003:有賀薫さん(60歳)

受験生の息子に作り続けた朝食がきっかけで主婦兼ライター→50歳で「スープ作家」に

受験生の息子に作り続けた朝食がきっかけで主婦兼ライター→50歳で「スープ作家」に

更新日:2025年02月19日

公開日:2024年12月16日

50代以上の女性に寄り添う
記事・動画が盛りだくさん!

わたしリスタート有賀薫さん

50代から新しい一歩を踏み出して、第二の人生を歩み始めた人たちを追う「わたしリスタート」。40代まで家事と子育て優先。50代、料理家修行ゼロで「スープ作家」というスタイルにライフシフトした有賀薫さん。自分を表現する仕事の作り方とは?

************

あなたの“リスタートのヒント”が、きっと見つかるはず。
 → 他のエピソードも読む!(毎月更新)

************

有賀薫さんのリスタート・ストーリー

おもちゃ会社勤務を経て、結婚後は子育てや家庭と仕事の両立のため、フリーライターに。さまざま媒体で執筆するかたわら、2011年から受験生の息子のために、朝食にスープを作り始めた有賀薫さん。

SNSに投稿をはじめ、2013年、毎朝作り続けた365日分のスープ写真を展示した『スープ・カレンダー展』を開き、話題に。50歳で「スープ作家」としての活動が始まった。

スープを作り続けて10年、その日数は3500日以上。素材を生かしたシンプルレシピはSNSでも人気を集め、料理レシピ本大賞料理部門で入賞した『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社刊)をはじめ、たくさんの料理本を出版。

最新刊「おうちごはんは日々のくりかえし。」(KADOKAWA刊)ではスープ以外のレシピ本にも挑戦した。

主婦の仕事を軸足に自分の色を消していたライター業から、自分らしい表現と生き方で活躍の場を広げ続けている。

朝、受験生の息子を起こした「1杯のスープ」

朝、受験生の息子を起こした「1杯のスープ」
ファーストスープは、マッシュルームのスープ(有賀さんのインスタグラム@arigakaoruより)

――今の仕事につながる、最初のきっかけは?

息子の朝食のために始めた、スープづくりです。

当時、息子は高校3年生で受験勉強、真っただ中。でも、朝が苦手でなかなか起きられないのが、悩みのタネだったんですね。 

クリスマスの翌朝、前の晩に使い残していたマッシュルームがあったので、それでスープを作ってみたら、とってもおいしくできて。息子に「食べる?」と聞いたら、ムクっと起きてきたんです。「これぞ、スープマジック!」と驚いて、以来、毎朝作るようになりました。と同時に、SNSでスープの写真を投稿し始めました。

受験の日までは作り続けようと思っていたら、なんと浪人することになり(笑)、その後もしばらく続けることにしたんです。そのうちに、SNSの発信を楽しみに見てくれている人が増えていって、「スープ作りをしている人」として認知されるようになりました。

50歳からは、自分を表現する仕事をしたい

――今までの経験で役立ったスキルはありますか?

これまでのライターの仕事。

仕事より子育てや家事に軸足を置いていたので、ライター業はあくまでも自分の能力や時間の範囲内で、と制限していたんです。自分の色は表に出さず、クライアントの意向を汲んで取り組んでいました。それでも、ライターとして20年以上、文章を書いてきた経験は力にも自信にもなりました。

39歳のときから絵画教室に通って本格的に学んできた絵を描くことも大きかった。そのときは何につながるかわからなかったけれど、今振り返るとやってきたことすべてが、写真の美しい撮り方や文章での伝え方……SNSや今の仕事に生きている気がします。

イベントや書籍にあるイラストも有賀さんが自身で手掛ける。ペンは「シグノ」のボールペンがお気に入り

――「チャレンジするなら今だ」と思ったタイミングは?

私自身、「チャレンジしている」という感覚はまったくなくて。やりたいことにちょっとずつ足を踏み入れてみたら、ずぶずぶと深みにはまっていった感じなんですよね(笑)

1年間365日、スープを作り続けてSNSに投稿しているうちに写真が溜まったので、展覧会『スープ・カレンダー展』を開催しました。すると、300人もの人が来場してくれて。やる気がわいてきて、友人から「スープ作家」と名乗ったら?というアドバイスもあり、名刺を作って名乗り始めました。

ただ、料理の仕事は、下積みが必要なイメージが強かったので、50歳になった自分が...

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。