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- 【前】内田有紀!千本ノックな撮影現場のサスペンス
俳優・内田有紀さんが報道キャスター役で出演する、政財界の権力者を動かすフィクサーを題材にした、唐沢寿明さん主演のドラマ「フィクサー」。人間味溢れる魅力的なキャラクターを演じている内田さんに、作品の見どころや撮影裏話などを前後編で伺いました。
日本を動かすのは、総理か黒幕か?本格サスペンスドラマ「フィクサー」に注目
WOWOWの「連続ドラマW」枠で放送される「フィクサー」は、「白い巨塔」や「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」など数々のヒット作を生み出し、2020年秋の紫綬褒章を受章した脚本家の井上由美子さんが、“フィクサー”を題材に描く、3Seasonにわたる大型シリーズ。
総理大臣を乗せた車が事故に遭い、死亡した運転手には飲酒運転の疑惑が生じる中、ある新薬の認可をめぐる密約スキャンダルと事故との関係性が浮上。内田さんが演じるキャスターの沢村玲子は、総理の事故に関して、唐沢さんが演じる設楽拳一と情報交換をしますが、徐々に彼女の過去が明らかになっていきます。
ポーカーフェイスながら向上心と野心あふれるキャスターを熱演
――「フィクサー」は、主人公の設楽をはじめ、善人なのか悪人なのか判断がしにくい登場人物が多いですが、内田さんが演じている沢村玲子は真っ直ぐに真実に迫っていくキャラクターですよね。内田さんが思う玲子の一番の魅力はどこでしょうか?
内田有紀さん(以下、内田有紀)
向上心と野心が魅力ですね。玲子は強くあろうとしていますが、女性としての、どうしても抗えない“性”と言いますか、その部分を隠し切れていない、未完成な部分も魅力かなと思います。
完璧ではないけれど、強い意思と向上心でチャレンジし、「トップに上り詰めたい」「キャスターとしてみんなに認めてもらいたい」と思いつつ、人間としての弱い部分や女性の性も持ち合わせている、とても人間味のあるキャラクターです。そういったところに特に魅力を感じます。
――玲子の過去は徐々に明かされていきますが、その過去も含め、玲子を演じる上で、気を配った点、工夫している点を教えてください。
内田有紀
工夫している点は、物語の最初の方では明かされない玲子の裏の顔を、監督の西浦(正記)さんと相談しながら、微妙に見せたり、隠したりしていることですね。ニュースキャスターという仕事柄、正面を切って生きている人間が、実は持っている裏の部分を見せる微妙なラインに気を配っています。
ポーカーフェイスを装うんですけど、どうしてもそこに滲み出てしまう隠しているものを、芝居の中で出せるように調節しながら演じています。後から最初の方を見返した時に、「彼女の言動に何か少し裏があったんだな」ということが分かるように、そう見えるような芝居を心掛けています。
――「フィクサー」はSeason3まで作られるということですが、玲子はずっと登場しますよね?
内田有紀
はい、登場します。現在は、Season3までほぼ撮り終えたところです。
まるで千本ノック!?撮影初日にニュースシーンを16時間まとめ撮り
――Season1で特に思い入れのあるシーンは?
内田有紀
実はこのドラマの撮影の初日に、私がニュースを読むシーンを一気に全部撮ったんです。
スケジュール表のキャスト欄で、出番のある人に付く丸印が、私の名前にしか付いていなくて、プレッシャーが半端なかったです。わんこそばのように途切れなく撮影が続き、もうこれは全てを出し切るしかないと覚悟を決めました。
ニュースキャスターはオンエア中のコメントには制限があり、自分の意見は極力言わないというニュースシーンなんですが、どうしても感情が溢れてしまうということが何話目かに出てきました。
撮影初日ということもあり、沢村玲子という人物をまだ掴み切れていない部分がある中で、彼女の溢れ出る感情を演じなければならなかったので、必死に食らいついて臨みました。でもそのおかげで、初日に沢村玲子という人物を自分の中に取り入れることができました。
――まだ、ほかのキャストと共演する前に、ニュースを伝えるシーンを撮る中で、玲子になっていったのですね。
内田有紀
はい。彼女が秘めておきたい感情を、かき乱されるようなニュースシーンもあります。そういうことも踏まえて芝居をさせていただいたので、玲子の芯に触れることができました。なので、とても思い入れがあります。
――先ほどおっしゃったように、とても人間味のあるキャラクターという部分を、本来は表に出さないニュースキャスターという職業に滲ませているのですね。
内田有紀
そうですね。そこを楽しみにして見ていただけたらと思います。また、ニュースシーンは実際にどこかのテレビ局で放送していると錯覚するくらい、監督や美術スタッフをはじめとする方々の手腕によって、クオリティが非常に高く仕上がっています。とてもリアルなのでぜひ注目してほしいです。
人間の表と裏が上手に描かれている見ごたえがあるドラマ
――では、読者に向けて、「フィクサー」の見どころを教えてください。
内田有紀
「フィクサー」の脚本は本当に面白くて、こんなにも前のめりに気持ちが運べたことに幸せを感じています。人間の表と裏、華やかな部分と醜い部分が上手に描かれているので、リアリティも兼ねていると思います。
人って、綺麗で清らかなものだけが好きなわけではないじゃないですか。その裏にある、心のおりみたいなものが描かれていることに、私はとても魅力を感じます。その魅力的な脚本を、私たちキャストが全力で演じているので、ぜひ楽しんでご覧ください!
【後編記事を読む】
内田有紀(うちだ・ゆき)プロフィール
1975年、東京都生まれ。ドラマ「その時、ハートは盗まれた」(92)で俳優デビュー。「時をかける少女」(94)でドラマ初主演。2000年、「北区つかこうへい劇団」に入団。「蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く」(00)などに出演。近年の出演作は、「ディア・ペイシェント~絆のカルテ~」(20)、「華麗なる一族」(21)、「未来への10カウント」(22)など。
「連続ドラマW フォクサー Season1」
Season1:4月23日(日)、WOWOWプライム/WOWOW 4K/WOWOWオンデマンドにて放送・配信スタート
毎週日曜午後10:00
※第1話無料放送(全5話)
出演:唐沢寿明 藤木直人 町田啓太 小泉孝太郎 内田有紀
唐沢寿明
藤木直人 町田啓太 小泉孝太郎 / 西田敏行(特別出演) / 内田有紀 小林薫
脚本:井上由美子
製作著作:WOWOW
取材・文=清水久美子 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
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