【前】内田有紀!千本ノックな撮影現場のサスペンス
2023.04.262023年05月06日
ドラマ「フィクサー」緊張感が続く現場から生まれた
【後】内田有紀!こだわりは捨てて進化し続けたい
ドラマ「フィクサー」に出演している内田有紀さん。新しい挑戦をし続ける内田さんに、お仕事への向き合い方や、リラックス方法、年齢を重ねることなどについて、インタビューしました。全2本の後編です。
フィクサーは緊張感が続く現場。唐沢寿明さんとは当初は雑談できず
――「フィクサー」は緊迫感が途切れない内容ですが、カメラが回っていない時などは、どのような雰囲気でしたか? 唐沢寿明さんとの共演エピソードも教えてください。
内田有紀
唐沢寿明さんも私も、すごくセリフが多いんです。カメラが回っていない時でも、お喋りするというよりは、作品に向き合う時間が長くて、役としてシーンを作る上での芝居の話をしていました。
Season2の撮影が始まってから、ようやく作品以外の話、「ジムに行ってるの?」といった雑談も話せるようになったかな。でもSeason1の頃はほとんど、「今日はここがちょっと正念場だよね」「逃げられないから生きて帰ろうね」みたいな緊迫感について共有していました(笑)。
――カメラが回っていなくても、緊張感が続く現場だったのですね。
内田有紀
役者が息をつけないくらいの現場の作品は、視聴者にとって楽しめる作品になる、というのが私の持論です。役者が自分をさらけ出せれば出せるほど、より視聴者を楽しませることができると思います。役者の想いは視聴者に伝わるので、緊張感のある現場ほど良い現場なんだなと思っています。今回もそういう想いで芝居をしています。
デビュー30年。変なこだわりは持たず、常に進化したい
――デビューされてから30年以上経ちましたが、演技のお仕事をする上でこだわり続けていることはありますか?
内田有紀
全くないです。こだわり続けるどころか、進化を求めて止まないです、私は。人によって考え方に違いがあると思いますが、私自身はこだわっていいものなんて一つもない気がしています。
携帯電話やタブレットなどのデバイスが時代ごとに変わっているように、セリフの中に組み込まれてくる言葉も、昔と全く変わってきているので、会話のテンポや芝居の空気感を、今の時代、今の感覚でどう捉えていくか、そういうものを常にアップデートしていかないといけないと思っています。
どれだけ簡単に早く手に入るものがあっても、人の気持ちや心など、大事なものや感動するものはきっと変わらないと思っているので、それを大切にしながら、芝居は昨日より今日、今日より明日とアップデートしていくことを考えています。
――常に新しい挑戦を続けているのですね。
内田有紀
挑戦を続けないと、いつまでも同じ自分でいることになるので、同じ姿しか視聴者にお見せできないから、常に頑張らないといけないなと思っています。
「チャーミング×真面目」って……最強!
――アップデートし続ける内田さんは、いつも輝いていて、多くの方が憧れていると思います。内田さんご自身は、どのような人に憧れますか?
内田有紀
年上のチャーミングな方には憧れを抱いています。お仕事をさせていただいて出会う、表に立つ方やスタッフの方で、仕事に真面目に取り組んでいる方々には基本的に憧れます。人として余裕があって、チャーミングで、尚且つ真面目って、最強な気がするんですよね。
この仕事をしていると、そういう方って溢れるようにいらっしゃいます。なので、そういう方を見つけたら、「この人、何でこんなに魅力があるのか知りたい!」と思って、積極的に話しかけちゃいます(笑)。できれば、その魅力を盗みたいと思うくらい、そういう方が大好きで憧れます。
――内田さんが正にそういう方だと思います!
内田有紀
いえいえ(照れ笑い)、自然にフラットに年を重ねていけるように、日々、丁寧に生きることを心掛けていらっしゃる素敵な先輩方を見習って、これからも勉強していきたいと思います。
実は私は「ガチキャンパー」。自然の中でストレス解消
――役者業は体力勝負だと思いますが、最近気に入っている健康法や、リラックスするためのストレス解消法を教えてください。
内田有紀
私は、海や山に行って自然を楽しむことが好きで、浜辺にテントを張ってセリフを覚えたりしていたんですが、それが発展してキャンプが好きになったんですね。寒い時期は外だとちょっと厳しいので、今はデイキャンプに変えています。
絶景を見ながらキャンプして、おいしいものを作って食べることが、一番の癒しですね。暖かい時期は、自然の中で1泊して過ごします。日が暮れてから朝になって、というのを体が感じると、「時間どおりに必ずしなければいけない」ということから解放されるんです。たった1日でも、それができるといいですし、テントを張る作業をするだけでも、自分の中のリセットになるんですよね。
実は、結構なガチキャンパーなんですよ、私(笑)。体を使っているから、いい運動にもなって、それが健康法にもなっていると思います。
体の老化は当たり前!年齢を重ねることにポジティブ
――10代から活躍している内田さんですが、年齢を重ねることで変化を感じることはありますか?
内田有紀
いっぱいあります。寝跡が取れなくて、撮影の時に困ったりとか、小さい文字が読めなくなってきたりとか、当たり前のようにそういった現象は感じているんですが、私は年を重ねることに対して前向きで、20代の時は早く40代になりたかったし、40代の今は60代が楽しみです。年を取ることで、悪いことが起きると思っていないんですね。
――素敵な考え方ですね! 輝き続けている内田さんから読者に向けて、元気に楽しく生きるためのアドバイスやエールをお願いできますでしょうか。
内田有紀
体が老いていくのは仕方がないし、全員一緒じゃないですか。今、若い子たちもいつかは老けますから。私もそう言われてきましたが、あまりそこに執着していないんです。私は老いることに対して、多分鈍感なんだと思います。
自分が老けることに対して、あまりアンテナを立てていない方が幸せだと思うんです。寝跡が取れていなくても、「別にどうでもいいじゃない。だって年取っているんだから」と思うことが、私の一番の健康法かもしれないです(笑)。
人生には楽しいことがいっぱいあります。視点を変えて、ぜひ老いることに鈍感になりましょう!
【前編記事を読む】
内田有紀(うちだ・ゆき)
1975年、東京都生まれ。ドラマ「その時、ハートは盗まれた」(92)で俳優デビュー。「時をかける少女」(94)でドラマ初主演。2000年、「北区つかこうへい劇団」に入団。「蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く」(00)などに出演。近年の出演作は、「ディア・ペイシェント~絆のカルテ~」(20)、「華麗なる一族」(21)、「未来への10カウント」(22)など。
「連続ドラマW フィクサー Season1」
Season1:4月23日(日)、WOWOWプライム/WOWOW 4K/WOWOWオンデマンドにて放送・配信スタート
毎週日曜午後10:00
※第1話無料放送(全5話)
出演:唐沢寿明
藤木直人 町田啓太 小泉孝太郎 要潤 吉川愛 斉藤由貴 駿河太郎/ 西田敏行(特別出演) / 永島敏行 富田靖子 陣内孝則 内田有紀 小林薫
脚本:井上由美子
企画・プロデュース:青木泰憲
監督:西浦正記
音楽:得田真裕
プロデューサー:村松亜樹 髙田良平 黒沢淳
制作協力:リオネス
製作著作:WOWOW
取材・文=清水久美子 編集=鳥居史(ハルメクWEB)