料理研究家・島本美由紀の、体にいい油を取ろう(1)

日本の小豆島で作られる上質なオリーブオイルとは?

公開日:2019/12/06

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体にいい食用油を取ろうと、オリーブオイルをサラダ油の代わりに使う人も多いのでは? オリーブの生産といえば地中海沿岸のイメージですが、実は香川県の小豆島で、上質なオリーブが採れるんです。その生産現場を、料理研究家の島本美由紀さんが訪ねました。

オリーブオイル

香川・小豆島でオリーブ摘みを体験!

みなさん、こんにちは。料理研究家の島本美由紀です。

10月中旬、心安らぐ秋風に誘われ、香川県の小豆島でオリーブの収穫体験をしてきました!

小豆島へは香川県の高松港からフェリーで1時間。実は小豆島は、日本のオリーブ栽培発祥の地としても有名な場所。1908(明治41)年、政府によって三重県、鹿児島県、香川県の3県にオリーブの苗木が試験的に植えられたのですが、その中で唯一栽培に成功したのが、地中海の温暖な気候に似ていた香川県の小豆島でした。

今では「オリーブの島」と呼ばれるほどオリーブの栽培が盛んになり、年間100万人を超える観光客が島を訪れるそうです。

今回、私が小豆島でオリーブの収穫体験に訪れたのは、親子3代続く柑橘・オリーブ農家の「井上誠耕園」。9月中旬から12月上旬がオリーブの収穫の時期だそうで、取材時の農園は朝から収穫作業で大忙し。この日は曇り空ではありましたが、農園は海を望む南向きの傾斜にあるため、見晴らしが最高でした。

オリーブ

小豆島のオリーブが上質な理由は「手摘み」にあった

外国のオリーブ産地では機械を使って木を揺らし、実を一気に落として収穫する方法が主流だそうですが、ここでのオリーブはすべて手摘み。しっかりと手を掛け、大切に育てたオリーブの実を一つ一つ丁寧に収穫していきます。

オリーブの実

オリーブの実は傷が付くとそこから酸化が始まるため、品質のいいオリーブオイルを作るには、手間が掛かっても実を傷つけないように手摘みで収穫するのが一番だそう。農園にあるオリーブの木は5000本。根気のいる作業です……。

朝の気持ちのいい空気を大きく吸い込んだら、私もさっそく収穫体験スタート。農園のスタッフが、手摘みの方法を優しく教えてくれます。

慣れるとこの作業がとっても楽しくて、つい息をつくのも忘れるくらい無心に。非日常の世界へと、私を一瞬のうちに連れて行ってくれるようでした(笑)。

収穫作業中には、農園で収穫したみかんの差し入れがありました。

みかんの差し入れ

さわやかな柑橘の香りと落ち着いた甘さに、しばしリフレッシュ。井上誠耕園の温かな日常に触れ、穏やかな心を感じることができました。ごちそうさまです。

農園で働く人たちの明るい人柄もオリーブに影響?

おしゃべりが大好きな私は、休憩中に農園スタッフに突撃インタビュー!「スタッフ同士の恋愛はOK?」「結婚した人いますか?」といった質問に、「この人、めちゃくちゃかわいい女性スタッフに手を出して結婚したんですよ~」と、スタッフ全員大爆笑。

ちなみにこちらの農園でかわいい奥様をゲットしたのは、写真でオリーブを手に載せたおちゃめなポーズの方です(笑)。

明るくフレンドリーなスタッフ

明るくフレンドリーなスタッフが多いのも、井上誠耕園の特徴のよう。とても居心地がよかったです。

ちょっとの傷も見逃さず、色と大きさで選り分けて

あっという間に、みんなで集めたオリーブがカゴいっぱいに集まりました!!

収穫した実は、数週間しか収穫できないという緑色の若い果実ばかり。井上誠耕園では、オリーブの熟度を8段階チャートと照らし合わせ、熟した度合いによって用途を分けていくそうで、今回収獲したこれらの一部は、塩水で漬けたオリーブの浅漬け「新漬けオリーブ」になるそうです。

オリーブがカゴいっぱい

その後、収穫したオリーブを選別する「選果」作業へ。作業台の上にザァーッと流されたオリーブから「新漬けオリーブ」になるきれいな緑色の果実だけを選んでいくのですが、塩に漬けることで、ちょっとした小さな傷も広がってしまうそうで、判断がとっても難しかったです。

こういった新漬け用のオリーブを選ぶ基準の用紙があって、この穴よりも小さすぎても大きすぎてもダメだそうです。

オリーブを選ぶ基準の用紙


ちなみに、カゴに入ったオリーブが新漬け用として選ばれた果実たち。ふぅ~、この作業はかなり疲れました。

オリーブ

手摘みオリーブはゆっくり丁寧にろ過してオイルに

今回は搾油作業も見せてもらいました。

オリーブは摘んですぐに劣化が始まります。そのため、井上誠耕園では、新鮮なうちに園内の搾油場で搾油し、その後ゆっくりと時間をかけて「ろ過」し、オイルにしていきます。ちなみに100kgのオリーブの実からは、7kgほどのオイルにしかならないそうです。

「ろ過」し、オイルにしていく

搾りたての緑果オリーブオイルは苦みや辛味が強く、香りも濃厚。残った搾りかすは井上誠耕園がブランドとして販売している「オリーブ緑果豚」などの飼料にしているそうで、これまで廃棄されていた搾りかすで、おいしいブランド豚を作っていくエコな姿勢に共感しました。

搾油場の横にあるのが、オリーブオイルをおいしく食べるために作られたパン工房の「Bakery&Cafe菊次郎」。今日は特別に、店で人気の生食パンとオリーブオイルを合わせて試食させてもらったのですが、もっちり&ふわふわの食感のパンに風味豊かなオリーブオイルがよく合いました。

Bakery&Cafe菊次郎


完成したこだわりの商品は、井上誠耕園が運営する「井上誠耕園THE STYLE SHOP mother’s」に並びます。

井上誠耕園THE STYLE SHOP mother’s

オリーブオイルや新漬けオリーブの他に、オリーブや柑橘で作られた化粧品や雑貨なども販売し、マイオリーブオイル作りやテイスティングなどが楽しめる場所になっています。
いつもの毎日に癒やしを運んでくれるお気に入りの品が見つかりそうな、心躍る場所でした。

取材・文・撮影=島本美由紀


次回は小豆島のオリーブオイルを使った、地元の料理やレシピをご紹介します。

島本美由紀

料理研究家・ラク家事アドバイザーとして家事をラク(楽しく、簡単)に、をモットーにテレビや雑誌で活躍。冷蔵庫収納や食品保存のスペシャリストとしても活動。近著『野菜保存のアイデア帖』(パイ インターナショナル刊)が好評発売中。

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