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- 宝田明さん「子供のように世界を知ろうとする人生を」
人生100年時代を迎えた私たち。長い時間を、どのように生きれば納得できる人生になるのでしょうか。そんな人生のヒントが、87歳の今も走り続ける名優、宝田明さんの生き方に詰まっていました。
僕の役者人生は、人様のおかげ
「僕の役者人生は、誰かに与えられてきたものなんだよね。役者になるのに恵まれた環境にいたわけではないし、東宝にもやっとの思いで入った。そこで与えられた役に、応えなければってやってきた。人の力を頂きながら、少しずつステップアップしていったんです」
映画出演130本以上。日本映画界を支え、ミュージカル俳優としても不動の地位を築き、87歳を迎えた今も精力的に活動する名優、宝田明さん。順風満帆に見える役者人生は、宝田さんが一つ一つの縁に真っすぐ向かい合ったからこそ得た道でした。
「そして与えられた仕事に、その時々の自分の全部で応じたんです。当時の宝田青年の薄っぺらな人生観でも、それでも目いっぱいふかしながら、スロットル全開で演じた。それを人が見て“次はあいつに、この役をやらせよう”って思うんですから」
お客様の感動が、役者としての原動力
自分を認め与えてくれた人たちへの責任とともに、役者としての喜びを宝田さんは語ります。「役者は人に感動を与えられる仕事です。役者が演じた人物に、お客さんは笑ったり泣いたりして、1行のセリフに、その人の人生が開けたりする。そんな瞬間に出合えるのが僕の原動力。演じることをおろそかにはできないから、今も学ぶことばかりです。
例えば、昔に比べて今は職業が増えましたよね。そんな新しい仕事をしている人の役が来て“知らないので役作りに3か月ください”とは言えませんよね。“やります”と即答するには、普段からいろんな人を観察していなければいけない」
自分を耕すのに、年齢は関係ない
キャリア、実力ともに、日本を代表するベテラン俳優の宝田さんですが、世の中を見る目はどこか子どものような初々しさを感じます。
「人間って知らないことが山ほどあって、知らないまま終わるのが人生なの。大切なのは、知ろうとするかどうか。自分を耕せるのは自分だから、僕はフットワーク軽く、美術館や映画館にも行きますよ。ある作品の前で金縛りに合ったように動けなくなったりしてね。作品が僕に語り掛けてきて、動けなくなるんですよ。そんな感動に出合うことも、演じる糧になりますしね」
年を重ねると、いつの間にか守りに入り、新しい時代、知らない世界に尻込みすることがありますが、それは違うと言います。
「知らないのは恥じゃないし、人の目は気にしなくていい。僕はどんどん聞きに行きますよ。未来はこれから作るもの、そのときに、目を魚眼レンズのように広く、子どもっぽく、知ろうとするんです」
たくさんの人生経験を積んでなお、新しい世界に目を輝かせる宝田さんの毎日は、とても楽しそうに見えます。「子どもって知らないと“はーい”って手を挙げるでしょ、あれが一番美しい人生だって思うんです。60歳だから、80歳だからもうダメだ、じゃない。今からすぐできますよ」
戦争の体験を、伝えていくのが使命
常に新しい世界に向かい合ってきた宝田さんですが、年齢を重ねたときに一つの想いが胸をよぎります。「戦争で受けた心と体の痛みは決して忘れることができない。自分が声を上げなければ、と思ったんです」。
満州で終戦を迎えたとき、宝田さんは11歳。それまで優しかった環境が一変。親切だった大人が豹変する様を目の当たりにし、自分もソ連兵の銃撃を受け死にそうになり、悲惨な場面に何回も遭遇しながら、2年をかけて日本に帰国。そんな経験を土台にした舞台、『宝田物語』を2015年からスタ―トさせ各地で公演してきました。「戦争の狂気を伝えていくことが、僕の役者としての使命だと思うんです」
現在、新型コロナウイルスの影響で舞台がストップしていますが、すでに次の映画やミュージカルの出演が控えているそう。「この身ある限り、役者を続けていきますよ」。
86歳の俳優人生は、これからも輝きます。
<プロフィール〉
たからだ・あきら
俳優。1934年(昭和9年)生まれ。幼少期を満州で過ごす。1954年東宝第6期生として俳優デビュー。同年『ゴジラ』で初主演を飾って以来、映画出演本数は130本を越える。1960年代よりミュージカル・舞台でも活躍。「サウンド・オブ・ミュージック」「風と共に去りぬ」「マイ フェア レディ」など数多くの作品の主演をこなしミュージカル俳優としての不動の地位を築く。
取材・文=和田聡子(ハルメク 健康と暮らし編集部) 撮影=中西裕人
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