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コロナ禍2年目の2021年、2度目の緊急事態宣言の下、ブライダル業界は大打撃を受けています。それでも、私はこの業界でがんばらなければならないと思う理由があります。MC・イルカが生まれたのは、ある方の支えがあったからです。
コロナ禍に翻弄されるブライダル業界
コロナ禍2年目となる2021年、2度目の緊急事態宣言を受け、ブライダル界はさらに大きな混乱が続いています。
これまでに、24万組の延期・キャンセルにおける8500億円の損失額のおかげで、結婚式場、プロデュース会社、業者すべてがコロナに翻弄されています。
ついに、その波が忍び寄ってきたのです。私が、25年お世話になってきた大恩人は会社を閉めることになりました。型通りの結婚式を、自分流のオリジナルウェディングスタイルへと導いたプロデュース会社のさきがけ、「婚礼界の母」とも呼ばれている方の会社です。残念でなりません。
美人でないと司会者になれない時代
つい先日、オリンピック関係者の女性蔑視発言が大きくニュースで報道されましたね。
私がブライダル司会者としてデビューした30年前は、女性蔑視・セクハラは当たり前でした。ブライダルの司会者は「ミス○○」など、肩書がある方がほとんどでした。要は、ブライダル司会者は美人だということです。
白のブラウスに黒のロングスカ-ト、ロングドレスが主流の時代に、会場キャプテン(結婚式を仕切る責任者)に、「おまえ、ドレス似合わね~な。なんでブスのおまえがプロになれるんだよ」と言われました。
30年前は、今ならセクハラで訴えられる言葉の数々を浴びていました。
あるとき、ひとりの女性が披露宴会場にやってきたのです。結婚式中の会場裏は戦争状態で、たくさんのスタッフや業者がバタバタ走り回っていました。その女性は堂々としていて、部外者だと思いましたが、忙しさの中で疑う暇もありませんでした。
披露宴が終わると、その女性は「これ、私の名刺! あとで連絡ちょうだい!」と、言って会場を出ていきました。
私は、誰だかわからず、「何か失敗したのでは?」と、心配がつのりました。そして、仕事をが終わり、急いで会場を後にして、連絡をいれたのでした。
これが、MC・イルカの産みの親となる女性社長との出会いでした。
MC・イルカの産みの親
当時の私は、まだ、型通りの結婚式しか知りませんでした。
「100組いたら、100通りの結婚式がある。つまり、司会者も、美人でドレスが似合う司会者だけじゃなく、お客様のニ-ズにあう司会者がいるべきなのよ。あなたのような個性的な司会者の時代が来るのよ」と、その女社長に言われたのです。正直、よく意味が理解できませんでしたが、とてもうれしかったことを今でも覚えています。
フォークシンガー「イルカ」さんにそっくりだから、名前は「MC・イルカ」。
ドレスが似合わないなら、イルカさんがタキシードを着て歌っているから、あなたもタキシードを着ればいい。
そんなふうにどんどんいろんなことが決まっていきました。
それ以来、テレビのお仕事、雑誌のお仕事、結婚情報誌のイベントの司会、初の一軒家での結婚式の司会など、たくさんの経験を積ませていただきました。司会だけではなく、全部を統括できるプロデューサーに育てていただいたのです。
自分で言うのはおこがましいですが、人気司会者といっていただき、3000組以上の結婚式を担当させていただけたのは、いち婚礼司会者の広井だった私を、「MC・イルカ」にプロデュースしていただいたからだと思っています。
今は、お世話になった方が事業を閉められるというと現実を受け止めることができません。
残された延期分宴席をしっかり務めさせていただくことしかできない私ですが、「私の分も、がんばってね!」と、言われた社長の言葉が耳に残っています。どんなにか悔しかったことでしょう。
無念を晴らすために、私は、この世界でもう少しがんばらなくてはいけないんだと、自分に言い聞かせています。
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