脳科学で解消!夫婦のイラもや#4
夫が認知症になったら?50代から備える「もしものとき」の脳科学的対処法
夫が認知症になったら?50代から備える「もしものとき」の脳科学的対処法
更新日:2026年03月20日
公開日:2026年01月27日
教えてくれた人:恩蔵絢子(おんぞう・あやこ)さん
脳科学者。専門は自意識と感情。『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社刊)を2018年に出版し、話題に。最新刊は映画監督の信友直子さんとの共著『認知症介護のリアル』(ビジネス社刊)がある。
【脳科学的対処法】認知症になっても家族を忘れないし。元気なうちから家庭を“安全基地”にしておくこと

認知症というと、「何もできない」「人が変わる」イメージがあります。でも、認知症の母の介護を経験した脳科学者の恩蔵絢子さんは、それらは事実ではないと言います。
認知症の中で一番多いアルツハイマー型認知症は、海馬という記憶の中枢が萎縮し、ゆっくりと進行していきます。
「最初は本当に不安でした。でも、画像で見た実際の脳は、ちょっとだけ傷が付いたような状態で、他の脳領域はほとんど問題がないのです。新しいことを覚えにくいという症状が出ますが、それ以外のことは大丈夫。古い記憶はしっかり残っているし、今のこともちゃんとわかっています。それと、脳は自分の受けた傷を補える働きをすることも知っておいてほしいです」
“人が変わる”というのも事実ではないと恩蔵さん。発症を機に乱暴に変わったように見える人もいますが、それは自信を失って孤独感を募らせたせい。何でもやってあげるのではなく、本人にがんばってやってもらうケア と、それができる“安全基地”に整えておけば、こうした変化を防げると言います。
「安全基地は『失敗してもいいよ』と言ってくれる人がいて、冒険や挑戦を見守ってくれる人もいる、そんな場所。ここに戻れば大丈夫という存在は何よりの安心になります」
「脳科学的に言えば、心配は中毒です。強制的に断ち切らなければやめられません。いったん考えるのをやめ、速歩きしたり歌ったり、息が上がるくらいの運動をしてみてください。このとき脳はデフォルトモードネットワークという状態で、記憶や情報を勝手に整理してくれます」
また、自分の生きる世界を生態系のように捉え、心地よい場所や仲間などをいくつか持っておくこともおすすめと言います。
「心折れることもあるけれど、乗り越えられる力があればそれでいい。母の介護を終えた今、そう思います」
相手のためにできること

- 「失敗してもいいよ」と安心させてあげる
- コントロールするのではなく見守る
- 何ができるかより、何が好きかを尊重する
自分のためにできること
- 認知症の症状を正しく知っておく
- 一人で抱え込まず、時間と心に余裕を持つ
- 不安や悩みがぐるぐるしたら全身を使う運動をする
取材・文=大門恵子(ハルメク編集部)、イラストレーション=あべさん
※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年6月号を再編集しています。




