しばらく見ない間にこんなに変わっていました

漫画的ビフォー・アフター(前編)

公開日:2021/06/21

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「三日見ぬ間の桜かな……」ではありませんが、漫画家も長年活動していると、絵柄などが大幅に変わってしまう人がいます。子育てや仕事などに忙しく漫画から遠ざかっていて、久しぶりに目を通した人は、その変化に驚くかもしれません。

漫画的ビフォー・アフター(前編)

時は流れ、漫画家も変わる

50年以上漫画を読み続けていると、漫画家の変化を見るのも楽しみの一つになります。どんどんうまくなっていく作家、そうでない作家、絵柄やテーマが変わる作家などさまざまです。私は、ずっと読み続けている、絵が変わって読まなくなった、変わったから読み始めたという感じで今に至っております。

カワイイから強面(こわもて)へ

カワイイから強面(こわもて)へ
少女向けの作品『青空いっぱいのらくがき』 立原あゆみ
カワイイから強面(こわもて)へ
『本気(マジ)!』 立原あゆみ

カワイイ漫画を描いていた人が、こんなになってしまった! 立原あゆみ、何があったの!?

とびっくりしたら、作者は男性でした。少女雑誌で名前と絵を目にしたときから、女性だと思い込んでいた私が悪い。現在までこの路線で活躍しているので、本当に描きたかったのはこういうものだったのでしょうね。

白金本気(しろがね もとき 通称まじ)が、持ち前の男気と人情味で極道の世界を生き抜いて行きます。人の生き死にの厳しい話が多いのですが、難病の良家の女性との純愛エピソードもあります。東山紀之主演で映画化(1991年 東映)されているので、ご存知のかたもいらっしゃるかもしれませんね。

広告代理店からはるか昔の遣唐使の時代へ

広告代理店からはるか昔の遣唐使の時代へ
『サプリ』 おかざき真理

『サプリ』は広告代理店で働く女性の仕事と恋愛、友情などを描いたものです。博報堂出身の作者の経験が生かされており、多くの女性の共感を得て、今でも人気の高い作品です。2006年にドラマ化されました。

それが、空海と最澄、仏教界の二大天才のめぐり逢いを描くとは驚きです。

広告代理店からはるか昔の遣唐使の時代へ
『阿吽』 おかざき真理 最澄(左)と空海(右)

繊細でかっこいい絵を描く人だと思っていましたが、題材と掲載誌(青年誌)に合わせてか、力強い表現が加わっています。

以前からの作品のバックなどに描かれていた、植物と和柄をモチーフにした流れるようなイラストもパワーアップしています。蓮やマンダラなどの仏教的モチーフと相性がいいのでしょう。私はこのような絵だけでも、うっとりといつまでも眺めていられます。

読経の持つ力や、空海と最澄の精神の感応の場面など、絵だからこそ目に心に迫ってきます。歴史の教科書では、さらっと通り過ぎる空海と最澄です。

しかし、2人を取り巻く弟子の思いや、支配者・他宗派の僧侶のもくろみ、当時(平安時代)の民衆のつらい暮らしなどがからみあい、生き生きとした物語になっています。

ほかにもご紹介したい作品があるので、後編もお付き合いください。

 

今回の作品

  • 『青空いっぱいのらくがき』立原あゆみ 1979年 全3巻 秋田書店
  • 『本気(マジ)!』立原あゆみ 1986年~1996年 全50巻 秋田書店 2020年より新章連載開始
  • 『サプリ』おかざき真理 2003年~2009年 全10巻 番外編1巻 祥伝社
  • 『阿吽(あうん)』おかざき真理 2014年~2021年 既刊13巻 小学館 2021年6月に完結 最終巻は9月発売予定

 

■もっと知りたい■

K・やすな

漫画、アニメ、映画鑑賞、読書が趣味の自称「オタクな主婦」。子どものころは考古学者か漫画家志望。美術館めぐりや街歩きも好きだが、基本的に単独行動。なぜか、どこへ行っても道を尋ねられる。好きな花はカワラナデシコ。

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