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- 「終の棲家3つの選択肢」あえなく消えた2つの選択肢
琵琶湖岸に位置する「介護付き有料老人ホーム」を「終の棲家」に選んだのはなぜか。身障者になるまでは、「終の棲家」の第1候補は人生の最盛期を過ごした山あいの住宅地にある自宅でした。身障者になってみると、そこには大きなデメリットが。
山あいの小さな町に住み続けるデメリット
雑木の山を切り開いてできた住宅地にある自宅の周りには自然がいっぱい。子どもたちは自然の中を駆け回り、木の実を採ったり小動物を発見したりしながら伸び伸びと育ちました。
その自然の豊かさと引き換えに、自宅からの徒歩圏内にあるのは、郵便ポスト、野菜の無人販売、飲み物の自動販売機、そして小学校のみ。しかもそこに至るまでのほとんどは急な坂道。つまり、身障者や高齢者が自立して暮らすには不都合が多すぎるのです。
デイサービスやデイケアの施設は少ない上に、「寝たきりにならなければ御の字」と公言してはばからない「超高齢者」をターゲットにしたものばかり。
人口の少ない町だけに、施設への送迎も山道をくねくねと回り時間がかかってしまいます。体のバランスが取りにくい私には、つらい道のりでした。
まだ60歳代だった私は、しっかりとリハビリに取り組み、できることを増やしたいと思っていました。退職から後期高齢者となる75歳までは「遊び適齢期」だと考えていたからです。
選択肢その2 漁港のある町の自作ログハウス
自宅に住み続けるには、坂道と、リハビリの質と量がデメリットだと考えた私は、次に、夫が約10年かけて自分のふるさとに作りあげたログハウスを「終の棲家」にと考えてみました。
夫が子どもの頃には「陸の孤島」と呼ばれていたそこは、山と海に挟まれた小さな漁港のある町。海沿いに開かれた町の道は平らで、徒歩圏内に郵便局、農協、小さいながらも食品スーパー、美容室、クリニック、製造販売の洋菓子、和菓子屋さんまであります。海沿いの道のあちこちに木製のベンチも置かれています。
ログハウスは、夫の夢と私の希望をこめて、地元の杉の丸太で作った温もりのある住み心地のよい家。何よりもそこは夫が生まれ育った町。ログハウスに滞在するときの夫は一回りも二回りも逞しく見えます。
でも……と考えてみました。万が一、私が後に残されてしまったら、私が育ったのとはまったく違う、漁師町の風土と文化の中でやっていけるのか。今、優しくしてくれている夫の姉2人はもちろん私よりも年上……いつまでも頼りにするわけにはいきません。
それに、大きな病院が近くにはなく、リハビリのシステムも整っているとは考えられません。ここを「終の棲家」に選んでも、「豊かな人生」につなげるには無理がありそうです。
次回は、第3候補「介護付き有料老人ホーム」なら「豊かな人生」につなげて行けそうか、パンフレットを取り寄せたり、体験宿泊をしたりして考えたことについて書き進めていきたいと思います。
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