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- 遺族がお金も時間も損しない!死後の手続き3つの制度
元気で健康な今からやっておきたい「終活」について、各専門家に伺う特集。今回のテーマは死後に家族が行なう手続きを、少しでもラクにするための「手続きの終活」。知っておかないと家族も自分も損してしまう3つの制度について教えてもらいます。
教えてくれた人:福田真弓(ふくだ・まゆみ)さん
税理士・ファイナンシャルプランナー。専門は相続や家カウンセリング。資産税専門の税理士法人勤務を経て、2008年に独立。共著『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』(自由国民社刊)は83万部を超えるベストセラーに。
【手続きの終活】はじめの一歩:死後に必要な手続きを知る
自分の死後、家族が行う手続きの流れを大まかに把握しておくと、各段階で自分ができる準備を整理しやすくなります。また「死亡直後の手続きに必要なものはすぐ出せる場所に」など、より具体的な対策も打てるようになります。
必ず必要な手続きに絞って具体的に対策
あなたの死後すぐ、家族は多くの手続きに追われます。「特に、提出期限の短い『死亡直後の手続き』や、対応が遅れると延滞税など余計な出費が生じる『相続“税”に関する手続き』などを中心に対策しましょう」と話すのは、終活に詳しい税理士の福田真弓さんです。
今から自分で書類を取り寄せる必要はほとんどない一方で、「葬儀や相続についてなど、“あなたの希望”が不明だと家族が右往左往する原因に。まとめて書き残すのがおすすめです」と福田さん。多くのケースで必要になる手続きに絞り、具体的な対策を解説します。
知らないと損する!死後の手続きにまつわる3つの制度
手続きの準備に入る前に、知らないと家族が損や余計な手間がかかってしまう可能性のある3つの制度について説明します。
制度1:家族がもらえるお金、戻ってくるお金も!
故人と生計が同一の方なら、遺族年金や未支給年金を受け取れます。該当の家族がいる場合、年金証書を引き継いでおくことが必要。
また役所に健康保険証を返却する際、葬儀費用を払った人が葬祭費を申請すると、自治体によっては数万円が戻ってきます。
制度2:入っていた保険を一度に照会できる新制度
2021年に始まった「生命保険契約照会制度」も注目。生命保険協会に問い合わせると、故人が契約していた保険会社が一度に照会でき、保険金の請求漏れも防げます。本人が認知症になった場合も、家族が照会可能です。
制度3:戸籍情報のコンパクト化で相続手続きがラクに!
相続手続きでは各窓口ごとに故戸の提出が必要でした。しかし2017年に始まった法定相続情報証明制度により、法務局へ故戸(※)一式と必要書類を提出すれば「法定相続情報一覧図の写し」が交付され、その1枚を故戸代わりに手続きが可能になっています。
(※)故戸=故人(あなた)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
次回は亡くなった後に家族が行う手続きの流れと、元気なうちに自分で片付けておくべき手続きについてです。
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部) イラストレーション=山村真代
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年9月号を再編集し、掲載しています。
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