50代からの美容&エクササイズ番組一覧
2024.12.012024年09月06日
肌トラブル急増!夏から秋と“自称乾燥肌”に注意
肌老化が進む思い込みケアと医師が教える正しいケア
アラフィフ女性にぴったり今気になる美容法を、同年代の美容ライター・中尾慧里さんがご紹介します。夏から秋の季節の変わり目は肌が調子が悪くなりやすく、間違ったケアをしているとトラブルの元に。医師の今野みどりさんに正しい美容法を教わります。
教えてくれた人
今野みどりさん
こんの・みどり 形成外科専門医。皮膚腫瘍外科指導専門医。医学博士。1989年川崎医科大学卒業、2001年M&Mスキンケアクリニック副院長、2014年には日本で最初の美容皮膚科である石井クリニックの院長に着任。患者が抱えるそれぞれの肌悩みに合わせた処方と、心に寄り添う治療に定評がある。https://skincare-clinic.jp/
夏から秋にかけて肌トラブルが増えるのはなぜ?
今年の夏も酷暑で、秋まで長引きそうな気配です。この時期、いつもより吹き出物や赤み、カサつき、シミなどの肌トラブルが増えている気がしませんか?
「その原因は、紫外線(日差しの強さ)、外とエアコンの部屋との温度差、汗などによる外的刺激が考えられます。また、暑い中でマスクをすることで、ムレやこすれによる赤み、かぶれに悩む人も。秋になれば、日焼けによってシミが濃くなる、肝斑(かんぱん)が悪化するといった問題も起こりがちです」と話すのは、形成外科医の今野みどりさんです。
肌老化を促進させる「思い込みケア」とは?
さまざまなトラブルをそのままにしておくと老化が進むのは当たり前ですが、実はいつものお手入れでも老化を促進させている、と今野さんは言います。
「いわゆる、思い込みケアですね。例えば、自分は乾燥肌だと思っているから、化粧水を省いて油分のあるクリームやオイルをつけてしまう。泡洗顔していると思っていても、泡が薄すぎるから手指が肌にあたって結局はこすっている。化粧水は叩き込めば肌内部まで入ると思い込んでいる、といった具合です」
皮がむけることがあるので乾燥肌です、という人を診ると、皮脂分泌が盛んな脂漏性皮膚炎だったことも。
「炎症のせいで皮がむけてしまうことがあるので、カサついた=乾燥だと思い込まないこと。そうじゃない場合もあります。また、50代以降はもう皮脂なんか出ない、というのも思い込み。確かに若い頃よりは減少しますが、Tゾーンなどは皮脂分泌の多いエリアです」
年代に合わせた美容方法にアップデートしよう
50代以上のハルメク世代ともなると、昔の美容情報から更新されていない人も多いはず。それが「思い込みケア」を加速させているかもしれません。私たちの年代でありがちなのが、娘と一緒にニキビケアのスキンケアアイテムを使ったり、さっぱり系の化粧水と乳液だけといったような年代に合わないケアをしたりすること。筆者の友人にもいたので、逆に老化しちゃうよ、ととめましたが……。
ここで一度思い込みをやめて、正しいケアをおさらいしてみませんか?
50代からの正しいスキンケア:クレンジングと洗顔
「大切なことは、肌をこすらないこと。洗顔でも化粧品を塗るときでも、やさしく。年齢的に、クレンジングは肌なじみのいいものを選びましょう」
クレンジングのおすすめは、ミルクタイプ、やわらかなジェルタイプ、秋冬はクリームタイプでも。
「メイクを浮かせることを重視するので、こする必要はありません。力の入りにくいくすり指の腹でそっとなじませるように使いましょう」
洗顔は、ネットを使ってもっちりとした泡を作ること。泡を顔にのせたら、垂直に泡を押すように洗います。手指が肌に当たらないように気を付けて。クレンジングでメイク汚れは落ちているし、昨今の洗浄剤は泡の力だけで汚れを浮かせて落とせます。
「すすぎ方も要注意。熱めのシャワーを上からザーッとかけてはダメです。水かほんのり温かいくらいのぬるま湯で、弱めのシャワーで。個人的には、シャワーをかける反対の手で顔前をブロックして直接当たらないようにしています」
シャワーじゃない場合は、洗面器に水かぬるま湯をためて、洗い残しがないようにすすぎます。
正しいスキンケア:化粧水は手でつける
「洗顔後はすぐ化粧水を。角層に水分があることが美肌の基本ですから。すぐ乳液やクリーム、オイルといった油分を補うと肌内部が乾燥してバリア機能が弱くなり、肌トラブルを引き起こします」
化粧水をつける際は、コットンよりも手で。500円玉大くらいの量を手のひらに取り、顔全体になじませます。
シミやくすみが気になる世代なので、トラネキサム酸入りのローションや、セラミド、ビタミンCが配合されたタイプもおすすめ。また、日焼け後はそれらのローションでマスクするとスピーディな回復が期待できます。
正しいスキンケア:美容液と乳液
化粧水の後は、悩みに応じた美容液(セラム)をつけ、乳液で肌の潤いを逃がさないようフタをします。
「全顔につけたら、目尻や口のまわり、首などエイジングが気になる部位に重ねづけしてもいいですね。冬や乾燥がひどい場合には、さらにクリームを重ねても。ただ、皮脂分泌の多いTゾーンやこめかみは少なめに塗布を」
シミやくすみが気になるならトラネキサム酸やビタミンC配合のもの、しわやたるみが気になる場合はレチノール配合のアイテムもおすすめ。ただ、レチノールを初めて使う場合は1日おきなどにして慣れるようにしましょう。
正しいスキンケア:朝は絶対に日焼け止めを塗る!
「朝と夜は同じステップでケアしていいですが、朝だけはスキンケアの後に日焼け止めを忘れないこと。家にいるからといって油断禁物です。365日欠かさず日焼け止めで紫外線をブロックすることで、シミや肝斑、たるみ、乾燥などの老化トラブルを予防できます」
皮膚科で、肌の土台力をアップ
赤み・カサつき等の肌トラブルが気になる、いつものスキンケアでは肌状態がいっこうに良くならない、もう一つ上のケアも試してみたい。そう思ったら皮膚科で相談してみるのもいいでしょう。自由診療にはなりますが、美容治療を受けることで、肌悩みに土台からアプローチできます。
「例えば、保湿効果が高く、悩みに応じた成分を浸透させる効果に優れた『ウィンセル導入』という最新の施術があります。肌に触れずにアプローチできるので、赤みが気になる人やアトピーの人、また肌への摩擦で悪化してしまいがちな肝斑のケアにも最適。スキンケアなどに比べて効果実感も早いと思います」と今野さん。
今野さんのクリニックでも取り入れている「ウィンセル導入」は、水で肌を施術するという発想の画期的なもの。世界最小の超微細な水が肌の角質層へゆきわたり、しっかりと保水力を高めます。
「肌のお悩みに合わせて、セラミドや保湿剤、トラネキサム酸やビタミンC、グロスファクターが豊富な幹細胞培養上清液などの専門の導入剤を塗布して(カクテル処方も可)わずか20分、いすに座ってウィンセルによる微細な水を浴びるだけで、肌にしっかりと浸透していきます。髪も潤い、目を開けて受けるとドライアイが気にならなくなったという人も。また、フォトフェイシャルなどの施術後に使うと鎮静作用により、肌が落ち着くといった効果もあります」
2週間ごとに計4回受けると効果を感じる方が多く、そのあとは1か月に1回程度受けて、肝斑などの肌状態をコントロールするのがおすすめだそう。
肌老化を加速させないために正しいケアを見直し、皮膚科の施術も味方につけて心地よい肌を維持したいものです。
写真:森本洋輔