今月のおすすめエッセー「庭づくり」富山芳子さん
2024.12.312021年06月04日
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第2期第2回
エッセー作品「流れ星新幹線」池田しげこさん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第2回の作品テーマは「風」です。池田しげこさんの作品「流れ星新幹線」と山本さんの講評です。
流れ星新幹線
健康のために毎朝5000歩を目標に散歩をしている。
近くにオレンジ鉄道、JR九州新幹線出水駅がある。そこも私の散歩コースに入っていて、朝早くから、通勤の人や、通学の人達とすれちがっている。
先日いつものように駅構内を歩いていたら「流れ星新幹線」と銘打った大きなパネルが見えた。
近づいてみると「九州に希望の光を。どうかみんなの願いが叶いますように」と立て札もあり、横の机には、願いごとを書く名刺判のシールが積んであった。願いごとを書いたら、横の透明なポストに入れる仕組みとなっている。
これは、九州新幹線10周年記念イベントで、3月14日夜、新幹線を流れ星に見立て照明を当てて走らせる。
特別運行列車で乗車はできない。どんな光の仕掛けかは、当日走る姿をみないとわからないそうだ。
私は、すぐには、願いごとを書かなかった。
次の日行ったら、皆が書いた希望のシールが、流れ星新幹線のパネルの上に上から順にきれいに、貼られている。たくさんの願いごとを読んでみる。
「コロナが早く終息しますように」
「健康に暮らせますように」
「列車の旅が、出来ますように」
私も書いた。
「遠くに住んでいる子供たちや孫たちとあえますように」
我が家は、長女家族が東京、長男家族が福岡、次男家族が千葉と、全員遠くに離れて住んでいる。
8人の孫たちとは、コロナ禍の中、往き来が、出来ない。また以前のように孫たちと遊びたいなあと思いが募ってきた。
3月14日、夜風を切って走る、流れ星新幹線を、私も、ぜひ見に行こう。
みんなの願いがかないますように。
山本ふみこさんからひとこと
やさしい気持ちのあふれる随筆です。
ああ、九州っていいなあ、とこころから思いました。
作品のなかで、もっとも好きなところと云えば、
「私は、すぐには、願い事を書かなかった」
というところです。
流れ星新幹線を見られないわたしですが、いいんです。
この1行に巡りあえたのですもの、それでじゅうぶん。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
次回第3期の参加者の募集は、2021年6月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。
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