続することで、症状をコントロールし、目立たない状態を維持することは十分に可能です。
予防法と日常生活での注意点
一次予防(発症予防)
遺伝的素因が大きいため、完全な発症予防は難しいとされています。しかし、リスク要因である乾燥や肌への刺激を避けることは、症状の発現を抑える上で重要です。
二次予防(早期発見・早期治療)
症状が軽いうちから正しいケアを始めることが、悪化させないための鍵です。ぶつぶつに気づいたら、まずは保湿を徹底しましょう。症状が改善しない、あるいは気になる場合は、早めに皮膚科を受診することが早期治療につながります。
日常生活の工夫
- 保湿ケアの徹底: 最も重要なケアです。入浴後は5分以内を目安に、まだ肌に水分が残っているうちに保湿剤を塗りましょう。尿素配合のクリームなどでこまめに保湿することで、肌が柔らかくなり、角質が溜まりにくくなります。
- 正しい洗い方: 体を洗う際は、ナイロンタオルなどでゴシゴシこすらず、よく泡立てた石鹸で優しく手で洗いましょう。洗浄力の強すぎるボディソープは避け、保湿成分の入ったものを選ぶのがおすすめです。
- 入浴: 熱すぎるお湯(42度以上)は、肌の潤いを保つために必要な皮脂まで奪ってしまいます。38〜40度程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かり、血行を促進しましょう。保湿成分配合の入浴剤も効果的です。
- 衣類: 肌に直接触れる衣類は、チクチクしない綿やシルクなどの優しい天然素材を選びましょう。化学繊維は肌への刺激となることがあります。
- 紫外線対策: 紫外線は肌の乾燥を招き、ターンオーバーの乱れにつながります。日中の外出時は、季節を問わず日焼け止めを塗る、長袖を羽織るなどの対策を心がけましょう。
- 自己処理を避ける: ぶつぶつを潰したり、毛抜きで抜いたり、カミソリで剃ったりするのは絶対にやめましょう。炎症や色素沈着、埋没毛の原因になります。
家族・周囲のサポート
見た目を気にしているご本人に対し、「気にしすぎだよ」「誰も見ていないよ」といった言葉は、善意からであっても、かえって本人を傷つけ、孤独にさせてしまうことがあります。「悩んでいるんだね」と気持ちを受け止め、「何かできることはある?」「一緒に皮膚科を探してみようか」など、具体的な行動に寄り添う姿勢を見せることが、本人の大きな安心につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1: 二の腕のぶつぶつは自分で治せますか?
A: 症状が軽い場合は、毎日の保湿ケアを徹底することで、ザラつきが改善し目立たなくなることがあります。大切なのは、肌を乾燥させないことと、刺激を与えないことです。尿素が配合された市販のクリームも有効です。ただし、数か月ケアを続けても改善しない場合や、赤みやかゆみが強い場合は、皮膚科で相談することをおすすめします。
Q2: 年齢とともにひどくなることはありますか?
A: 毛孔性苔癬は、多くの場合、思春期にピークを迎え、30代以降は自然に軽快する傾向があります。しかし、50代・60代になってから加齢による肌の乾燥が強くなることで、かえって症状が目立ってくるように感じる方もいます。気になる変化があれば、一度専門医に相談してみましょう。
Q3: ぶつぶつを潰すのはなぜダメなのですか?
A: ぶつぶつを無理に潰すと、皮膚が傷つき、そこから細菌が入って炎症(毛嚢炎)を起こす可能性があります。また、炎症が治った後にシミのような跡(炎症後色素沈着)が残ってしまい、かえって見た目が悪化することがあります。気になっても、絶対に潰さないようにしてください。
Q4: 食生活で気をつけることはありますか?
A: 特定の食べ物が直接の原因になるという医学的根拠はありません。しかし、肌の健康を保つためには、バランスの取れた食事が基本です。皮膚のターンオーバーを助けるビタミンA(緑黄色野菜など)や、血行を促進するビタミンE(ナッツ類など)、肌の材料となるタンパク質などを意識して摂ると良いでしょう。
Q5: 医療レーザー脱毛で改善するというのは本当ですか?
A: はい、効果が期待できる治療法の一つです。毛孔性苔癬は、毛穴に角質だけでなく産毛が詰まっていることも多いため、医療レーザー脱毛で毛根を破壊し、毛が生えてこなくなることで、毛穴の詰まりが改善されることがあります。ただし、自由診療となり費用がかかるため、実施する際は医師とよく相談してください。
Q6: スクラブやピーリングジェルを使っても良いですか?
A: 市販のスクラブ剤などでゴシゴシこすることは、肌への刺激が強く、角化を悪化させる可能性があるため推奨されません。ピーリング作用のある製品を使う場合は、刺激の少ないものを選び、使用頻度を守ることが大切です。不安な場合は、自己判断で行わず、皮膚科でケミカルピーリングなどの専門的な治療について相談する方が安全です。
Q7: 遺伝するなら、子どもにも同じ症状が出ますか?
A: 遺伝的な素因が強いと考えられているため、お子さんに同じような症状が現れる可能性はあります。しかし、必ずしも発症するわけではありませんし、症状の程度も人それぞれです。もしお子さんの肌に同様の症状が見られた場合は、ご自身の経験から、早い段階で保湿などの適切なケアを教えてあげられると良いでしょう。
Q8: かゆみがある場合はどうしたら良いですか?
A: かゆみがある場合、肌がかなり乾燥しているか、軽い炎症を起こしている可能性があります。まずは保湿を普段以上に念入りに行い、掻かないように注意してください。冷たいタオルなどで冷やすと、一時的にかゆみが和らぐことがあります。それでもかゆみが続く場合は、他の皮膚疾患の可能性も考えられるため、皮膚科を受診してください。
Q9: どんな保湿剤を選べば良いですか?
A: 角質を柔らかくする作用のある「尿素」や、高い保湿力を持つ「ヘパリン類似物質」が配合されたクリームやローションがおすすめです。テクスチャーは、夏場はさっぱりしたローション、冬場はしっかり潤うクリームなど、季節や肌の状態に合わせて使い分けると良いでしょう。大切なのは、自分自身が心地よく、毎日続けられるものを選ぶことです。
Q10: この先、ずっと付き合っていくしかないのでしょうか?
A: 毛孔性苔癬は体質的なものであるため、「完治」は難しいかもしれませんが、がっかりする必要はありません。適切なスキンケアを根気強く続けることで、症状をほとんど目立たないレベルまでコントロールすることは十分可能です。年齢とともに軽快することも多いですし、今は様々な治療の選択肢もあります。一人で悩まず、専門家と相談しながら、上手に付き合っていく方法を見つけていきましょう。
Q11: 皮膚科の治療は保険適用されますか?
A: はい、医師が毛孔性苔癬と診断し、角質を柔らかくする塗り薬(尿素クリームやサリチル酸ワセリンなど)を処方する場合は、基本的に保険適用となります。ただし、ケミカルピーリングやレーザー治療といった、主として美容目的で行われる治療は自由診療(自費)となります。
Q12: 二の腕以外にもできますか?
A: はい、できます。毛孔性苔癬は、二の腕の他に、肩周り、背中、お尻、太ももなど、比較的皮脂の分泌が少なく、衣類でこすれやすい部位によく見られます。一方で、顔にできることは稀です。
Q13: 漢方薬は効きますか?
A: 体質改善を目的として漢方薬が用いられることがあります。特に「薏苡仁(よくいにん)」という、ハトムギの種子から作られる生薬は、古くから肌荒れやイボの治療に用いられてきました。肌の水分代謝を整え、余分な角質を排出するのを助ける効果が期待されます。ただし、効果には個人差があり、体質に合わない場合もありますので、希望する場合は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
まとめ
大切なポイント
- 二の腕のぶつぶつの多くは「毛孔性苔癬」で、病気ではなく肌質に近いものです。
- 治療と予防の基本は、とにかく「保湿」と「刺激を与えない」ことです。
- 症状が改善しない、かゆみがある、見た目が気になるなど、悩みがあれば皮膚科に相談しましょう。
- 美容皮膚科での治療も含め、今は様々な選択肢があります。
長年、二の腕のぶつぶつを気にされてきた方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、それは決して珍しいことではなく、多くの方が経験する肌の状態です。大切なのは、ご自身の肌の状態を正しく知り、それに合ったケアをしてあげること。
この記事でご紹介したように、日々の少しの工夫で肌は応えてくれます。一人で抱え込まず、時には専門家の力も借りながら、自分らしいおしゃれや生活を、これからも晴れやかな気持ちで楽しんでいきましょう。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。ご自身の症状や体調について心配なことがある場合は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
適切な診断・治療には専門医による個別の判断が不可欠です。自己判断せず、まずは信頼できる医師にお話しすることをおすすめします。
監修者プロフィール:久野賀子 先生

2017年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。日大板橋病院にて初期研修終了後、湘南美容クリニックに入職し、5年半勤務。新宿本院皮膚科医局長として通常の勤務だけでなく、新人医師の指導、VIP対応、トラブル対応に従事。2024年11月新宿二丁目にPRIDE CLINICオープン。




