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更新日:2022年12月19日 公開日:2021年04月06日
平野レミさんの料理をおいしくする秘訣(3)
シャンソン歌手であり、料理愛好家の平野レミさん。新刊のエッセイ集『家族の味』(ポプラ社刊)では、料理の腕を磨いた経緯や料理の魅力を語っています。その中から料理をおいしくする秘訣を抜粋してお届け。今回は、家庭でステーキをおいしく焼くコツです。
やりながら自分で発見して覚えていったことも多いけど、お母さんから教えられたこともたくさんあります。
私が小さい頃、カレーをよく作ってくれて、あの頃は固形ルーなんかないので、力レー粉を鍋で炒めて作るの。私がおなかすかせて「早くして早くして」って言うと、「だめ、ちょっと待ってなさい」「どうして?」「粉臭さがなくなるように、よ一く炒めないとだめなのよ」なんて言われながら学んでました。さっき母の料理を「安く、手早く、おいしく」と言ったけど、手早いだけじゃだめだってことも教えられたわけ。
うちのお母さんはステーキを焼くのが上手で、天下一品でした。お父さんが詩の会をやっていて、半年に一度、メンバーが三十人くらい集まる日があるんだけど、その人たちに出すステーキを一枚一枚焼くの。その日だけは特別で、「安く、手早く、おいしく」がモットーのお母さんも「おいしく」だけに絞っちゃうのよ。
「どうして片面だけ塩胡椒するの?」って聞いたら、「塩胡椒してない面を先に焼くと、肉が片面きれいな状態でいられるから」って言ってました。お母さんは一枚焼くたびに銅のフライパンをていねいに洗ってたけど、それは次に焼く肉の片面をきれいな状能にするためだったのね。
三十人分、一回一回フライパンを洗うって大変よ。でもお母さんは「めんどくさい」って言ったことは一度もありませんでした。これもお料理と、お客さんと、お父さんに対する愛情だったんだなあ、と思います。
母のステーキが評判になって、お客さんが奥さんを連れてくるようになっちゃった。「平野先生の奥さんのステーキを勉強しなさい」って。
私の子どもがちょっと大きくなった頃、「今日はステーキ」って言うと、「ば一ばんのステーキがいい」って子どもたちが言うの。子どももあのおいしさがわかってたみたい。
母が言ってたのは「肉は常温」「必ず一枚ずつ」だったけど、四人家族の私はフライパンに四枚ギューギューに入れちゃう。すると母に「それだとフライパンの温度が下がって肉汁が出ちゃうからだめよ」って言われます。
これはせっかく熱したフライパンが、四枚も一度に肉を入れると、熱を四倍取られて早く冷める。肉の表面を素早くジュッと焦がすと、表面がコーティングされて肉汁が出るのを防ぐのに、それができなくなるからだめ、という意味です。
そういうことはわかってたんだけど、私が四人家族になった頃は、もう料理の仕事で結構忙しくなっていましたから、みんなで一緒に食べたい、という気持ちの方が強かったんですね。
私のお父さんのお父さん、つまり私のおじいさんはアメリカ人です。明治時代に日本に来て、日本女性と結婚しました。だから私のお父さんは日米のハーフです。うちでは和服を着て、和紙と墨を使って書画を描いていることが多かったけど、外国のものも大好きでね、コーヒーは毎朝自分で豆から挽いていれていたし、ガリガリ胡椒も昔から使ってた。
おいしいものが好きで、私をあっちこっちに連れてって、いろんなものを食べさせてくれたの。上野のアメ横に行って、アメリカのアイスクリーマーや珍しい缶詰を買ったりね。
味にうるさいお父さんだったから、お母さんも頑張ってお料理をしたんでしょうね。
ひらの・れみ
料理愛好家。“シェフ料理”ではなく、“シュフ料理”をモットーに、テレビ、雑誌などで活躍。講演会、特産物を使った料理で全国の村おこしなどにも参加し好評を得ている。また、レミパンなどキッチン用品の開発も手がける。新刊『家族の味』(ポプラ社刊)では、夫の和田誠さんを偲ぶ心境もつづられています。
http://www.remmy.jp
※この記事は、平野レミ著『家族の味』(ポプラ社刊)の一部を抜粋し掲載しています。
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