明るく飾らない生き方の原点とは?

研ナオコ72歳・大きなお世話は大歓迎!やらない後悔よりずっといい

研ナオコ72歳・大きなお世話は大歓迎!やらない後悔よりずっといい

公開日:2025年12月25日

研ナオコ72歳・大きなお世話は大歓迎!やらない後悔よりずっといい

70歳を超えYou Tubeの動画配信やスキューバダイビングなど新たなチャレンジを重ねている研ナオコさん。明るく飾らない研さんの生き方の原点とは?

研ナオコさんのプロフィール

けん・なおこ。1953(昭和28)年生まれ。静岡県出身。71年「大都会のやさぐれ女」で歌手デビュー。75年「愚図」でFNS歌謡祭・優秀歌謡音楽賞受賞。その後も「あばよ」「かもめはかもめ」「夏をあきらめて」「泣かせて」など数々のヒット曲を世に送り出す。歌手活動以外にもCMやバラエティー番組で幅広く活躍。

困っている人を見て見ぬふりはできない。父譲りかな

困っている人を見て見ぬふりはできない。父譲りかな

私ね、何かにつけて見て見ぬふりができないの。子どもの頃から誰かがいじわるされていたり、困っていたりすると、すぐに助けに行くタイプ。それは父親の影響ですね。父は困っている人を放っておけず、母から「そこまでやらなくても」と言われても、「いや、困っているんだから助けなきゃだめだ」っていう人でしたから。

あれは私が小学生の頃。家族で親戚の家に車で行った帰り道、広い道路の反対車線でバイクが人をはねる瞬間を家族全員で目撃しちゃったんです。

父はすぐに車を停めて「俺、行ってくる」と走っていきました。ひかれた人を助けなきゃいけないし、ひいた人も逃げないように捕まえておかなくちゃいけないから、近くのお店に応援を求めて、必死でしたね。

そういう父をずっと見てきたから、私も何かあるとすぐに体が動く。20代の頃、車を運転していて通りにおばあさんが倒れていたことがあったんです。すぐ車から降りて「大丈夫ですか」と声を掛けても返事がない。近くのお店に「助けて!」と大声で伝え救急車を呼んでもらいました。

通りを行き交う人は誰も立ち止まらず、よく見て見ぬふりができるなあって。もし倒れているのが自分だったら助けてほしいと思うでしょう。

そんなこんなで私はいつも後先考えずに動くので、うちのダンナから「人の面倒を見るのもいいけど、時には大きなお世話になることもあるんだよ」って言われて。そうか、じゃあ大きなお世話になってやろうと思いました(笑)。やらないで後悔するよりもずっといいですから。

相手が自分を忘れても「自分がちゃんと覚えておくこと」が大事

相手が自分を忘れても「自分がちゃんと覚えておくこと」が大事

2025年5月に公開した映画「うぉっしゅ」では、私は認知症のおばあちゃんを演じました。

みんな認知症になりたくないと言うけど、いつ自分の身に起こるかわからないんだから、他人事にしちゃいけない。もし近所の方で“あれ?”と思ったら、気付いて見守ってあげたり、ご家族に「何かあったら言ってね」と話したりすることもすごく大事だと思います。

映画の中で私が演じるおばあちゃんは孫のことも覚えていないの。印象的なのは、何年も会ってないのに突然介護することになった孫が、知人から「おばあちゃんが忘れたんじゃない。忘れられてしまっていたから、忘れてしまったんですよ」と言われるシーン。

相手が自分を忘れてしまっても、たとえ亡くなったとしても、自分がちゃんと覚えておくことが大事なんですよね。うちは私の親もダンナの親も亡くなってますが、会話の中にしょっちゅう出てくるの。そうやって笑いながら話すことが一番の供養かなと思ったりします。

親が生きているときは時々顔を見にいって「元気そうね」なんて会話はしたけど、もっと一緒にいてわがままを聞いてあげればよかったという後悔はありますね。親は子どもに迷惑をかけまいと気を遣うんですよ。

でもね、一生懸命子育てしたんだから迷惑をかけていいんです。子どもに後悔させないように、どうか面倒をかけてやってください。いずれ私は子どもたちに「おいていくなー!」ってしがみつくつもりです(笑)

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)、撮影=中西裕人、ヘアメイク=堀ちほ

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年5月号を再編集しています。

HALMEK up編集部
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