上野千鶴子さんの終活「在宅ひとり死は孤独ではない」
2023.08.192021年09月27日
=50代からのポジティブライフスタイル=
「壮大な計画……終活婚」(1)
乳がんサバイバーのあ・らかんです。こんなに同じ人にいろいろなことが起きるの? といぶかしく思う方もいらっしゃるでしょう。でも、他にもここに書けないほどの経験をして今の私がいます。ここからは、私がつかんだ幸せについてお伝えしていきますね。
壮大な計画とは?
私の中では「壮大な計画」と呼んでいますが、これは終活婚、転居(新居購入・引越しと自宅の売却)住所変更やカード・銀行口座の氏名変更などの雑務、年金や貯蓄、生活費、老後の生活プランのすべてです。
やっと離婚できて自由になったのに、どうして結婚することにしたのか? という疑問の答えは、子どもたちにかける迷惑を最小限にするためということにつきます。
離婚ができてほっとしたとき、娘から「彼氏でも作ったら?」と言われました。後から思えばこの頃、娘は結婚して家を出ることを決めていたのだと思います。程なく結婚し、関東へ行ってしまいました。
その後は息子と二人の生活が始まりました。あるとき息子が「結婚しても、母さんならここで一緒に生活できるよね」と言うので、娘のときを思い出し、息子に結婚したい人がいるのなら、迷惑をかけないように一刻も早くなんとかしなくては……と思ったのが始まりでした。
私自身の当初の計画では、古いマンションではありますが、経費のかからない自宅があるので、65歳まで働けばなんとか一人でも生活できそうだと思っていました。しかし、子どもたちにしたら、口には出しませんが、一人きりで生活させることに不安があったのだと思います。
50代での婚活とは?
婚活業者に登録すると、あっという間に申し込みがきました。そこでダメ元で、失礼とは思いながら距離、収入などでふるいをかけることにしました。収入を高くし、同県内にしましたら一度に人数が減ったので、その中でいいなと感じた5人ほどの方とお見合いしました。
今の夫には、その中で一番、誠実な人柄を感じました。お子さんはなく、奥様とは死別されて一人で生活しているのに、とてもきちんとしていて、息子や娘に会わせても「紳士だね」と評判がよかったです。
しばらくお付き合いし、入籍の話が出ました。そんな折りにがんがわかりましたが、話をしましたら、「そんなに情のない人間ではないです」と受け入れて下さいましたので、私たちの今があります。
終活婚の約束とは?
たった一つですが、夫との重要な約束があります。それは、必ず自分より長生きをして、死ぬ時には手を握っていて欲しい。葬儀では、「惜しい人を亡くしました」とひと言、言って欲しいということです。
私を選んだのは、子どもたちに会って、この子たちは母を見捨てず、最期のときにちゃんと手を握ってくれるから、安心して一人で遺していけるからとのことでした。
私を一人遺す際の心配ができるほどに遺されて寂しかったのだろう、一人で10年以上生きてきて、本当に寂しい日々だったのだろうと心が痛みました。この人と二人で一緒に楽しい老後を過ごしたいと思いましたので、手を握って見送る約束をしました。
というところで、次回は「壮大な計画……終活婚」(2)と題して、熟年者(高齢者)である私たちの結婚で大変だった引越しのことなどお伝えしたいと思っています。
■もっと知りたい■