文筆家・入江 杏さん|悲しみとともに生きる#3

悲しみを分かち合える社会に――被害者遺族の心の軌跡

公開日:2023.12.28

事件によって妹一家4人の命を突然奪われた入江杏さん。大きな悲しみを経験して気付いたのは、それぞれの人の心の中に流れる「悲しみの共通の水脈」の存在でした。入江さんが経験してきた出会いを通じて、他者と悲しみを分かち合うことに思いを巡らせます。

危機の経験が、大切なものに気付くきっかけに

2022年『わたしからはじまる 悲しみを物語るということ』という本を出版する機会に恵まれました。世田谷事件から22年、今に至るまでの心の変遷を、多くの人との出会いを交えて描いたものです。

危機の経験が、大切なものに気付くきっかけに
『わたしからはじまる: 悲しみを物語るということ 』入江杏・著(小学館刊)

この本を読んだ方から、「まるで”ヒッチハイクガイド”のよう」という感想をもらいました。

一つの目的に向かって行き方を示すものではなく、人との出会いや経験を経て次の行き先が拓かれ、思いがけないところにたどり着いている――。そんな私の歩みに触れて、ヒッチハイクの旅が思い浮かんだのだそうです。...

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