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そして「停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」と続きます。石川啄木の歌です。その歌風はストレートで素直、解釈不要でわかりやすい。確か、中学校の教科書で知った歌でした。
広島弁と富山弁
若い頃、故郷(富山県)に帰省すると、いとこたちは「とし古ちゃんはすっかり広島弁になった」と言い、広島では周囲から「とし古さんの広島弁なんか変」と言われていました。
そんな私は、10年ほど前、誘われるままに富山県人会に入会しました。富山弁でおしゃべりする会、ではなくて、広島男子駅伝でふるさとランナーを応援する会なのです。毎年、流ちょうな(?)広島弁と懐かしの富山弁でふるさとの情報を教え合います。
3年ぶりの広島男子駅伝
1月22日、天皇盃 第28回全国都道府県対抗男子駅伝競走大会が3年ぶりに開催されました。平和記念公園前の発着で、平和大通り(通称100m道路)を西に進み、宮島街道を熱走するコースです。
今回はコロナ禍バージョンでの開催で、声を出す応援は自粛となり、その分応援プラカードが各県の幟に混じっていくつも見受けられました。
コースの発着付近の100m道路両サイドは「駅伝ふるさと広場」となり、47の都道府県人会ブースが立ち並び、各ふるさとの名産品の販売をします。
飲食は禁止でしたが、懐かしのふるさとのブースで買い物したり、他県のブースを梯子して旅行気分を味わったり、とコロナ前と変わらず楽しめました。
わがふるさとのブースの名産品
わがブースの目玉商品は、郷土の名産品「かまぼこ」と「鱒寿司」です。
かまぼこは四方海に囲まれている日本ではあちこちで名産品となっていますが、富山のかまぼこは板に乗っておらず、泳ぎ上手(?)のかまぼこなのです。祝膳を飾る、美しい細工を凝らしたかまぼこも有名です。
鱒寿司は塩漬けした鱒の「押し寿司」で、富山県内にはメーカーが多くありますが、どれも寿司が笹で包まれ、曲物(わっぱ)に入っています。
近年はデパートやスーパーの特設コーナーで販売されるようになって、夫の生前はよく買っていました。娘も、東京から帰省するたびに、サービスエリアや列車販売で買ってきてくれました。
ふるさとは遠きにありて…
室生犀星(むろうさいせい)は「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」と詠みました。
東京での不本意な暮らしから逃れて故郷金沢に帰っても同じことだったと、故郷での悲哀を詠んだとされています。
私の故郷のいとこや友人知人は皆、私と同様に年を重ねていますが、時折メールや葉書などで旧交を温めています。
食べ物で故郷を味わったり、テレビなどで懐かしい地名に触れたり、と望郷の念に駆られつつも、「住めば都」の八十路を今日も歩いています。
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