通院中の人間ウォッチング

ポジティブな療養生活を目指して

公開日:2021.06.07

更新日:2021.06.02

乳がんの全摘手術から3年過ぎた あ・らかん です。手術前後、抗がん剤投与の通院などを振り返って、病院選びや主治医の事など、今感じている事をお伝えしようと思います。

生命保険の必要性とは?

前回、社会保険に助けられた事をお伝えしました。私の場合ですと個室を選ばず10日間で退院しましたので、入院・手術に関する医療費支払いは高額医療費の限度額と食費だけで済みました。

それよりもパジャマや術後の肌着、傷の保護テープなどの衛生用品、入院前後に必要な細々した物品が、思いのほか出費になりました。それでも最終的には、後日請求したわずかばかりの保険金で帳尻が合い、ほっと胸をなで下ろしました。

今は、通院保障や日帰り入院保障、女性向きのがん保険など民間保険が沢山ありますが、私自身は全くもって自分の健康に不安を感じておらず、またシングルで生活していくのにあまり余裕があるわけでもなかったため、若い時に入って自分で払っていた小さな保障を変えることもしませんでした。民間保険は日額3,000円×7日間の入院保険と日額1,500円の簡易保険しか加入していませんでした。

保険金を受け取ることは、何かの犠牲の上に成り立つものですから、うれしいことでも良いことでもないと思います。結果として、多額の保険金の民間保険に加入が必要だったかと問われれば、あれば助かるでしょうが、保険料の負担で健康な生活を営むうえの家計が行き詰まっても困りますから、ほどほどで良いのではと答えたいと思います。

生命保険の必要性とは?

通院中の人間ウォッチングの楽しさ

次に通院中・入院中に時間を持て余すことがないように楽しみにしていたことをお伝えします。通院先の病院は、外来棟が新築されたばかりでしたので、化学療法室の設備がとても使いやすくなっており、配慮が行き届いていました。また手術入院した病院は私立医科大学の付属病院で、最先端の機器と郵便局やATM・コンビニエンスストア・カフェ・レストラン・美容院などの施設が整えられていました。

施設がどれほど良くても、長時間・長期間通うわけですから、なんと言っても医療者、特に看護師さんとの関係が重要と感じています。

そこで、私は暇に任せて、人間ウォッチングをしました。看護師さんの動きや人数を見て、看護師さんのご機嫌を観察するのです。良いところ探しができると、相手に対する見方が変わり、人間関係が良くなります(人間ウォッチングは交通機関の中でも観察するだけなら簡単に出来ます。是非お試しください)。

忙しくてご機嫌悪そうだなと思う人を見つけて、帰りまでにその人の笑顔を見ようと決めた言動・行動を心掛けるのです。まるで修行のようですけれど、意外とやりがいがあります。うまく出来たときは楽しいですし、達成感を得られますのでお勧めします。ただ人を観るだけでなく、その行動の裏にある気持ちやその行動の意味を色々な面から考えると意外な事に気付いたりします。

下肢静脈留のあるらしい看護師さん(弾性ストッキングを履いて歩きにくそうでいらしゃったんです)立ち仕事がおつらいのでしょうね……その日は本当にご機嫌が悪そうでした。なかなか笑顔に出来なかったのですが、帰る際に「今日は日勤人数が少ないのに、患者が多くて大変でしたね。お疲れ様でした。ありがとうございました」とお声掛けすると満面の笑みを返して下さいました。

通院中の人間ウォッチングの楽しさ

高ケア社会と患者の立場

患者の立場はある意味、自分を人質にしている状況なので、言いたいことも言いにくいし、とかく遠慮がちになります。ケアされるのが普通なのでしょうが、それは特権でも何でもないです。患者だからといって要求ばかり、わがまま一杯では嫌われます。ケアを受ける側であっても、ケアをする側を癒やすことができると思います。現在は高ケア社会と言われていますが、社会は相互関係がなければ成り立ちませんよね。このような見方・感じ方ができたのも、余裕を持てたのも、心理学や精神保健を学ぶことで得たものであると感じています。

高ケア社会と患者の立場

病院選びの大切さと主治医との相性

この記事をご覧下さっている方の中には、今から病院選びをされる方もいらっしゃると思いますので、病院選びについて少しお伝えします。私の場合は、結果的には良い選択であったと思っていますが、手術と通院を別の病院にしたことで、通院先では「執刀先の病院で」と言われ、執刀先では「主治医に従って下さい」と言われることが多く、必要な検査や治療が行われているのか、忙しいので互いの病院に押しつけているのではと不安を感じることがしばしばありました。

何より、主治医との相性というのがとても大切だと感じました。私の主治医は、「今更、何を食べるなとか言われてもねぇ、困るでしょ。体力が必要だから食べられる時は、好きなものを食べて痩せないようにね」と笑っておっしゃる先生で(おかげさまでしっかり太り、自家組織移植が可能だったのですが(笑))「よけいな心配はしなくても大丈夫」と、いつも励まして下さいました。この主治医の「大丈夫」が、私にとってどれほど大きな力になったかは計り知れません。良い医師との出逢いがあったことに感謝しています。

また、病院選びには、体調が悪くても一人で通うことができる距離・交通の便が重要です。自家用車で30分でも、公共交通機関だと1時間半~2時間位かかり、階段の昇降なども大きな身体的負担になります。まして手足のしびれなどがあると、歩くだけでも健康な時の何倍も時間がかかります。私は、自宅近くではない病院を選んだため、一人で公共交通機関を利用して、抗がん剤投与のために通うことに大変な思いをしました。

出来れば避けたいことですが、長いお付き合いになるかもしれない病院ですので、主治医との相性も含め、熟慮しなくてはいけなかったかなと思うこともありました。

療養生活はつらいものですが、ポジティブに過ごせるよう、少し見方を変えて思わぬ発見をするという楽しみ方をお勧めしたいと思います。健康な時には見えなかったものが見え、気が付かなかったことに気付くことで、謙虚にもなり、人生がいろいろな意味で豊かになると感じています。

次回から、私が経験したDV離婚について、お伝えしたいと思っています。
 

■もっと知りたい■

あ・らかん

子どもの独立、大学入学、闘病生活など、波瀾万丈の人生ですが、残りの人生を悔いなく過ごしたいと思い、いろいろなことにチャレンジして、ポジティブに過ごしています。50代からの positive life。私のこの10年を振り返りながらお話したいです。

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