日本の税金は約50種類!?何がある?使い道は?
2020.01.242022年01月24日
中古販売をしたときの税金の仕組みを解説
メルカリの売上は確定申告が必要?必要なケースを解説
不要になった洋服やアクセサリーなどの日用品を、今はメルカリやヤフオクなどで簡単に売ることができます。ところで、お小遣い稼ぎで、出品を繰り返していませんか。場合によっては、確定申告が必要になることがあるんです。
メルカリの売上は確定申告が必要ですか?
洋服や生活用品等の不要品を売却した収入は、所得税の課されない譲渡所得となるため基本的に課税されません(1点30万円以上の貴金属、美術品等の売買による所得は所得税の課税対象となります)。
また、所得税の課税対象となる譲渡所得が生じた場合には、所得税(国税)の確定申告が必要になることがあります。
•給与所得がある方:20万円以上の利益(所得)が生じた場合
•給与所得がない方:38万円以上の利益(所得)が生じた場合なお、所得税(国税)の確定申告が必要でない場合でも、給与所得に加えて給与所得以外の所得(所得税の課税対象となる譲渡所得等)があった方等、住民税(地方税)について所得の申告が必要になることがあります。
メルカリの公式ホームページのガイドには、以上のように記載されています。
しかし、読んでみて「結局、申告した方がいいの?」「しなくて大丈夫なの?」と悩むところがあります。そこで、もう少しわかりやすく説明していきたいと思います。
メルカリの売り上げには原則、所得税はかかりません
「所得税法」では私たちが、日常使用している衣服、雑貨、家電、家具などは、生活に通常必要「あるもの」と「ないもの」の2つに分けることができます。
ただし、「生活に通常必要な動産(不動産以外の財産)」でも、1個または1組の売却代金が30万円を超える貴金属等の場合は、別の取り扱いをします。
下記をご覧ください。これは、生活で使っているもの(動産)を売った場合に所得税がかかる(課税)かどうかを示したものです。
- 非課税:【生活に通常必要な動産(不動産以外の財産)】衣服、家具、家電、貴金属、自動車
- 課税(譲渡所得):【生活に通常必要な動産(不動産以外の財産)】にあたる貴金属や書画骨董品で、1個または1組の価額が30万円を超えるもの
- 課税(譲渡所得):【生活に通常必要でないもの】スポーツカー、高級ブランド品、高額な楽器など趣味や娯楽性が強いもの
(1)の衣類や雑貨などの生活用動産を売却する場合は、「非課税」となり所得税はかかりません。
しかし(2)の「1個または1組の売却代金が30万円を超える貴金属、書画骨董品等」を売って譲渡したとき、または(3)の【生活に必要でないもの】に当たる、スポーツカーや高級ブランド品といった趣味や娯楽性の高い高額なものは、「譲渡所得」として所得税の対象となります。
所得税がかかる譲渡所得の計算方法
「譲渡所得」は、以下のように求めます。
短期譲渡所得=(A収入金額)-(B取得費+C譲渡費用)-D特別控除額
長期譲渡所得={(A収入金額)-(B取得費+C譲渡費用)-D特別控除額)}× 1/2
A 総収入金額=メルカリでの売却代金の総額
B 取得費=売却した物の購入費用など
C 譲渡費用=メルカリで売却するためにかかった費用(郵送料など)
D 特別控除額は50万円を限度とします。
なお、短期譲渡とは、売却した物の保有期間が5年以下の場合、長期譲渡所得とは保有期間が5年超をいいます。また、特別控除額として最大50万円が引けるため、利益が50万円以下の場合には、所得税がかからないことになります。
何回もメルカリで販売をしている場合はどうなるの?
しかし、上記の表は、一時的に売却した場合の課税関係です。
「一時的」とは、1回や2回など、たまたま不要となったものを売った場合です。本当に、使わなくなった生活用品を売ったときまで、所得税をかける必要はないわけです。
では、何回も継続的に売っていた場合には、どうなるのでしょうか。このような場合には、儲けるつもり(営利目的)で売却しているとみなされ、「事業所得」または「雑所得」として所得税がかかります。なお、生活に通常必要でない高額な動産も継続的に売却していると、「事業所得」または「雑所得」となります。
この他、何度も手作りのアクセサリーや雑貨を売却している場合にも、同様です。
それでは、「事業所得」または「雑所得」のどちらになるかと言うと、ほとんどは「雑所得」に該当します。
「事業所得」に該当するためには、いろいろと定義があります。目安になるのは、その利益(所得)だけで生活できる場合、本業のように力を入れている場合に「事業所得」になると考えてください。単に、片手間で行っているときは「雑所得」になるでしょう。
「事業所得」と「雑所得」の計算方法
また、「事業所得」と「雑所得」は、以下のとおり計算します。
事業所得=収入金額-必要経費-青色申告特別控除額(青色申告の場合)
雑所得 =収入金額-必要経費
必要経費とは、取得費と譲渡費用を合計した金額と考えてください。また、事業所得で青色申告を選択している場合には、10万円または65万円(令和2年度から55万円になる場合あり)を控除することができます。65万円を控除するためには、一定の要件が必要となります。
必ず確定申告する必要はありません
では、「譲渡所得」「事業所得」「雑所得」になった場合、確定申告が必要かというとそうではありません。以下の場合は、確定申告が必要な場合と考えられます。
- 会社員、パートなどお給料がある人で、20万円を超える事業所得、雑所得、譲渡所得等がある場合
- 専業主婦などお給料がない人で、38万円(令和2年度分からは48万円)を超える事業所得、雑所得、譲渡所得等がある場合
つまり、利益が上記の金額を出なかった場合には、わざわざ確定申告する必要はないわけです。
ただ、「給与所得がある人で、20万円超える利益(所得)が生じた場合」と記載していましたが、他の所得が20万円以下でも、申告しなくてはいけない場合もあります。
よく「給与所得(退職所得)以外の所得が20万円以下の場合は、申告する必要はない」など言われていますが、これには罠があります。
正確に説明すると「確定申告をしない人で、給与所得(退職所得)以外の所得が20万円以下の場合は、その所得を申告する必要はない」になります。
例えば、メルカリで5万円の利益(所得)があった会社員がいます。その会社員は、年末調整だけで済ませる場合には、その利益5万円は申告する必要はありません。
確定申告するサラリーマンは、メルカリの利益も申告必須
しかし、会社員が医療費控除を受けるため確定申告をするときは、この利益5万円も申告しないといけません。
つまり、確定申告をする会社員は、たとえメルカリの利益(所得)が20万円以下であったとしても、本来はその利益を申告する必要があります。
ちなみに、給与が2000万円を超える会社員は、元々、確定申告をする義務がありますから、同様にこの所得を申告する必要があります。
また、住民税の場合は、給与所得(退職所得)以外の所得が20万円以下も申告が必要となってきますので、各区市町村で申告をしましょう(税務署で確定申告をした場合には、税務署から各市区町村へ情報を提供するため、住民税の申告は必要ありません)。
まとめ
- 生活用動産(貴金属や書画、骨董品)の販売で、1個または1組の価額が30万円を超える売り上げがあった人
- 会社員、パートなど給料がある人で、20万円を超える事業所得、雑所得、譲渡所得等があった場合
- 専業主婦など給料がない人で、38万円(令和2年度分からは48万円)を超える事業所得、雑所得、譲渡所得等があった場合
- メルカリの売り上げとは関係なく、確定申告が必要な会社員
以上の人が、メルカリの売り上げを確定申告する必要になります。
現在は、スマホやアプリが発展したため、メルカリなどのフリマアプリで副業や内職感覚でお小遣いを稼いでいる人が多くなってきました。
つい私たちは「バレないだろう」と思って、確定申告をしないこともあると思います。しかし、国税庁は専門家チームを設置し、このような電子商取引の情報を収集・調査をして脱税行為を摘発します。少額だから大丈夫だろう、と思わずに、きちんと確定申告をしましょう。
坊山由美
ぼうやま・ゆみ 税理士。税理士法人大和パートナーズ(〒102-0073 東京都千代田区九段北1-3-1 日宝九段下ビル9階)所属。日頃は、相続、遺言など(資産税)に関する業務を中心に行っています。コラムでは、生活に関係する税金をご紹介していきたいと思います。趣味は、カフェ巡りやホットヨガ。
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