きれいな花には毒がある(ナガミヒナゲシ)
オレンジ色の花がたくさん咲いているけれど……

公開日:2024年05月26日

人生100年時代、ごきげんに暮らそう(5)

きれいな花には毒がある(ナガミヒナゲシ)

散歩の途中、道ばたにオレンジ色のポピーに似た花がたくさん咲いていました。子どもの頃には見かけなかった花です。思わず見入っていると、娘に「その花に触らないで」と止められました。なぜなのでしょうか。

その花に触ってはダメ

道ばたにオレンジ色のポピーに似た花がたくさん咲いています。

日曜日、娘と孫(5歳)と3人でのんびり散歩していました。抜けるような青い空、気持ちいい風が吹いています。

道路沿いに、オレンジ色の花がずうっと並んで咲いていて。

「きれいだなあ」と思わず手を伸ばしたところ、

「その花、毒があるから。触らないほうがいいよ」と娘に注意されました。

娘は孫(5歳)にも「触ったらダメだからね」と言い渡していました。

こんな可憐な花なのに、本当にそうなのでしょうか。

その花にさわってはダメ
よく見かける花ですが

素手で触るとかぶれることが

この花の名前は「ナガミヒナゲシ」といいます。素手で茎を触ると、手がかぶれることがあるのです。茎を折って中から出てくる液体が原因です。

小さなお子さんが触ったりお花が欲しくて茎を折ったりすると、手がはれるおそれが。

「触らないでね」と教えておくと良いです。毒性を持っているため、大人でもかぶれる場合があります。

日本の花ではない(地中海生まれ)

ナガミヒナゲシは日本の花ではありません。生まれはヨーロッパ地中海沿岸の外来植物です。

考えてみると、子どもの頃このような花はありませんでした。

1961年に東京都世田谷区で初めて発見されました。とても繁殖力が強く、たくさんの種をつけます。

『ナガミヒナゲシ1本から約15万個のタネができる』(日本経済新聞2010年5月17日)

「15万個?」

信じられない気持ちで、思わず咲き終わった後の実に触れてしまいました。ゴマよりも小さな種がさらさらと砂のようにこぼれ落ちました。たったひとつの実でこれですから、なるほど、1本で15万個になりそうです。

しかも、ナガミヒナゲシは「他の植物が育ちにくくなる物質を放出している」そうです。他の植物が成長できなくなるとは……。だから道路沿いがオレンジ色に染まってしまうのですね。

日本の花ではない(地中海生まれ)
花が咲いた後の実に、こまかい砂のような種がたくさん入っている

駆除を呼びかける自治体が増えている

寒い冬を越すことができ、どんどん増えるのでやっかいな外来植物です。

『他の植物の成長を妨げる物質を根から出すことから、生態系等に影響を与える』ため、駆除を呼びかける自治体が増えています。

気が付いたらナガミヒナゲシだらけで、日本生まれの植物は少なくなってしまう……などということになりかねません。

外来植物ナガミヒナゲシの駆除にご協力を(印西市ホームページ)
ナガミヒナゲシにご注意ください(川越市ホームページ)
ナガミヒナゲシを駆除しましょう(蕨市ホームページ)
外来植物「ナガミヒナゲシ」にご注意ください(碧南市ホームページ)

手袋をして根から抜き、燃えるゴミに出す

手袋をして根から抜き、燃えるゴミに出す
気が付くとナガミヒナゲシだらけ

駆除するときには、ナガミヒナゲシの植物毒にかぶれないように注意が必要です。また種が飛ばないように工夫しましょう。

一番効果的なのは、花が咲く前に抜いてしまうことです。

・手袋をする
・根から引き抜く
・種がこぼれないようビニール袋に密封
・燃えるゴミに出す

きれいだから……と迷っていると、日本生まれの植物や昆虫たちに大きな影響が出てしまいます。

さっそく庭を見てみると、隅にオレンジの花が咲いていました。手袋をしてゆっくりと根っこから抜きました。慎重にビニール袋に入れて口を閉じ、燃えるゴミの日に出して終了。

日本の生態系を守るために、外来植物「ナガミヒナゲシ」を少しずつ減らしていきます。

■もっと知りたい■

明るい弱虫あつこ
明るい弱虫あつこ

定年夫が継続雇用を更新せずに主夫になりました。私がフルタイムで働きはじめ、夫が家に。結婚32年目にして夫と妻の立場が逆転。家事をめぐる夫とのでこぼこした関係、母の介護やお墓の移転、ちょっと疲れる孫の面倒など「60代になって見えてきた風景」をつづります。noteを毎日更新中。性格は明るいけど弱虫です。

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