全国を走るおいしいレストラン

伊予灘ものがたりで行く観光列車の旅

公開日:2019.01.11

更新日:2019.04.11

四国を代表する観光列車「伊予灘ものがたり」。瀬戸内の美しい海を眺めながら食事ができます。松山~伊予大洲を走る「大洲編」と「双海編」、松山~八幡浜を行く「八幡浜編」と「道後編」の4つの旅が用意されています。

伊予灘ものがたり
「伊予灘ものがたり」は金と赤の車両。美しい風景に溶け込むように走る

伊予灘の穏やかな海を眺めながら懐石風弁当をいただく

華やかな金色の車体が目を引く​​​​​​

私が乗った「伊予灘ものがたり」は10時51分に伊予大洲駅を出発して、13時11分に松山駅に到着する「双海(ふたみ)編」です。途中、瀬戸内海が見渡せる絶景ローカル駅として知られる下灘(しもなだ)駅のホームに降りることができる2時間20分の旅です。

大きなテーブルをはさんで4人掛けの座席。足元も広々

 私は1泊2日ツアー(羽田から松山までは空路で、「伊予灘ものがたり」乗車以外はバスで移動)にひとりで参加しました。列車の座席は抽選で、向かい合う4人掛けタイプの座席に着席。食事は下の写真のように、二段重に入った懐石風のお弁当。着席した時点で、座席には重箱がすでに置かれていました。地元食材を使った海と山の幸が見た目も鮮やかに盛られています。コースによって、朝食、昼食、夕食が用意されます。私が乗車した「双海編」には昼食としてこのお弁当が出されました。とても美味しく、アルコールの好きな方でしたら、日本酒の肴にもピッタリではないかなという印象でした。

地元の食材をふんだんに使った懐石風のお弁当

私の向かい側に座られたのは、私より少し年上の男性で、とても観光列車に詳しい方でした。観光列車熱が特に高い時期でもありましたので、しばらく景色も料理もそっちのけで、その方から観光列車の情報を教えてもらいました。

車窓からは瀬戸内の美しい風景が楽しめる

観光列車談義に花を咲かせたわけですが、景色を楽しみながら、ゆったり食事を味わうのが観光列車の楽しみだとすると、これはある意味で失敗だったかもしれません。私が興味津々でいろいろと聞いてしまったため、相手の方がゆっくりと食事を味わえなかったのではないかと、反省もしています。この場を借りて?お詫びいたします。申し訳ありませんでした(笑)。

外に向かって腰掛ける座席も。ひとりで楽しみたい人にはおすすめ

絶景駅で海を眺め、猫駅長と戯れる体験も

絶景の無人駅としてマニアのみならず大人気の下灘(しもなだ)

「伊予灘ものがたり」は、その名前の通り、瀬戸内海西部の伊予灘の海岸線に沿って、ゆっくりと進みます。乗車した日は写真のように、快晴。海に光が差して、輝くような青さを見せてくれました。ところで、観光列車のお約束!?として、いくつかの駅で途中下車をして、駅周辺を散策したり、マルシェ(地元の特産品の販売ブース)で買い物をしたりというイベントが行なわれます。途中下車した下灘駅では、車両をバックに写真を撮ったところ、青い空に真紅のボディを華やかに写せました。

これは伊予上灘駅の話だったように記憶していますが、下車したら他の参加者から「こっち!こっち!」と、場所の移動をうながされました。うながされるままに付いていくと、ある男性が「あの島が、ダッシュ島だよ」と教えてくれました。実はこの男性。「伊予灘ものがたり」に100回以上乗車しているという、この列車の大ファンの個人乗車の方。ベテランさんのレクチャー通りに遠くの島を眺めると、私がいた場所からもちろん遠目にはなるものの、TOKIOの番組のロケ地として知られるダッシュ島(由利島)が見えました。意外な展開とはいえ、これも旅の収穫だったと感じています。

猫駅長(あずき)は案外無愛想だった。ワンコ(リセ)が駅長との説もある

また、伊予上灘駅では猫駅長のお出迎えもありました。猫駅長と写真を撮るための列ができていましたが、猫駅長はお疲れなのか、あまり顔を上げてくれないように見えましたけれど……。

余談ではありますが、「伊予灘ものがたり」に乗車するおひとりさまツアーで仲良くなった3人の方とは、次の月に別の観光列車に乗車しました。その後、何回もの観光列車旅行を楽しみ、一緒に海外にも出かけています。ひとりで参加したおひとりさまツアーだったのに、伊予灘ものがたりに乗車したおかげで、楽しい旅ができる友人を得られました。「参加して本当によかった」と、今でも本当に感謝しているおひとりさまツアーになりました。

ツアーを途中離団して坊ちゃん列車に乗車

松山に行ったら「坊ちゃん列車」も外せない

実は「伊予灘ものがたり」に乗車したのは2017年2月。「クラブツーリズム」のおひとりさまツアー(「伊予ものがたり」で昼食 道後温泉で癒しのひととき)を利用しました。料金は当時で88,580円(現在も似たツアーがありますが、コースや料金は変わっています)。

1日目の松山城からホテルまでの旅程で、ツアーの参加者10名くらいで途中離団しました。その日の最終列車となる「坊ちゃん列車」に乗って、ホテルまで行きたかったからです。このツアーに「坊ちゃん列車」が組み込まれていませんでした。

添乗員の方は、ツアー参加者の半分近くが離団することに驚いていましたが、離団した全員が予定にはなかった「坊ちゃん列車」に乗車でき、旅行の満足度がアップした気がします。ホテルに着いてからは道後温泉の湯につかり、翌日の伊予灘ものがたり乗車に向けて、英気を養うこともできました。このようにある程度自由がきくツアーはいいものだと思いました。

伊予灘ものがたりの乗り方

伊予灘ものがたり

伊予灘ものがたりは1日4便の運行。それぞれの旅は時間によって刻々と表情を変える車窓と、地元食材を使ったおいしい食事が楽しめる。

大洲編(朝食付き)
松山駅を8時25分に出発して伊予大洲駅に10時28分に到着(下灘駅8分停車)
松山~伊予大洲 (片道・大人1人) 1,930円 (運賃950円+グリーン車料金980円)
食事代 ※ 2,500円 (税込)  合計4,430円 (税込)

双海編(昼食付き)
予大洲駅を10時51分に出発して松山駅に13時11分に到着(下灘駅10分停車) 
松山~伊予大洲 (片道・大人1人) 1,930円 (運賃950円+グリーン車料金980円)
食事代 ※ 4,500円 (税込)  合計6,430円 (税込)

八幡(やわた)編(昼食付き)
松山駅を13時28分に出発して八幡浜駅15時52分に到着(下灘駅8分停車)
松山~八幡浜 (片道・大人1人) 2,260円 (運賃1,280円+グリーン車料金980円)
食事代 ※ 4,500円 (税込)  合計6,760円 (税込)

道後編(夕食付き)
八幡浜駅を16時06分に出発して松山駅に18時21分に到着(下灘駅10分停車)
八幡浜~松山 (片道・大人1人) 2,260円 (運賃1,280円+グリーン車料金980円)
食事代 ※ 3,000円 (税込) 合計5,260円 (税込)
の4つのコースが設けられています。※食事は事前予約が必要

また、四国発着往復JR(特急列車自由席・伊予灘ものがたり) + 食事が付いた「伊予灘きっぷ」も発売されている。

予約方法
全国各地のみどりの窓口や旅行会社のツアーなどを利用
 

畠中 雅子

はたなか・まさこ  ファイナンシャルプランナー 子育てから老後のお金のことまでまで生活にかかわるお金の全般をやさしく解説。TV出演多数、著者多数。無類のレストラン列車好きで、国内外問わず、時間を見つけては旅に出ている。

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