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2022.07.252021年10月29日
お茶文化を次世代に残すために・2
日本茶の未来を守れ!鹿児島・若手茶農家のチャレンジ
毎日何気なく飲んでいるお茶ですが、実は今、茶農家さんが減少していることをご存じでしょうか? 今回は、お茶の文化を次世代に残すための取り組みについて、鹿児島堀口製茶有限会社・代表取締役副社長の堀口大輔さんにお話を伺いました。
日本では茶農家&茶園面積が減少傾向
現在、日本ではペットボトルの緑茶飲料の普及や家時間の増加により、茶葉の需要が増え続けています。その一方で、生産者の高齢化や後継者不足により、茶農家が減り続けているのが現状です。
同時に、地域によっては作付けされずに放置されている土地・耕作放棄地の増加が深刻な問題になっています。このような茶業を取り巻く多くの問題を解決し、次の世代に茶文化を残していくために、さまざまな取り組みが行われています。
例えば、お茶のリーディングカンパニー・伊藤園では、茶産地育成事業の取り組みとして、各地の茶農家から茶葉を全量買い取りする“契約栽培”と、良質な茶葉を安定的に栽培するために、茶農家や行政と協力して、耕作放棄地などを活用して新たに茶園を造成する「新産地事業」を実施しています。
また、鹿児島県の大隅地区では、地域の茶農家の後継者の会「若葉会」で、若手茶農家さんが中心となり茶業を未来につなぐ活動をされています。茶産地育成事業に参加する茶農家さんも多くいらっしゃいます。
今回はその活動について若葉会会長で「鹿児島堀口製茶有限会社」代表取締役副社長の堀口大輔さんにお話を伺いました。
地域のため・社会のために、次世代を育てる活動を!
若葉会が設立されたのは、今から約50年前。現会長の父・堀口泰久さんが、これからの地元・有明町(現・志布志市有明町)のお茶の発展を目指して地域として取り組むため、茶農家の若手後継者に声をかけ、有志が集まり始まりました。
もともとこの地域はお茶の専業農家が多く、後継者に若手が多いのが特徴でした。その活動は現会長の堀口大輔さんに引き継がれ、現在も地元にある茶工場の後継者を中心としたメンバーでさまざまな取り組みを行っているそう。
具体的にはどのような活動をされているのでしょうか。
「自分たちのお茶の勉強会はもちろん、ボランティアで地元地域の小学校でお茶入れ教室を開催したり、地域のイベントでお茶を振る舞うなど、地元の人たちにお茶とふれあう機会を持ってもらえるような活動をしています」
「その他にも、お茶の新製品開発など、幅広い活動を精力的に行っています。これまで茶農家それぞれが門外不出としていた茶栽培、製茶技術を若い世代で共有することで、茶産地全体の技術向上、競争力強化なども図っています」
一農家の利益のためではなく、地域のため・社会のために、次世代を育てる活動を進めている様子が伝わってきます。
小学生にお茶の魅力を伝える「お茶入れ教室」の活動も
これらの活動の中でも長年行っているのが、お茶を通じた地元の小学生たちとの交流です。
「長年にわたり、お茶入れ教室に取り組ませていただいてきたので、地元の子どもたちには急須で入れるお茶の文化に親しんでもらえていると思います。また社会科見学として、お茶工場に来る回数も増えています。これらの活動で、地元の、そして日本の茶業を次世代につなぐ役割の一端を担っていければと思っています」
最後に、若葉会の活動の今後の展望についても伺いました。
「若葉会として、地元の産業であるお茶をより地域に根ざしたものにしていきつつ、世界中の人々に日本茶の魅力を楽しんでもらいたいと思います。その一つとして、ご当地キャラである『鋼のメンタル晃』をもっと多くの人に知ってもらう活動など、志布志のお茶の広報活動にも力を入れていきたいと考えています」
お茶文化を残すために大切なこと=お茶を飲むこと
今回ご紹介した活動だけでなく、茶農家や行政、伊藤園の茶産地育成事業など、さまざまな人が協力しながら、お茶文化を次世代に残す活動が全国で進められています。
そして、私たち消費者も、自宅でお茶を入れて飲んだり緑茶飲料を購入したりすることで、こういった茶農家さんたちの活動を応援することができます。
少しずつ肌寒くなるこれからの季節。茶葉からに出した温かいお茶を飲んで、茶農家さんを応援しましょう。
お話を伺ったのは:堀口大輔さん(鹿児島堀口製茶有限会社・代表取締役副社長)
鹿児島県大隅半島で茶農場、製茶工場、販売店を営む。時代とともに変化するニーズに応じて、新しい事に積極的に取り組み、化学農薬に頼らない先進的な栽培方法により、茶業界で注目を集めている。
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取材協力:伊藤園