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- 父が認知症になりました
80代の父が、この夏、認知症を発症しました。それまで介護のことに無知だった私は、母とともに手探りで「認知症」という未知のものと向き合うことになりました。
“認知症”のイメージが変わりました
それまで私の中のイメージは「何を考えているのかわからない」「突然、予想外の動きをする」「いつも怒ったりして情緒不安定」というようなものでした。
しかし、実際に父とやり取りをしていると、認知症の人がいかにさまざまなことを考え、自分と闘い、自問自答しながら生きているか、をひしひしと感じています。
(あくまでも父の例なので、もちろんすべての方に当てはまるわけではありません)
この1か月で、父が放った言葉をいくつか書き留めておこうと思います。
「みんなに迷惑をかけて、でももうすぐそれも分からんようになるんだなぁ」
父がどのようなきっかけで「自分は認知症だ」と自覚したのか、今となってはわかりませんが、例えば歯みがきの仕方が分からなくなったり、布団の畳み方が分からなくなったりしたことを“認知”し、周りに迷惑をかけていると感じたのでしょう。
と同時に、迷惑をかけていると今は感じられているものの、近い将来はその感情もなくなってしまうのか……と不安に感じているのだと思います。
「なにぶん初めてのことだから、(対処)方法がわからん」
この言葉を父から聞き、はぁなるほど、と深く納得し、悲しくなりました。
風邪やケガと違い、人生で2回も3回も認知症になる人はいません。初めての経験にとにかく戸惑っていて、どうしていいのか分からないんだなと強く感じました。
それだけに、私たち家族(&介護者)が
どのようにその気持ちに寄り添ったらいいのか。
いったいどんな言葉が、本人の心を少しでも和らげるのか。
そもそも和らげようなんていう気持ちはおごりなのか。
まだ私にはわかりません。
「もうちょっとがんばってみたい」
生きていくのがつらいなぁ、この先どうなるのかなぁなどと弱気な発言が続いていたある日。
「もうちょっとがんばってみたい」という言葉を発します。ずっと悲観的な言動が続いていたので、この言葉を聞いたときはとても驚きました。
父の場合、発症が突然で進行が早く、本人も自分の症状についていけないのだと思います。
自暴自棄になってもおかしくないところに、自分を奮い立たせるような言葉が出てきたことは、近くで見ていて驚きましたし、同時に私まで晴れやかな気持ちになりました。
この先、少しずつ分からないことが増え、遅かれ早かれ私のことも分からなくなるでしょう。でもその時まで、娘として父の姿を見届け、私なりの“認知症の人の気持ち”を探っていきたいなと思います。
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